CULTURE & LIFE

フリーランスとして活動するこのやさん。奥様と猫2匹、そしてたくさんの植物や生き物たちと暮らすのは、築34年の3DKマンションです。古い建物の良さを活かしながら、DIYと工夫を重ねてつくられた温かみのあるお部屋についてお話を伺いました。

 

猫との暮らしが結んだ、築34年の「和」の空間

このやさんが現在のお部屋に引越したきっかけは、奥様の実家に住み着いていた野良猫の兄妹を迎え入れるためでした。

 

「もともと猫不可の賃貸に住んでいたのですが、実家の庭に野良の子猫の兄妹が住み着いていると聞いて。厳しい冬が来る前に急いで引き取ろうと思い、すぐに引っ越せる猫可の物件を探しました」

 

「実は以前の家の間取りをとても気に入っていたので、それに似た間取りであること、そして植物を育てるために南向きであることを条件に探しました。また、以前の家で和室の良さに目覚めていたので、『和室があること』もマストの条件でしたね」

 

そうして出会ったのが、築34年の現在のマンション。偶然にもご自身とほぼ同い年というこの建物は、「築古ならではの優しい雰囲気」があり、すぐに内見して入居を決めたと言います。

 

お部屋は3DKの間取りですが、入居時に大胆な使い方を選択しました。
「和室、植物をたくさん置いている洋室、そしてダイニングキッチンの間にある扉やふすまをすべて取り払い、ひと続きの広々としたオープンな空間として使っています」

 

「ただ、すべてがオープンだとプライベート感がなくなってしまうので、カーテンなどで簡易的な仕切りを作って、ゆるやかに空間を区切る工夫をしています。残りの玄関側にあるもう一部屋は、物置兼、作業部屋や植物の育成スペースとして活用しています」

 

今回が初めての猫との暮らしだったというこのやさんご夫婦。入居当初は、フローリングの上にカーペットを全面に敷き詰めてみるなど、猫も人も快適に過ごせる環境を目指して試行錯誤を繰り返したそうです。

 

「昼過ぎになるとよく日が差し込む和室は、猫と一緒に日向ぼっこをする私の一番好きな時間です。和室にある大きな押し入れは、扉を取り払って収納兼デスクのように使い、その下のスペースに敷布団をしまっています。夜はその布団を出して和室で寝ているので、一日の中で一番長く過ごしている、我が家の中心的な場所になっています」

 

直線的な部屋に「有機的な曲線」を。生き物と一点ものが馴染む部屋

お部屋に足を踏み入れると目を奪われるのが、生き生きとした無数の植物たちと、随所に配置された流木です。地元も自然豊かな環境で育ったこのやさんは、大学生の頃から部屋に植物を置き始め、前職では大型園芸店で5年間スタッフとして働くほど、植物への深い愛情を持っています。

 

「部屋という空間はどうしても直線的になりがちなので、流木などを置いて『有機的な曲線』をところどころに加えるよう意識しています。とはいえ、流木だらけになると不自然なので、例えば棚の一部に流木を使用するなどして、自然に部屋に溶け込むように感覚的に配置を調整しています」

 

「大きなシンボルツリーの置き場所も、最初は部屋の真ん中に置いてみたんですが、『やっぱり生活動線の邪魔だよね』と妻と話し合い、結局部屋の奥の角へ移動させました。そうやって常に微調整を繰り返しています」

 

園芸店での経験から植物の知識が豊富なこのやさんですが、ともすれば「植物だらけのジャングル」のような渋すぎる空間になりがちなのだとか。そこへ奥様が、絶妙なバランスで小物を足してくれます。

 

「カニのハサミにペンを置くペンホルダーなど、妻が遊び心のある可愛い雑貨を色々と見つけてきては部屋のあちこちに置いてくれます。自分だけだと『木と葉っぱ』ばかりの空間になってしまうのですが、そういう小物が混ざることで、暮らしの柔らかさや可愛らしさがプラスされ、夫婦でうまくバランスをとっていますね」

 

家具も、自然の造形を活かした「一点もの」が空間のアクセントになっています。

 

奥様と「テーブルは一枚板がいいよね」と話し合って3年前に購入したダイニングテーブルは、食事はもちろん、夜に晩酌をしながら語り合う大切な場所。

 

「チュミスツール」は、前職で展示会に足を運んだ際に見かけてずっと憧れていたアイテムだったそうです。「木の形そのまま」の造形は、部屋の中心に置くことで空間に動きを生み出してくれます。

 

「朝食後、コーヒーを淹れて洋室のキャンプ椅子に腰掛け、植物に囲まれながらのんびりする時間が至福です」と語るこのやさん。

 

 

部屋にはヤモリやイモリの水槽もあり、サーキュレーターの風で揺れる葉音や水の音に癒やされるそう。

 

水槽は猫が絶対に手を出せない高さに配置し、植物も猫に安全な「ペペロミア オブツシフォリア」などを選ぶようにしています。また、「地べたに直接置くと猫がいたずらをしてしまうので、少しだけ高さを出してディスプレイするようになりました」と、生き物同士が心地よく共存できる細やかなルールが散りばめられています。

 

「植物をインテリアに取り入れる時は、手のひらサイズの小さなものから始めがちですが、個人的にはまず背丈のある大きな『シンボルツリー』を一つ買ってみるのがおすすめです。部屋の雰囲気がガラッと変わって植物と暮らしている実感が湧きやすいですし、大きい方が体力があって丈夫なので、初心者でも枯らしにくいというメリットもあります」

 

夫婦でDIYしながら育てるこれからの住まい

昨年フリーランスとして独立し、家で過ごす時間が以前より圧倒的に増えたこのやさん。現在の住まいには、働き方や暮らしの変化に合わせて、お二人の手で加えられたDIYのアイデアが至る所に詰まっています。

 

「実は、部屋の中で目に入る木材の8割くらいはDIYで作ったものなんです。前の家で使っていた木材をそのまま持ち込んで、今の部屋のサイズにはめ込んで再利用したりしています。ダイニングの壁際にある少し窪んだデッドスペースには、そのサイズにピッタリはまる妻のワークスペース用のデスクを作りました」

 

「他にも、ヤモリのケージを載せているキャビネットやテレビ台、最近では飾り棚としても使える本棚もDIYで作ったばかりです」

 

「自分自身の仕事場については、押し入れを簡易デスクにしてみたり、布団でゴロゴロしながらパソコンを開いたりと、まだ心地よい場所を模索中です」

 

自分たちの手で暮らしを最適化していく一方で、築古物件ならではのリアルな悩みとも上手く付き合っています。

 

「植物や生き物のために湿度を保つ必要があり、冬場は『象印のスチーム式加湿器』を常に2台稼働させています。その分、冬場は結露との戦いになるので、カビが発生しないようにこまめに水を拭き取るなどのお手入れは欠かせません」

 

「また、入居して一番驚いたのが、『部屋の照明の壁スイッチがない』という古いマンション特有の仕様でした(笑)」

 

「最初は戸惑いましたが、今ではスマート家電のタイマーなどを導入して、壁スイッチがなくても快適に過ごせるように工夫しています」

 

最後に、今後の暮らしの展望について伺いました。

「今の家でもキャットタワーを置いたりしていますが、将来的には、もっとたくさんの猫たちと一緒に、田舎の広い一軒家に住みたいという夢があります。賃貸だとどうしても『壁に穴を開けられない』といった制約がありますが、持ち家になれば、猫たちのために本格的な運動スペースや陽の当たる専用の居場所を作ってあげられますし、壁を漆喰で塗るなど、自分たちの手で徹底的にDIYを楽しんでみたいですね」

 

とはいえ、今の住まいでの暮らしも「まだまだ完成形はない」と笑顔で語ります。

「今の部屋も、妻と話し合いながら『本当にここがベストかな?』と定期的にレイアウトを見直したり、新しいDIYで手を加えたりしています。新しい一軒家に引っ越したとしても、きっとこの作業はずっと続いていくんだと思います。これからも、大好きな猫や植物に囲まれて穏やかに暮らしながら、夫婦で居心地の良い空間を育てていきたいです」

 

お互いの「好き」を尊重し合い、時に意見を交わしながら、生き物たちとの暮らしをDIYで柔軟に形づくっていく。お部屋の至る所から、お二人の穏やかで温かな暮らしの息遣いが感じられる、愛情にあふれた素敵な住まいでした。

 

このやさん(@konoya_nekotokusa)のInstagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/konoya_nekotokusa/

 

text & photo : Tsubottle

 

*

出典: goodroom journal 

記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)

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