kiitos.
青嵐が誘う水辺の私邸へ
初夏の光が木々の緑に降り注ぐ季節。ヒーラーのyujiさんと訪れたのは、嵐山に流れる大堰川の畔に佇む「星のや京都」。平安の昔、貴族をも虜にした風光明媚な地で清らかな風を感じながら京文化に触れ、心と身体を整えたい。
(上)日本の暦や自然の移り変わりを映した夕食の八寸。6月の夏越を表現した茅の輪に手をくぐらせていただく仕立てには、無病息災の願いも込められている。(下左)奥嵐山は街灯りが届かない場所。暗闇の中で月や星の光を感じられるよう、軒先をほのかに照らす「三浦照明」にも京職人の意匠が息づく。(下右)「ライブラリーラウンジ」には“旅”をテーマにした書籍が並ぶ。英国のタブロイド誌『ガーディアン』で「世界一美しい本屋10」に選ばれたことのある京都の書店「恵文社 一乗寺店」が選書した一冊を手に、お菓子や飲み物をいただきながら、穏やかなひとときを過ごしたい。
静寂な時の流れの中で身体を整え、心の声を聴く
京都、嵐山はかつて天皇や平安貴族らが別荘を構えて栄えた土地。名所、渡月橋を背に舟で大堰川を遡ることおよそ15分。深い緑の渓谷に佇むのが、今回の旅の目的地「星のや京都」。そして聖地を探す旅のナビゲーターを務めるのは、ヒーラーのyujiさん。「京都の地には、拡大していくエネルギーが感じられます。世界最大の観光地であり、長く続いた都。その中でも奥座敷の嵐山には、心臓部であるコアなものを感じます。文化的にも精神的にも自分をアップデートしてくれるようなイメージです」
25室あるすべての客室から大堰川が望める“水辺の私邸”として旅人を迎える「星のや京都」は、かつて江戸時代の豪商、角倉了以(すみのくらりょうい)がライブラリーを構えた地。今回yujiさんが滞在した客室は、1階に寝室、2階に和室を設けた「山の端」のメゾネット。「階段を降りる所作や2階の窓辺にあるソファで川の音を聴きながら、本を読んだり、まどろむのも心地よかったです。客室にいながら変化があって、さまざまな過ごし方ができました」
(左上)新緑の息吹が、みずみずしい季節の訪れを告げる。(右)お抹茶や茶器などの茶道具が収まる「野点籠」で野点を満喫。(左下)3種類の香原料をブレンドして西陣織の布袋で包む「枕香づくり」。つくったお香は枕元に忍ばせてお休みのお供に。
滞在中、京文化に触れられる体験やアクティビティも豊富に揃う。気軽にお抹茶を立てられる「野点籠」、客室で楽しめる「枕香づくり」など、すべて貸し出し可能なので時間を気にせず体験できる。夕食の献立には会席料理の「嵐峡の滋味」をオーダー。茅の輪のあしらいを添えた八寸、器や仕立てで涼を表現した「稚鮎南蛮揚げ」など、物語性のある演出と軽やかな刺激が食の可能性を広げてくれる。
「星のや京都」専用の雅な屋形舟「翡翠」を貸し切り、平安絵巻さながらの舟遊びを堪能。
(左)古くから受け継がれた日本建築の美しさと青々と茂る木々の緑が時を忘れさせてくれる。(右上)正座の低い目線で過ごすことを前提につくられた「畳ソファ」に腰掛けて寛ぎの時間を。「窓から差し込む陽光も心地よく、今朝も読書やメールチェックをしました」 (右下)「山の端」の寝室の壁に使用された京唐紙。快適性だけではなく、随所にちりばめられた京の趣が優雅な滞在を彩る。
この旅のメインは、ウェルネスプログラム「水辺の洗心」。特に重要な呼吸機能を鍛え、心身の免疫力を高めるメニューが揃う。ゆったりと過ごす時間の中、リラックスしたり、身体を整えることはもちろん、ワークショップや体験型のアクティビティを取り入れることで、心の機微に緩急をつけ、免疫力を高めていく。「滞在中は水辺の音が常に聴こえていました。西洋占星術における水のエレメントには母の胎内や羊水など心地よく揺れるイメージがあります。舟の上や水辺にも人をゆるませ、ほぐす作用があるのだと思います。心の声に耳を傾け、自分の“今”の状態を確認する、非常にいい経験になりました」
日本料理の伝統や美意識を踏襲しながら、枠にとらわれることなく、「星のや京都」ならではの遊び心や暦や文化を取り入れた会席料理「嵐峡の滋味」。「稚鮎南蛮揚げ」は水の中を泳ぎ昇る鮎を表現した初夏を迎える一皿。
(上)やさしい灯りが夜露に濡れた庭路地を照らす。(下)ゲストを迎えるおりんの演奏が静寂の中に響き渡る。
次回は「星のや京都」で体験できるウェルネスプログラム「水辺の洗心」やyujiさんが見つけた”聖地”をご紹介します。
Navigator|yuji
星読み係、ヒーラー。香川県高松市生まれ。18歳でイタリアへ渡り、現地大学院修了後、プロダクトデザイン事務所勤務。帰国後、ヒーラー・星読みとして活動開始。メディアでの連載、講演など、幅広い分野で活躍中。近著に『「風の時代」に自分を最適化する方法』(講談社)、『星2.0』(光文社)、その他著書多数。
日本発のラグジュアリーリゾート「星のや」
“夢中になるという休息”をコンセプトに、国内外に展開する8施設それぞれの土地の風土、文化も滞在時間も豊かにするものとしておもてなしに織り込み、独創的なテーマからうみ出される“圧倒的非日常”を提供する。2005年に開業した「星のや軽井沢」をはじめ、「星のや京都」、「星のや竹富島」は国内外の顧客から広く支持されている。2015年「星のや富士」、2016年「星のや東京」に続き、2017年は海外初となる「星のやバリ」、2019年「星のやグーグァン」、2020年7月には新たに「星のや沖縄」(沖縄県・読谷村)を開業。訪れた人へ心ゆくまで休める場と日常から解き放たれる日を提供している。公式ウェブサイト https://hoshinoya.com/
今回訪れたのは…
星のや京都
住所 京都府京都市西京区嵐山元録山町11-2
料金 1泊¥136,000〜(1室あたり、税・サービス料込、食事別)
星のや総合予約 tel:0570-073-066
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photograph:Masahiro Tamura [FREAKS] text:Ayako Watanabe edit:kiitos.
(kiitos. vol.20より抜粋)
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