【温泉にいこうよ。】メイクアップ・アーティストyUKIさんとファッション＆占いエディター青木良文さんの“伊東開運旅”。星野リゾートの温泉旅館界アンジン［前編］

メイクアップアーティスト・yUKIさんの旅模様を綴る連載企画「温泉にいこうよ。」。ふたり、ときどきひとりで日本各地に点在する温泉へ。その土地でしか体験できない“あたらしい”を見つけに。

Index

1 風に吹かれ、大海原へ想いを馳せる休日
- 1.1 ［旅する人］
2 【DAY1】「五行」を調え、運気を巡らせる
3 TIPS FOR TRAVEL｜旅服コーディネート＆メイク事情

風に吹かれ、大海原へ想いを馳せる休日

古より湯治場として栄えた静岡県・伊東温泉は多くの旅人たちが行き交ういで湯の街。江戸時代には徳川家光へ献上湯を行うなど歴史ある名湯で、本州一の豊かな湯量を誇ることでも知られている。今回の旅のお宿「界アンジン」は、伊東の地とゆかりの深いイギリス人航海士、三浦按針（ウィリアム・アダムス）の名を冠して、「船旅」をテーマにした温泉旅館。海風を感じながら、大航海時代のロマン漂うひとときへと誘ってくれる。

［旅する人］

yUKIさん｜メイクアップ・アーティスト＆ビューティーイノベーター

1990年渡仏、CHRISTIAN CHAUVEAUを卒業しディプロム取得。1998年帰国。ファッション誌やショー、広告で活動、女優・モデルからの指名でメイク担当することも。2009年には独自のメイクブラシブランド「ｙUKI MAKEUP」を立上げ、2019年「yUKI TAKESHIMA」としてリニューアル。その人本来の美しさを引き出すクリエイションに定評がある。Instagram: @yukimake

青木良文さん｜ファッション＆占いエディター

大学卒業後に商社を経て、元々好きなファッションデザインを学ぶために文化服装学院へ。卒業後は出版社のエディターとして『装苑』『フィガロジャポン』はじめ、多くの女性誌に携わる。20代の頃に出会ったさまざまな占術を通して、世の中の動きを読み解く視点に定評がある。現在はファッションブランドのディレクション、トークイベントなど多方面で活躍。Instagram : @aokiyoshifumi

【DAY1】「五行」を調え、運気を巡らせる

15:00　新しいわたしと出会う“開運旅”のはじまり

伊東駅より車に揺られることおよそ5分。相模湾沿いに佇む「界アンジン」へ到着。船に乗るボーディングブリッジを思わせる橋を渡って、エントランスへ向かうyUKIさんと青木さん。旅の楽しみを広げてくれる演出がアプローチからも感じられる。

木造船の古材をリユースしてデザインされたフロント。波や船をモチーフにしたオブジェ、大海原の模様が施された欄干など、至るところに船旅にまつわる物語が散りばめられている。館内は大航海時代を意識した落ち着きのある照明が灯されているので、心と身体を旅モードにシフトチェンジしてくれるのも嬉しい。

15:15　トラベルライブラリーでひと息

マルチストライプのソファにも船旅の雰囲気が漂うトラベルライブラリー。コーヒーやフレーバーティーなど豊富なドリンクメニューを24時間愉しめる。チェックイン後、気になる一冊を眺めながら寛ぎのひとときを過ごすおふたり。

伊東の歴史をはじめ、自然や工芸、大航海時代にまつわる天文学、スパイスや紅茶など幅広いジャンルの本や写真集が並ぶ。未知なる旅の扉が開き、知的好奇心を刺激してくれる。

スピーカーから流れるアルト・サックスの音とゆったりとした時が響き合う。

15:30　海へのロマンを掻き立てる客室へ

客室ごとに異なるデザインが施されたご当地部屋「按針みなとの間」。客室を含む館内の空間は、これまでにも多彩な文化施設を手掛けてきた建築設計事務所「スーパーポテト」によるもの。お部屋のドアを開けると眼に飛び込んでくるのは、窓の向こうに広がる青い海と小さな灯台。

かつて航海で使われていた舵や櫂を素材にしたアート作品をフォーカルポイントにしたリビングスペース。窓辺に差し込む光や時間とともに移りゆく景色が豊かな滞在を叶えてくれる。

ふと眼が覚めたとき、海を眺められるように格子のパーテーションが設えられたベッドスペース。雲の上にいるような寝心地の界オリジナルのマットレス「ふわくもスリープ」が極上の眠りを約束。

客室に備えられたレコードプレイヤーが船旅に流れるゆったりしたリズムを刻む。「大好きなヘレン・メリルのアルバムを久しぶりにレコードで聴きました。耳に残る余韻を愉しみながら過ごす贅沢な時間です」（yUKIさん）

「界アンジン」の客室は全室オーシャンビュー。大きな窓からは広大な海に浮かぶ初島、宇佐美や小田原へと続く海岸線が一望できる。「什器や設えもコンパクトにまとめられていて、シンプルなインテリアからも船旅やクルーズの雰囲気が漂います」（青木さん）

アメニティを包む風呂敷は眼の前に広がる太平洋を映した海の色。

16:00　入浴前に温泉のことを楽しく学べる「温泉いろは」へ

湯守りのスタッフから伊東温泉の歴史や泉質、効能、入浴法など温泉旅を楽しむための豆知識が学べる「温泉いろは」。本格的な湯治体験のためのプログラム「うるはし現代湯治」についても指南してくれる。

17:00　開運旅アクション①「温泉に入る」

伊東温泉の泉質は無色透明無臭のアルカリ性単純温泉。最上階の大浴場からも大海原の絶景を一望できる。「陰陽五行では万物が木、火、土、金、水の５つの要素から成り立っているとされています。すべてが揃っている温泉は運気アップに特に効果的と言われているんですよ」と青木さん。また、単純泉は運気全般、アルカリ性の泉質は恋愛運アップにつながるのだそう。滞在中は温泉に到着後、夜、朝の３回入るのがおすすめ。

入浴後は湯上がり処でいただけるドリンクで水分補給を。渋みのないすっきりとした味わいが魅力の伊東の名産品「ぐり茶」、三浦按針の母国、イギリスで古くから親しまれているローズヒップとカシスの風味が香る「りんご酢」。どちらも入浴中に失われがちなビタミン補給にも最適。

18:30　開運旅アクション②「夕日を眺める」

古き良き伊東の温泉街をのんびり散策しながら、夕日スポットの大川橋へ。足を止めて山際に沈んでゆく日の入りの様子を拝むおふたり。

松川沿いで見つけた鳩のお手湯処。伊東にアトリエを構える彫刻家、重岡建治氏による素敵な作品を鑑賞しながらリラックスするyUKIさん。

19:00　開運旅アクション③「地のものをいただく」

夕食にいただいたのは伊豆地方ならではの食材に三浦按針の母国、イギリスのエッセンスを加えた特別会席。「ローストビーフの舷窓見立て」は英国の伝統料理をアレンジした先付けの一皿。

ハイティーツリーをイメージした器の演出が華やかな「宝楽盛り」。海の幸や旬の食材をふんだんに使った八寸やお造りを堪能しながら、口福と眼福にあやかりたい。

特別会席では人気の「ブイヤベース鍋」もいただける。伊勢海老や金目鯛、ムール貝やあさりなど新鮮な魚介をじっくり炊き込んだ台の物は、魚の旨みと丁寧に裏漉しして仕上げられた出汁の旨みを堪能したい。ブイヤべースの濃厚な味わいを引き立てるロゼワインとのペアリングもおすすめ。

21:15　三浦按針の数奇な運命を辿る「アンジン紀行」

16世紀末、日本に漂着した三浦按針の生涯や造船技術を伝えるショートムービーを鑑賞。時の将軍・徳川家康より造船の命を受け、幾多の港の中から伊東の地を選び、日本初の造船ドックを開港した功績を讃えられ、サムライとなったエピソードなどドラマティックな運命を生きた按針。

「按針の人生にすっかり引き込まれて、今回の滞在がますます楽しみになりました」（yUKIさん）、「2025年は二黒土星の年、城下町や歴史の名所に触れるような旅もおすすめ。按針の物語などもまさにそうで、訪れた先で吸収したことや感じたことが自分のベースになるのだそうです」（青木さん）

ご当地楽「アンジン紀行」は通年楽しめるプログラムで所用時間は15分程。この機会に三浦按針が力強く生きた大航海時代のロマンにぜひ想いを馳せてみたい。7:15PM／9:15PM／※8:15 PMの３回開催。※8:15 PMは5月31日(土)までの期間限定で開催。

22:00　IPAビールをいただく湯上がりの至福のとき

２回目の入浴後は「インディアペールエールのふるまい」でいただける、こだわりのビール「インドの青鬼」で乾いた喉を潤したい。大航海時代、船乗りたちが水代わりに飲んだIPA＝インディアペールエールはインドが植民地だった頃、インドに滞在するイギリス人へペールエールを送るために造られたのが発祥。長距離の旅でも腐らないようホップを大量に使用することでコクのある苦味とすっきりした喉ごしが味わえる。これからの季節、船の甲板をイメージした「サンブエナデッキ」で夜風にあたりながらグラスを片手に湯涼みを。

※「インディアペールエールのふるまい」15:00〜22:00

22:30　紅茶を通して世界を巡る「紅茶の船旅」

トラベルライブラリーの「紅茶の船旅」では按針が旅した航路に沿った、その土地ならではのさまざまな茶葉やハーブをセレクト。お好みにブレンドしてお気に入りのフレーバーティーをアレンジできる。

TIPS FOR TRAVEL｜旅服コーディネート＆メイク事情

旅もおしゃれも大好きなおふたり。yUKIさんの1日目の旅スタイルとメイクのこだわり、愛用のトラベルアイテムをご紹介。青木さんにはメイクで招く運について、そして旅スタイルと愛用トラベルアイテムを伺った。

［DAY1｜yUKIさん編］

✔︎旅服コーディネート

「心躍る旅気分を楽しみたくて赤い色のシャツを選びました。フレアーヒールのパンプスを足元に添えて、旅先でも今シーズン再燃している70年代の自由なムードを謳歌します」

・トップス／Together studio
・パンツ／HYKE
・パンプス／マークジェイコブス
※すべて本人私物。現在販売を終了している商品もあります。

✔︎旅メイク

「ベースメイクを丁寧に仕上げて、ベリー系のチークとリップ、アイブローでトーンアップしています。シャツの赤い色とリンクさせて華やかな印象に仕上げました」（yUKIさん）

「2025年は土台を調える年。メイクでもベースとなるファンデーションを見直しするのがおすすめです。顔に山を描く、頬に塗るチークも同様です」（青木さん）

・アイブロウ／HBL BEAUTY アイブロウカラーリングマスカラ 01 モザイク
・マスカラ／TWK シンピュアブラックマスカラ
・チーク／YSL メイクミーブラッシュリキッド 54 ベリーバン
・リップ／ボビィ・ブラウンプリティパワフルポットルージュ L11 ペールピンク
・ベース／BISOU エンハンシングスティック N〈クリスタル〉
・フレグランスオイル／epiphany “Sensual waltz”oil
※現在販売を終了している商品もあります。

✔︎旅の必需品

「旅先でのんびりと過ごす夜は忙しない毎日でなかなか行き届かないところのメンテナンスをするのに最適です。最近、歯の治療をしていることもあって、歯のお手入れグッズ、身体の内側からサポートするケアアイテムが今回の旅のお供」

（左から）
・MAHARISHI／プランダラオイル
・Officine Universelle Buly／フィル・ダンテール
・MENOTONE／MENO Paste ザクロ & イソフラボン
※すべて本人私物。現在販売を終了している商品もあります。

［DAY1｜青木さん編］

✔︎旅服コーディネート

「動きやすさはもちろん、肌馴染みのいい素材が旅スタイルの条件。カジュアルなパーカ＆パンツもカシミヤ100%で上下セットアップにすると上品な雰囲気に。肌心地は身体にも入ってくるものなので、その感覚を大切にしています。また、神社へお詣りする日はアンダーウエアと靴下を白で揃えて色からも気を調えます」

・トップス＆パンツ／good factory
・帽子／KIJIMA TAKAYUKI
・スニーカー／Marni
・ソックス／CHICSTOCKS
※すべて本人私物。現在販売を終了している商品もあります。

✔︎旅の必需品

「浄化作用のあるお香、マッチの香りも好きで特に海外の旅でのマストアイテムです。荷解きしたときに炊いて空間の気を調えます。李家幽竹先生の本は“開運旅”についてさまざまなことを教えていただきながら編集を担当した一冊。自分でも運を取りに行くためのTipsを読み返しながら、旅を楽しんでいます」

（写真上）
・ASTIER de VILLATTE／Aoyama インセンス

（写真下）
・「李家幽竹の最強！開運旅行風水 2025年版」（世界文化社）

※すべて本人私物。現在販売を終了している商品もあります。

今回のお宿は…「界アンジン」

イギリス人航海士、三浦按針ゆかりの地、静岡県伊東市に位置する全室オーシャンビューの温泉旅館。海や船旅をテーマにしたデザインが館内に散りばめられたモダンな空間が極上の旅時間を叶えてくれる。船の甲板をイメージした湯上がり処「サンブエナデッキ」で相模湾から吹く海風を感じながら、湯涼みのひとときを過ごしたい。

住所：静岡県伊東市渚町5-12
電話：050-3134-8092（界予約センター）
アクセス：【電車】東京駅～伊東駅：新幹線利用熱海駅経由で90分・特急踊り子号で110分、名古屋駅～伊東駅：新幹線利用熱海駅経由で140分【車】東京方面から：東名高速道路・厚木ICから小田原厚木道路経由で約100分、名古屋方面から：東名高速道路・沼津ICから約70分
料金：1泊31,000円〜（2名1室利用時1名あたり、サービス料込、税込、夕朝食つき）
URL：https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaianjin/

photograph：Makoto Shamura
design：Atsushi Aihara
text：Ayako Watanabe
edit：kiitos.