CULTURE & LIFE

隔週にてアーティストに登場いただき、「インタビュー」、「プレイリスト」、ファッションの「マイ・ルール」をお届けする、連載《火曜日のプレイリスト》。

今回は蓮沼執太フィルにも所属し、D.A.N.など名だたるアーティストのライブサポートで欠かせない存在、Utena Kobayashiのインタビューをお届け!

昨年10月から3ヶ月連続でデジタル配信した3枚のEPは、一つのテーマと3つの物語で構成。3月31日に発売するコンセプトアルバム『6 roads』は最終章となり、テーマは”人生謳歌”。二つの惑星を行き来しながら、最終テーマに辿り着く壮大なストーリーとなっている。

 

Utena Kobayashi

スティールパン奏者として、蓮沼執太やD.A.N.など様々なアーティストと共演。映画や広告の音楽も手掛けるなど、多彩な活動で注目を集めているパーカショニスト、Utena Kobayashi。2020年に3ヶ月連続でEPをリリースしたが、それは同じテーマのもとで語られる3つの物語だった。そして、今回リリースされる新作アルバム『6 roads』は、その壮大な物語の完結編。絵本が付いた特別仕様になっていて、音と映像で幻想的な世界を体験できる。パーカッションを中心にして独自のサウンドを生み出す異才、Utena Kobayashiに話を訊いた。

 

ーー3枚のEPとアルバムでひとつの物語になっている、というリリースの仕方がユニークですね。連載小説みたいな楽しさもあって。

連載マンガを読んでいて、伏線がしっかり回収されたり、思いがけない展開になったりするのを、追っかけていくのって楽しいじゃないですか。そういうことを作品を通じてやってみたかった、というのもあります。コロナで家にいる時に『ONE PIECE』読んで「尾田先生、スゲエ!」って感動してたんです(笑)。

 

ーーまず、最初に物語を作ったんですか?

そうです。それを一章ごとにEPにしていきました。その時にEPのタイトルも考えて曲を作っていったんですけど、それぞれの曲にも小さな物語があるんです。

 

 

ーー曲はどういう風に作り上げていったのでしょうか。

キックとベースを最初に考えて、そこから肉付けすることが多いです。ある程度できたら、そのキックとベースラインを消して使わない、ということもよくやります。走り出す(曲を作る)きっかけのためにビートが欲しい、というだけで、最終的に全然違うベースにしちゃったりするんですよ

 

ーー頭の中に浮かんでる曲に近づけていくのではなく、作りながら考える?

とにかく手を動かす。そうやって作っていくうちに、「なんか違うな」っていう感覚が生まれてくるんです。それで納得いくまで、いろいろ試してみる。今回の場合は最初に物語があるので、その物語っぽい曲になるまで作り込んでいくんです。

 

 

ーーUtenaさんは楽器の演奏に加えて歌ってもいますが、どちらかというと楽器のひとつみたいな感じですね。

「歌を歌う」っていう感覚は自分にはないですね。歌うのって、なんか恥ずかしいというか(笑)。でも、合唱とか声楽はすごい好きなんです。声にしか出せないパワーがあるし。それで自分の曲にも、そういう要素を入れているんです。

 

ーーそもそも、パーカッションを始めたきかっけは何だったんでしょう。

小学生の頃は合唱とかリコーダーをやっていたんです。それで中学で吹奏楽部に入った時に、自分がどの楽器をやりたいのか3つ希望を出すことになって。私はサックスとかトランペットとか笛っぽい楽器をやりたかったんですけど、第3希望にパーカッションを入れてたら、楽器テストの結果、パーカッションになってマリンバをやり始めたんです。小学の時に和太鼓をやったこともあったので興味はあったんだと思います。

 

ーーいろんな楽器をやられてたんですね、そんななかでパーカッションの面白さはどんなところですか?

何だろうなあ。私がやっている打楽器ってリズム楽器なんだけど音階楽器でもあるんです。だから、リズムを作ることもできるし、メロディーを演奏することもできるのが楽しいんですよね

 

ーー楽器ひとつで曲が作れるわけですね。蓮沼執太フィルに参加したり、D.A.N.のサポートをやられたりもしていますが、そうした活動から受ける刺激も大きいですか?

とても大きいです。特にD.A.N.はスティールパンを続けてきた理由のひとつになっていると思います。蓮沼さんのプロジェクトに関しては合奏する楽しさがある。学校を出ると、あれだけの大人数で演奏する機会はなくなっちゃうんで、やってて楽しいんですよね。

 

 

ーーでは、ソロの楽しさは?

自分が想像するものの純度を濁さず、好きなようにやれることですね。人とやる時は、その人のエッセンスを混ぜる楽しさがあるけど、ソロでやる時は自分との対話でジャッジしながら作っていく。自分の空想100パーセントの作品が作れるんです。

 

ーー『6 roads』はまさに100パーセント「Utenaワールド」ですね。音楽だけではなく、絵本もついていて。

絵本には、EPからアルバムまでの話が全部入っているんです。文章は私が書いていて、絵は2人のイラストレイターに頼んでます。1曲につき1枚以上の絵がついているので、音楽を聴きながら絵本も楽しんで欲しいです。

 


 

Utena Kobayashi『6 roads』

2021年3月31日発売
☞特設サイトをチェック

「人生賛歌」をテーマにして、全曲のトラックメイキングとプロデュースを自身で担当。スティールパンや打ち込みなど、様々なパーカッションを組みわせた多彩なビートを中心に、そこにシンセサイザーや歌声など幾重にも音を重ねて幻想的な世界を作り出している。そのジャンルにとらわれないスケールの大きなサウンドは、映画のサントラのようにドラマティック。付属された絵本を見ながらアルバムを聴くことで、異世界を旅したような気分になれる。

 

先行リリース『Mt.Teng-Tau』

 

『6 roads』と一緒に聴きたい、三部作はこちら。

第一弾テーマ: “飽和から再⽣”

第二弾テーマ: “悲しみ”

第三弾: “⾨”

photograh_Kobayashi Mariko

《Utena Kobayashi》長野県原村出身。東京在住。コンポーザーとして、劇伴・広告音楽・リミックスを制作。アーティストのライブサポートやレコーディングに、スティールパン奏者として参加。ソロ活動では「希望のある受難・笑いながら泣く」をテーマに楽曲を制作している。2018年6月、音楽コミュニティレーベル「BINDIVIDUAL」立ち上げ。同時にermhoi、Julia Shortreedと共にBlack Boboi結成。2019年6月、Diana Chiakiと共にMIDI Provocateur始動。ライブサポートでD.A.N. 、KID FRESINO (BAND SET)に参加、蓮沼執太フィル所属。https://utenakobayashi.com/

 


 

text_Murao Yasuo

design_Koinuma Kenichi

edit_Takehara Shizuka

 

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