CULTURE & LIFE
2020年7月に福岡に北欧料理のお店ができた、という噂を聞いていたので、10月に旅行をした時に伺いました。北欧料理、というと、思い浮かぶのは、IKEAのミートボール、ニシンの酢漬け、サーモン料理という感じで、お酒ならアクアヴィットという感じで、実際のところ、未知の世界です。新しい美味しいものに出会うというワクワクで、お店に向かいました。
雪の結晶がモチーフのサインボードは、歩いているとすぐに目に飛び込んできました。思い描いていた北欧のイメージは、ぬくぬくと暖かい感じだったのですが、お店の外観は、むしろスタイリッシュでとても洗練されている感じです。
お店の中に入ると、3組のテーブルセットがありました。福岡も東京も、同じです。お客さん同士の間には、十分な距離をおいての営業です。そして、レストランには、シェフひとり。ひとりで、すべてをしてしまう、シェフです。
まず、最初に、Restaurant SNOWで食事をした感想をいうと、九州をたくさん食べた!ということです。テーブルにつくと、セットされているガラスのプレートには、九州の地図が描かれています。そして、最初に何を飲むか?というと、「泡」を飲みたいので、シャンパンかスパークリングをお願いするのですが、SNOWでは、もちろん、大分県の安心院(あじむ)葡萄酒工房のスパークリングがラインナップされています。九州愛をひしひしと感じるスタートです。
食事のスタートです。
九州の地図が描かれているガラスのプレートの上に、アミューズが並べられます。それぞれのお料理の食材が採れたところに、お料理が置かれていきます。お料理の名前は、「Taste of Kyushu」。
「福岡」からは、北欧らしく塩漬けされた鯵の上にシーアスパラガス(厚岸草)
「大分」からはタコをカボス塩で
「長崎」からは、島原ハムのハムカツにピクルスとマヨネーズのソース
「熊本」からは、南関揚げのピザ、ブルーチーズがのっています
「鹿児島」からは、鹿児島黒豚の3ヶ月熟成せた生ハム
このアイデアは、とても楽しい。九州の特産品やその時の美味しいものが地図の上に展開されるので、その土地のことも思い浮かべたりして、お料理の美味しさに地理の勉強もできるような楽しみがあります。
そして、「New Nordicのガスパチョとトマトのソルベ」。
トマトのソルベは、赤くなくて、ほんのりピンク色。ガスパチョといえば、目の荒い赤というイメージが、クリーミーな緑で覆される。そして、器が、私の好きな「小石原焼」。小石原焼の持つ素朴なイメージが北欧の少し暗い感じの森の中のイメージによくあって、そこに緑のガスパチョというのは、視覚的にもシェフのお料理の世界観に引き込まれてしまいます。
「糸島真鯛のソルト&スモーク ハーブの雪」
糸島は真鯛の漁獲量が日本一と言われていてます。フランス料理だと、多くの場合、ポワレされることが多くて、皮がカリカリ、身がしっとりというのがほぼ定番ですが、SNOWでは、シンプルにソルト&スモークです。鯛の美味しさをそのまま感じるので、こういうところは、産地がすぐそこにあるというレストランならではのお料理です。そして、緑の雪がほろっと口の中で溶けていくと、ほんのりとクレソンの香りがします。
「イトヨリのポワレ オータムポエムとブイヤベースのソース」
イトヨリは玄海産、キクラゲは糸島産。オータムポエムは見た感じは春菊のようですが、あの苦味はなく、別名アスパラ菜ということで、そういえば、微かにアスパラの味が?という感じでした。キクラゲの下にあるソースは、ハースニップのピュレで、ほんのりとした味わい(甘さ)、そして、イトヨリのソースは塩味がしっかりしているブイヤベースのソース、オータムポエムを境に、白夜の時間と寒い冬の時間を体験しているようなイメージがありました。
「鹿児島 黒豚肩肉 !玉葱 X タマネギ X たまねぎ!」
テーブルについた時、日付の入った茶色い紙が四つ折りになったメニューがおいていあり、安心院のスパークリングを飲みながら見ていた時から気になった、「!玉葱 X タマネギ X たまねぎ!」というお料理。どのくらい玉葱が出てくるのだろう?なんて思っていたら、メインとして現れたのは、こちらのお皿。豚肉の脂感が絶妙で、とても美味しかったです。そして、同じく主役なのが、玉葱です。ロースト、フライ、ピクルス、そして、フレーク。シェフが、「楽しんで!」と言っているようで、豚肉とそれぞれの玉葱のマリアージュを十分に堪能しました。
SNOWで、もうひとつ強調したいのは、シェフが作るパンです。全部で3種類のパンが出てきます。最初は、加水率95%というもちもちのロデム。そして、レンコンのフォカッチャ。最後にカンパーニュ。どれも、とても美味しくて、いつもパンは残してしまうのですが、お代わりをしてしまったほど、好きなパンでした(美味しすぎて、食べるのに夢中で、パンの写真がありません)。驚くことに、パンはシェフが全てご自身で焼いているということです。そして、島原ハムのハムカツのパン粉もシェフ手作りのパンから作ったパン粉。奥様が大のパン好きで、お二人で美味しいパンを探究しているということです。デザートの後も、「みなみの穂」という福岡産の小麦で作ったカンパーニュと赤ワイン、という食後の時間を少し楽しみました。
さて、次は、デザートです。ランチのデザートは、玉手箱のようなたくさんのデザートを食べることができるのです。
「ザ・グランド・デザート」
16種類のデザートです。一つずつ、シェフがひとりで作っているなんて、感動。
ムース、シャーベット、パフ、などなど、16種類。白木のプレートに、小石原焼、高取焼、木のお皿、本当に、玉手箱のような楽しいデザートです。デザートを盛り付けている時のシェフは、とても楽しそうで、それを見ている私もワクワクしてきて、目の前にザ・グランド・デザートが登場したら、どれから食べよう、という贅沢な悩みでニヤニヤしてしまって。
この日は、満席で、それ以降も、ほとんど満席のようで、特に、ランチは、デザートの人気も重なって、かなり予約が難しいようです。九州の食材や器に拘っているシェフの九州愛と、九州という豊かな土地の持つ魅力を思い切り堪能できるRestaurant SNOW。ワインも国産のワインが増えていきそうで楽しみです。
2020年の日本は、特にレストランはいろいろと制約があったり、困難な1年だったと思いますが、そんな中でも、こうやって新しく誕生するレストランもあって、レストランに出かけてゆっくり食事をするというのは難しい時期でもあるけれど、「美味しい」はどんどん誕生して前に進んでいるのだから、わたしも「食べるのをとめてはいけない」と思いました。
Restaurant SNOW
住所 福岡県福岡市中央区高砂1-16-17 エスペランサ天神南 1F
電話 092-707-2184
CLOSED 火・水
https://www.facebook.com/Restaurant-SNOW
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