体調がイマイチな日が多い。急に見た目が老けた気がする。そういえば寝つきも悪くなったような……。そんなアレコレ、実は身体中に張り巡らされた“毛細血管”の衰えが原因かも。酸素や栄養を運んだり、体温を調整したり。“生きる”ためのメカニズムで重要な役割を担う毛細血管は、アナタの生命活動を支える大事なパーツ。その実態を、探ってみよう。

 

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血管をゆるめる時間をつくるためにできること

根本から身体のメンテナンスをしてくれるのは、やっぱり睡眠。副交感神経スイッチにより眠りモードに入った毛細血管を、そのままの状態でキープするのが3つ目のミッション。

23時就寝＆6時起床が理想

早寝や長寝がよいのではなく寝る時間帯が大事

ゆるんだ毛細血管を効果的にメンテナンスをするには、アンチエイジングホルモンの働きがよい時間に眠るのがコツ。「成長ホルモンの分泌がピークになるのが、入眠後から90〜180分後。朝6〜7時に起きて夜は23〜24時に寝れば、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌のピークもこの時間と合致。相乗効果でより深い睡眠が得られます」

睡眠時間を確保する

ショートスリーパーでは毛細血管は修復できない！

「寝る時間帯のところでもお話しましたが、23時に寝て6時に起きれば睡眠時間は7時間。実はこの7時間睡眠は最も長生きできる睡眠時間と言われています」。最初の3時間でアンチエイジングホルモンをしっかり分泌させ、残りの4時間でそれをすみずみまで行き渡らすことができるというワケ。

「よい環境を整えたところで毎日3時間睡眠では、メンテナンスにまでは至りません」。自分では大丈夫なつもりでも身体は正直。ホルモンの働きが悪くなることで生活習慣病にかかりやすくなり、血管も傷つきやすくなるという悪循環に。

「とは言えたくさん寝ればいいかと言うとそうではなくて。長すぎる睡眠は体内時計のリズムを乱す可能性があるのでおすすめしません」。途中で目が覚めた場合にスマホを見たり起き上がったりすると眠りが分断されてしまうので、そのまま目を閉じて。

睡眠の質を上げる

寝る2時間前には眠りを妨げるものを遠ざけて

「夕方以降はカフェインを摂らない、寝る前にスマホのブルーライトや電磁波を浴びないなど、覚醒作用のあるものを避けるだけでも睡眠の質は変わります」。深い眠りに導くためには光が重要なので、23時に寝るとしたら21時以降は間接照明にして浴びる光の量を減らすのも効果的。「締めつけがなく通気性のいいパジャマを着用しましょう」

 

スキンケア界からも注目を集め続ける毛細血管

ハリ肌キープの夢を叶える新たな有効成分を求めて

2019年、「毛細血管を良好な状態に維持することが肌の弾力に重要である」ということをはじめて解明したのが「資生堂」。肌内部の血管を3次元で観察するという独自の技術を用いて、肌が高い弾力を示す場所では毛細血管が太く、高密度で存在していることを発見。毛細血管の周囲でのコラーゲン産生を観察し、肌弾力との関係を明らかなものにしました。

さらに翌年には、衰えた毛細血管を太く丈夫な状態に保つために「ニーム葉抽出液」や「ドクダミ抽出液」が有効であることを発見。血流を促すことで働きをサポートするスキンケアに加え、毛細血管そのものをケアする製品が今後ますます増えていくことが予想できます。

 

 

お話をうかがったのは…医師・医学博士 根来秀行先生

ねごろ・ひでゆき。ハーバード大学医学部 PKD Center Visiting Professeor、ソルボンヌ大学医学部客員教授。事業構想大学院大学理事・教授。専門は睡眠医学、抗加齢医学、内科学、腎臓病学。主な著書として『ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法』（KADOKAWA）、『人は毛細血管から若返る』（青春文庫）ほか。

 

illustration:Emma Mori　edit & text:Kei Yoshida　re-edit:Yuri Iwata［press lab］
※kiitos. vol.19（2021年3月21発売）より抜粋。現在は販売終了している商品もございます。

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