CULTURE & LIFE

窓から差し込む柔らかな光が、赤みがかったブラウンの家具と、無機質なステンレスの質感を照らし出す。 都内の築35年のマンションで暮らすMayaさんのお部屋は、まるで街角にあるお気に入りのカフェのようです。 古い建具や床の質感をそのまま受け入れるのではなく、自分の手で「好き」な空間へと書き換えていく。そんな意志のある暮らしがここにあります。

 

エスプレッソマシンで始まる、香りのある朝

玄関を抜け、LDKに入ってまず目を引くのが、窓際まで広がる開放的な空間と、こだわりのキッチンスペースです。
「コーヒーを淹れるのが好きで、キッチンの一角をどうしてもコーヒースペースにしたくて」。そう語るMayaさんが作り上げたのは、アイランドスタイルのカウンター。

 

壁付けのキッチンに沿って、ステンレスユニットシェルフを配置することで、使い勝手の良い空間に。

 

そのカウンターに鎮座するのは、愛用のデロンギのエスプレッソマシン「デディカ」と、豆を挽くグラインダー。
「デディカは初心者向きのモデルですが、すごく美味しく淹れられるので気に入っています。自宅でラテや、たまにはエスプレッソマティーニを作ることもあります」

 

特筆すべきは、その足元と壁面です。
「こういうタイルのあるお家に憧れていたんです」と語る通り、床にはテラコッタ風のクッションフロアが敷かれています。

 

壁には質感のあるタイルシートを施工。賃貸でありながら、原状回復可能なDIYで、海外のアパルトマンのような「タイルのある風景」を実現しました。

 

朝、マシンのスイッチを入れ、豆を挽く音と香りが部屋に広がる。 丁寧にフォームミルクを作り、ラテを淹れる。 そして、それを愛用のスマートカップに移して、そのまま街へ出かける。そんな一連の所作そのものが、Mayaさんの暮らしのリズムを作り出す、大切な儀式になっています。

 

色合いを意識する、空間のルール

14畳ほどの広々としたLDKは、Mayaさんの美意識によって緩やかにゾーニングされています。 たくさんの家具や雑貨が置かれていますが、雑多な印象を与えないのは、明確な「色と素材のルール」が存在するからです。

 

「使う色と素材にはこだわっていて、木の色味と金属の色味は統一するようにしています。木材なら『赤みがかったブラウン』、金属なら『シルバー』。そこに差し色として『オレンジ』を加えるのがマイルールです」。

 

リビングの主役となっているのは、栃木県のアウトレット家具店で偶然出会ったという、大きなレザーソファ。「ブランド名は分からないのですが、この座面の赤茶色と、脚がシルバーになっているデザインがドンピシャで好きでした」。

 

背もたれを倒せばベッドにもなるという機能性もさることながら、そのヴィンテージライクな佇まいが、部屋全体のトーンを決定づけています。

 

そして、空間にリズムを生み出しているのが「丸い」家具たち。 ダイニングには roomnhome(ルームアンドホーム) のラウンドテーブル、リビングにはFrancfrancの鮮やかなオレンジ色のスツール「ボムリー」が置かれています。

 

「四角い部屋の中で、丸いアイテムを置くことでリズムが取れるようにしています。特にこのオレンジのスツールは、独特な形と色が気に入ってネットで見つけて即決しました」

 

シックなブラウンとシルバーのベースに、遊び心のあるオレンジと曲線を加える。 まるで洋服をコーディネートするかのように、Mayaさんは空間を編集しています。

 

昼と夜で表情を変える、映像と音楽のラウンジ

フリーランスとして自宅で働く彼女にとって、この部屋はオフィスであり、安らぎの場でもあります。 オンとオフの境界線を引くスイッチとなるのが「照明」と「映像」です。

日が暮れて仕事が終わると、Mayaさんはスマートライトのアプリを操作します。 日中の白く明るい光から、温かみのあるオレンジ色の光へ。そして照度をグッと落とす。
「仕事が終わったタイミングで、頭を切り替えたいんです。照明を落として、『お休みモード』にします」

 

夜のリビングでは、壁面に高性能プロジェクター「XGIMI HORIZON」で映像が投影されます。

 

「テレビのように常時置いておきたかったのと、昼間でも鮮明に見える明るさが欲しくてこの機種を選びました」
再生するのはYouTubeのお気に入りプレイリスト。 映像と共に空間を満たすのは、こだわりの音響機器から流れる音楽です。

 

リビングの壁際に置かれた Bauhaus のシェルフ。木とステンレスの組み合わせが美しいこの棚は、Mayaさんの趣味の祭壇です。

 

ここにはレコードプレーヤーが置かれ、中森明菜のような昭和歌謡から、最近お気に入りのオーストラリアのバンド「Glass Beams」まで、新旧問わず心地よい音楽が選ばれています。

 

さらに、その横には陶芸教室で自作したというオリジナルの香炉が。引き出しにストックされた、たくさんのお香からその日の気分で香りを選び、火を灯す。立ち上る煙、揺れる映像、心地よい音楽、そして薄暗い照明。そこはもう、自分だけのために用意されたプライベート・ラウンジのような空間になっています。

 

「育てる」楽しみ。植物と余白のある部屋

整えられた空間の一角に、あえてラフな「余白」や「崩し」があるのも、この部屋の魅力です。
ダイニングの窓辺に設けられた「ブックヌック」は、秘密基地のような読書スペース。

 

「本屋に行くたびに1冊、2冊と増えていく」という本たちが、IKEAの棚に並びます。床にクッションを置き、窓から入る光を感じながらページをめくる時間は、何にも代えがたい贅沢です。

 

窓際で青々とした葉を広げるのは、4〜5年前から育てているというフィカス(ゴムの木)。「買った時は本当に小さかったのに、引越しのたびに一緒に移動して、こんなに大きくなりました。

 

今は新しい植物を増やすより、今ある子たちを大事に育てたいと思っています」

植物の成長は、Mayaさんの東京での暮らしの軌跡そのものです。

 

63㎡の2LDKという贅沢な間取り。 実はまだ、手付かずの「もう一部屋」が残っているといいます。
「服の部屋にするか、トレーニングが好きなのでトレーニングルームにするか……これから考えていくところです」

 

また、音楽が好きな彼女は、将来的には楽器をもっと自由に楽しめる家に住みたいという夢も持っています。

 

完成させすぎず、余白を残しながら、自分の感性と成長に合わせて住まいを育てていく。 Mayaさんの暮らしは、丁寧に淹れられたラテのように、味わい深く、温かな空気に満ちていました。自分自身の「好き」に正直に、心地よさを追求したその先には、きっとまた新しい景色が待っているはずです。

 

Mayaさん(@maya_cohal)のInstagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/maya_cohal/

 

text & photo : Tsubottle

 

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出典: goodroom journal 

記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)

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