CULTURE & LIFE
1月の楽しみは、なんといってもガレット・デ・ロワです。
クラシックなガレットデロワはもちろん美味しいけれど、色んな味も試したくなりますよね。

まずは老舗紅茶専門店マリアージュ フレールのガレット2種を買いました。抹茶のフランジパーヌとザクロのコンフィチュール、マルコ ポーロの茶葉とブラックカラントのコンフィチュールとブルーベリーと独創的。

それから私のカリグラフィーレッスンに世界中から来てくださる生徒さんたちに用意したガレット。
3Dプリンターで作られたタイルはノートルダム大聖堂の薔薇窓柄です。王冠も美しく、生徒さんに喜んでいただけました。

毎年恒例のお初釜。14名の着物姿は圧巻です。フランス人女性は唯一独身で、振袖に自分で結んだという華やかな帯が素敵。
日本食レストランで働くシェフによるお節料理をいただき、美味しい日本酒、1月にしか食べられない自家製花びら餅、濃茶、薄茶、と日本を感じられる1日でした。
初釜の次の日からシチリア島パレルモへヴァカンスへ。
イタリア人の友達は口を揃えて「シチリア大好き、最高」と聞いていたのでこの旅行を楽しみにしていました。
パレルモはオレンジの木や椰子の木が連なり、南国のような雰囲気。
教会や宮殿内の装飾は想像を絶するものがありました。

今回の発見は見たこともないような究極のバロック様式の教会、シチリアバロック。
そしてそれぞれの教会には個性がありました。
教会内の珍しい大理石の装飾は、白の大理石はイタリアのカラーラから、赤と緑の大理石はシチリア産、黒の大理石はベルギーから運んだ為、内装に100年ほど時間をがかかったということです。大理石の装飾を見られるのは世界でもパレルモの教会6ヶ所だけ。
恐れ、心配、全ての感情が教会内に表現されています。
当時の人は文字が読めなかったため、ギリシャ神話の顔やいくつかのエピソードが装飾の中に表現されて、当時の教えが今も伝えられています。

オペラ座のマッシモ劇場は、『ゴッドファーザー3』の舞台だということに夫が気付きました。
劇場内はガイド付きで見学できます。
パリのオペラ座、ウィーンのオペラ座に次いで3番目に大きいオペラ座だそうです。
月末から開演する『オテロ』のリハーサル中で歌手のユシフ・エイヴァゾフさんの歌声が聞けて、演出家のマリオ マルコーネさんもいらっしゃいました。
今回はオペラは見れなくて残念でしたが内装はドキドキするほど素敵でした。

こちらのホールではポンペイの装飾が美しい。真ん中に立つと外側にいる人の声は聞こえず、マイクのように音が響くように設計されていて不思議でした。他の人と声が混じらず自分の声が聞こえます。
タクシーの方に「修道女が作っているCannoliが美味しいよ」と聞いたので、La Dolceria di Santa Caterinaへ買いに行きました。

頼んだらカンノーリシェルの中にリコッタクリームを入れてくれるので新鮮!La Dolceria di Santa Caterinaチョコかピスタチオを入れるか聞かれましたが、クラシックなものは何も入れないということでクリームだけでお願いしました。
でもCannoliの大きさが前日カフェで食べた量の3倍のボリューム!
食べられない量なのでホテルまで持ち帰ることに。
通りすがりの人もみんな驚きの顔でした。
食べきれないと思っていましたが…夕方ペロリと平らげました。

イタリア製のタイルだけを個人でコレクションしているというMuseo delle Maioliche Stanze(マヨルカ焼きタイル美術館)へ行ってきました。
入り口からサロン、キッチンまで6部屋5000枚のタイルがびっしりと壁に並べられています。タイルの特徴は本当に多様で、生産地域によってテクニックも違うそうです。フレスコ画の修復師が説明してくださいました。
星、幾何学模様はスペインやアラブのモチーフを模したもの、
ナポリやポンペイのモザイクを模した絵は顔、装飾が多い、
ローマのテクニックは上から下に針で削って模様をつける、
フロランタンは、修復のテクニックで細かい線が特徴、
トスカーナはグロテスク文様、、など。
50年前アパートを買った時は壁は白だったそうですが、その下からはフレスコ画が見つかったそう。フレスコ画によっては重要なものは国に報告しなければいけないそうです。
修復師は15年かけてフレスコ画を蘇らせたそうです。壁をアセトンとコットンで拭いて塗料を取り除くやり方、又は手術用のナイフで1センチずつ削って塗料を剥がすやり方。気の遠くなるような長い作業です。
17世紀の流行はその頃に発見されたポンペイの柄、ムラーノ島のシャンデリア、パリの壁紙でした。
シチリアの貴族はこれらを運んで宮殿内を装飾し、20世紀には古くなった過去の装飾の多くが捨てられたといいます。このアパートからも、床を掘ったら昔のタイルが見つかったそう。
19世紀は王がタイルに工場の名前の刻印を押すことを義務付け、そのお陰でその時代のタイルはどこの工場で作られたか分かるようになっています。
シチリア島出身のドルチェ&ガッバーナもタイルのデザインからたくさんのインスピレーションを受けたとか。
タイルの他にインク瓶、ペン先の箱、鉛筆の箱、薬瓶、お菓子の箱と缶のコレクションも棚に飾られていて、私も大いに刺激を受けました。

1日電車で向かったチェファルという街は世界遺産の教会や映画『ニュー シネマ パラダイス』の舞台で使われた小さなオペラ座があり、海から5つの島、エオリア諸島が見えます。魚釣りをする人や泳ぐ人、猫がひなたぼっこをしていて時間を忘れてのんびり、この時期人も少なくて楽園のようでした。
今年はあまり仕事を入れずのんびり進んでいこうと思います。
本年もどうぞよろしくお願いします。
text:竹内 仁海

パリ在住13年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。
Instagram:@melodiesgraphiques
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