kiitos.

性について考える、自然に話せる機会をもとう

「フェムテック」が新語・流行語大賞にノミネートされた2021年を経て、新たなブランドやショップが多く誕生し、さまざまな関連イベントやセミナーが年間を通して開催されるなど、その言葉を見聞きしない日がないほど、より一層勢いが増した一年となった2022年。中でも、「セクシャルウェルネス(セクシャリティに対して、身体的、感情的、精神的、社会的に健康な状態であること)」については、本誌を含むメディアを中心に積極的に話題に上がるようになった。

フェムテックブランド《iroha(イロハ)》を手がけ、セクシャルウェルネスやセルフプレジャーの意義を具現化し世に送り出したパイオニアである「TENGA(テンガ)」が、このほど、性教育やクリエイティブについて学ぶ課外授業「LOVE YOUR SELF CARE FOR YOU meets TENGA」を京都芸術大学で実施し、オンラインも含め250名以上の学生が聴講、kiitos.編集部もお邪魔させていただいた。

講義にはTENGAの創業者である松本光一代表取締役社長、創業当初からクリエイティブ面を担ってきた宮坂佳克チーフクリエイティブオフィサーが登壇、特別ゲストにアートディレクターとして活躍する「れもんらいふ」の千原徹也CEOを迎えてトークセッションが行われた。

まずは、「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」をヴィジョンに掲げるTENGAがうまれたエピソードから。

松本氏

「アイデアが降りてきたのは、20年程前に立ち寄ったビデオショップのアダルトグッズが並ぶ一角に足を踏み入れたとき。当時アダルトグッズと言えば、卑猥でわいせつなものというイメージしかなかったけれど、本当にそうだろうか?と。人間が根源的に持っている性に対する欲求を大事にすることは、とてもしあわせなことなんじゃないかと感じていたので、店内にいたわずか15分の間にTENGAを立ち上げることを決めました。もっと一般的なもの、心地よいものとして、きちんと届けたいと考えたんです」

宮坂氏

「松本社長と出会ってアイデアを聞いたとき、どうしたらその想いを伝えられるかを考え、自慰行為を解釈し直すところからはじめました。それは男性にとって自然な生理現象で、純粋に楽しむためのレクリエーションや、フィジカルを使うという点ではスポーツのような側面もある。生活用品やギアとして捉えて、ちゃんとデザインしたいという想いがありました。生活の中でほかの日用品と同じように気軽に手に取れるものにすることで、アダルトグッズではなく表へ、陰から陽のものへと変えることができたと思います」

松本氏

「自分が伝えたいものをいかに伝えるか、はいつも意識しています。思っているだけでは伝わらないので。TENGAはデザイン、アート、コピーというクリエイティブの力によって伝えてこられたと思っています」

マスターベーションをサポートするセルフプレジャーアイテムとして、TENGAは他社のものとは一線を画すスマートさやスタイリッシュさをまとい、2005年に販売を開始。いまでは、72の国と地域で展開されている。

千原氏

「僕はそのTENGAによって人生が開けたひとりです。というのも、“東京カルチャーに挑戦したい!”と意気込んで28歳で上京したものの、3ヶ月で挫折を味わい地元に帰ることに。そんなときに宮坂さんから『TENGAっていうブランドの仕事をやっているんだけど、手伝ってみない?』と連絡をもらい、もう一度東京へ戻ってクリエイティブの仕事に携わらせてもらえることになって。それがいまの自分の原点になっています」

一見すると、性とクリエイティブは結びつかないようにも思われるが、TENGAは二者をうまく融合させ、ヴィジョンの通り、性と向き合うことをオープンでポジティブに楽しもうと旗を振ってくれている。

松本氏

「何かを生み出そうと思ったら、別の目線、もうひとつの目で見てみること。それを心がけていると、アイデアが湧いてくるんです。多数決でよしとされているものを否定して自分の考えを伝え、それを多数派にしていくことや、たくさんの人の心の中にある“種”を見つけて共感を生むことは、クリエイティブの根っこに欠かせないものなんだと思います」

講義後、松本社長に昨今のフェムテックの動向についてお話を伺った。

松本氏

「フェムテックという言葉や概念が日本でも知られるようになって、多くの人が楽になったんじゃないかなと思います。それまではセルフプレジャーアイテムも男性目線でつくられていたけれど、女性に寄り添うものがたくさん出てきた。《iroha》もコンセプトやメッセージが届きやすくなったという実感があります。けれども、実際には女性の中ではまだオープンにできるところまでには至っていないというのが現実。もっと当たり前に楽しんで、自然なこととして生活に取り入れてもらえるようになったらいいですね。自分にとって、何が大切なのかを考えるきっかけにもなると思います」

生まれ持った性的な欲求をありのままに受け入れ、喜びに変えていく。それは決して隠したり恥ずかしがる必要はなく、生きるために欠かすことのできない立派な本能。セルフプレジャーというジャンルは女性にとって、身体と心を満たすためのセルフケアのひとつとして、2023年はさらに飛躍していくのではないだろうか。

(写真右から)「れもんらいふ」千原徹也CEO、「TENGA」松本光一代表取締役社長、同・宮坂佳克チーフクリエイティブオフィサー

text:kiitos.

 

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