CULTURE & LIFE
クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第67回目のテーマは「涙活におすすめ!ストレス発散」映画です。
こちらの連載に新しく仲間入りしました、Do it Theaterの洲崎真紀子(すさきまきこ)です。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
2022年も早いもので3月です。3月といえば卒業や別れのシーズンですが、同時に新生活も近づいてきて、寂しくなったりそわそわしたり、何かと気持ちが落ち着かない日々を過ごす人も多いのではないでしょうか。今回は「涙活におすすめ!ストレス発散」をテーマに、『パレードへようこそ』『50/50 フィフティ・フィフティ』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』をご紹介します。心がモヤモヤしているときは、涙を流してスッキリさせちゃいましょう!
Index
壁を越えて時代を越えて、今も胸を打つ感動の実話!
title:『パレードへようこそ』
【story】
1984年、イギリスで起こった炭坑労働者によるストライキ。そのニュースを見たマークは、ゲイ&レズビアンの仲間たちと『LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)』という組織を結成し募金活動を始める。しかし、彼らがゲイやレズビアンであることを理由に、その申し出は炭坑組合からことごとく断られてしまう。そこにちょっとした勘違いがきっかけで、唯一受け入れてくれる炭坑が現れた。
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2014年のカンヌ国際映画祭でのクィア・パルム賞受賞を皮切りに、世界各国で様々な賞を受賞して絶賛された本作。実話ベースの社会派ドラマではあるものの、時代背景などを知らなくても、コメディ要素も多いのとても観やすく、十分に楽しめる作品です。
困難な状況に打ち勝つためのアイデアと行動力、そしてお互いを認め合うことの大切さ。現代を生きる私たちにも通じる普遍的なテーマで、胸と目頭を熱くさせてくれます。ラストの部分では、抱える問題も立ちはだかる壁も、何もかもを越えた絆に涙すること必至。観終わったらきっと、前を向いて、胸を張って歩きたくなりますよ。
80年代のロンドンの街並みやファッション、音楽が作品を盛り上げているのはもちろん、イギリスを代表する名優ビル・ナイ(『ラブ・アクチュアリー』)とイメルダ・スタウントン(「ハリー・ポッター」シリーズ)のパワーに負けない若手俳優たちの熱演にも注目です。
自分が、大切な人が、もしもガンになったら。あなたはどうする?
title:『50/50 フィフティ・フィフティ』
【story】
酒もタバコもやらないごく普通の青年アダムは27歳でガンを患い、「5年生存率50%」と宣告される。職場の同僚や恋人、家族は病気を気遣ってか、次第によそよそしくなっていく。ただ一人、女好きの親友カイルだけはガンをネタにナンパに連れ出すなど、いままでと変わらずにいてくれた。なんとかガンを笑い飛ばそうと日々を過ごしていたアダムだったが、刻一刻と進行する病状に平静を装えなくなってしまう。
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まずなによりお伝えしたいのは、重苦しい作品ではないという事。ガンになった青年の話という、得てしてシリアスになりがちなテーマのはずなのに、作品全体に重苦しさがないところに魅力を感じてセレクトしました。下品で不謹慎なのに不思議と憎めない親友がいたり、新しい恋の予感もちらついたりと、観る側もポジティブな気持ちで話を追いかけていくことができます。
そして同時に、アダムと周囲の人々の葛藤もとても丁寧に描かれていて、誰に感情移入しても涙腺が刺激されます。ガンになった青年の話を、様々な人の視点で見つめることで「自分だったら」「大切な人だったら」とそれぞれの感情や立場に思いを馳せて、感動がじわじわ広がるんです。そして終盤、手術をすることになったアダムがそれまで見えていなかったものに気がついたとき、ついに涙腺が崩壊。登場人物全員に「ありがとう!」と言いたくなりました。
アル・パチーノが魅せる。大人のあるべき姿に大号泣!
title:『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』
【story】
ボストンの全寮制名門高校の苦学生チャーリーは、帰省費用を稼ぐために、アルバイトで盲目の退役軍人フランクの世話をすることになる。ある日、チャーリーは同級生が校長の愛車にイタズラを仕掛ける場面を目撃してしまう。激怒した校長から脅されて、悩みながらアルバイト初日を迎えるチャーリーだったが…。
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年齢差のある友情モノという、一般的にはそうあまりないシチュエーションかもしれませんね。でも大丈夫。違和感なく作品に入り込んでいけます。本作でアカデミー主演男優賞を受賞したアル・パチーノ(それまでも何度かノミネートされていて、悲願の受賞だったとか)が演じるフランクの第一印象は「なんて嫌な男なんだ!」という、ひどいもの。それでも、フランクの心の内にある孤独や繊細さが見えてくるころにはきっとフランクを好きになっているし、作品と登場人物たちにどんどん引き込まれていきます。
作中でフランクとチャーリーのふたりはそれぞれに人生の岐路に立たされているのですが、お互いが相手を思って行動する姿に、私は涙が止まりませんでした。有名な演説シーンのアル・パチーノの素晴らしい演技にも、大号泣間違いなしです。物語の結末もさることながら、こんなにスッキリとした気分にさせてくれる作品もなかなかありません。
今回は「涙活におすすめ!ストレス発散」映画をテーマに、『パレードへようこそ』『50/50 フィフティ・フィフティ』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』の3作品をご紹介しました。どれも涙を流したあとに気持ちが軽く、明るくなれる作品です。映画を観て泣いてスッキリしたら、近づく別れも新生活の不安も前向きに乗り越えられるかも。ぜひチェックしてみてください!
『パレードへようこそ』
U-NEXT他で配信中
『50/50 フィフティ・フィフティ』
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』
text :洲崎真紀子(すさきまきこ)(Do it Theater)
これまで興行会社やNPOで映画関連事業に携わる。現在は小さな娘と一緒に映画を楽しむ方法を模索する日々。
好きなジャンルはライフステージに関係なく、永遠にラブコメ。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出されたしいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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