CULTURE & LIFE

この3月はイベント仕事の中止が重なり、旅続きの予定が一変して静かに室内で過ごす日々。社会の不安が少しでも早く落ち着き、平穏な日常が取り戻せることを願いながら、自分ができることや目の前の仕事に取り組んでいます。

 

そんな中、仕事や家事の合間に意識して心がけているのが、よき思い出として記憶に刻まれている旅や散歩を振り返ったり、またいつか旅に出る日を思い描くこと。沈みがちな気持ちを少しでも外の世界に向けて、楽しみや希望を抱けるように。

 

仕事の延期で余裕ができた時間を利用して整理をしているのが、年3~4回、1回に2~3泊は滞在している、和歌山県田辺市への旅やまち歩きの写真。これまで2冊の観光案内冊子を監修したのですが、配布が終了した今でも「どうにか手に入りませんか?」と聞かれることが多く、そのうち自分で田辺の旅案内を作ることができないか試行錯誤しているのです。

田辺銘菓「七福堂」の「田辺っ子」は、バタークリームをはさんだブッセ。袋のイラストのLINEスタンプもあります。

 

田辺のまち歩きイベントは、地元の仲間と一緒に先月にも開催したばかり。『純喫茶モーニングと田辺のお菓子めぐり』と題して、休日の朝早いうちから喫茶店でモーニングを食べて、その後、旧城下町の風情ある道を歩きながら、まちじゅうに点在するお菓子屋をめぐります。参加者は思い思いに、昔ながらの商店の看板や建物を写真で撮影したり、田辺の歴史に詳しいガイドさんの話に聞き入ったり。私からは主に、お菓子や風景の“ときめきポイント”をお伝えしました。

お菓子の箱でトントン相撲ができる「菓匠二宮」の「闘鶏まんじゅう」。

 

取材でもプライベートでも、全国あちらこちら旅している私から見ても、田辺は殊に古い喫茶店が多いまち。中心部にチェーン系の飲食店が少ないかわりに、朝8時頃から開いている個人経営の喫茶店が多く、平日でもモーニング目当ての客で賑わっています。学生時代からその土地に根付く喫茶店が好きだった私は、田辺を訪れるたびに違った店に足を運んで、それぞれの雰囲気を感じています。あまり見かけない顔が珍しいのか、常連客や店主に話しかけられることもたびたび。そうして会話を交わしながら気がついたのが、柑橘、梅、漁業に携わっていたり、個人商店を営む人が多い田辺で、喫茶店は情報交換や社交場、家以外の寛ぎの場となっていること。お菓子屋が繁盛しているのも、農業や漁業の合間のお茶の時間に少なからず関係しているようです。

まちなかにある喫茶店の一つ「モカ」。田辺のほとんどの喫茶店は、入口にパトランプを設置すています。点滅していれば営業中。

 

まち歩きの途中、みんなでモーニングを食べた「珈琲館サバ」。店内には本を抱えた少女の銅像が。

 

『純喫茶モーニングと田辺のお菓子めぐり』の集合場所は、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つとして世界遺産に登録される「鬪雞神社」。勝負の神様として御利益があると伝わるので、私はいつも自分の弱さに打ち勝てるよう参拝をしています。

みんなが写真を撮っていた「パンチパーマ ヤマサキ」。廃業していますが、味のある建物は残っています。

 

参加者みなさんにもお話したのですが、私が思う旅やまち歩きを楽しむコツは、「加点法でものごとを見る」こと。あれがだめ、これが不満だと、受け身になって満たされない事柄を数えるよりも、自らこの時間を楽しもうと果敢に挑む積極的な姿勢が必要。そんな話をしたあと、お母さんとともに参加してくださった娘さんが、「こうしていつもと違う視点を持ってまちを歩いていると、普段は見過ごしてしまうちょっとした風景もかわいく見えてくる」とまちを歩きながらつぶやいていたのにグッときました。

まち歩きで立ち寄った「スズヤ製菓本舗」の「スペシャルサンドケーキ」。

まち歩きの途中に購入した「文左」のどら焼き。生地がふわっと柔らかく絶品。

 

まち歩きの他にも、つやつやのホットケーキを求めて全国からお客様が訪れる「喫茶ビートル」で『喫茶ビートルのホットケーキと喫茶談義』や、紀州原農園の7代目・原拓生さんの案内による『みかん収穫体験とみかんBAR』など、3日間続けてイベントをおこない、多くの方に大好きな田辺のまちをより深く知っていただくことができました。

『喫茶ビートルのホットケーキと喫茶談義』で味わった、つやつやのホットケーキ。

 

紀州原農園の7代目・原拓生さんによる『みかん収穫体験とみかんBAR』。

田辺でのイベントやツアーは、地元の仲間と定期的に企画しているので、次の機会があれば他県からの参加もお待ちしています。今回も、東京、神奈川、京都、大阪など、遠方からの参加者もいました。

『純喫茶モーニングと田辺のお菓子めぐり』の途中、参加者みんながお菓子屋さんをのぞきこむ姿がかわいらしくて。

 

みなさんも、いつもより多くの時間を部屋の中で過ごす間、旅や散歩の本を手にとって、「“いつかそのうちに”の計画」をたててみてはいかがでしょう。

 

甲斐みのりInstagram @minori_loule

 

◆こだわり女子のモノコトWebマガジン「PeLuLu」より

 

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