CULTURE & LIFE
全国各地の「可愛いお土産」を紹介し、大人気の連載【旅するデザイナーがおすすめするお土産たち!】。他ではなかなか見つからない通なセレクトは、デザイナーrumiさんが全国各地を実際に旅をして、その地域に根付く文化や作り手の背景まで掬い上げているからこそ。お土産への愛着が詰まったレポートとともに、地域別に注目度の高かったお土産をご紹介します!
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【福岡県】新しいけどどこか懐かしい!ニヤリと笑う、もこもこ羊が目印「和菓子×駄菓子 ひつじや」
福岡には空港、駅、どこを見てもお土産三昧。札幌、京都もなかなか悩みますが、同じく福岡もお土産市場が絶賛大爆発中。来る度に新商品も増え、荷物がお土産でいっぱいになってしまうことも。今回のお土産をどうしようか悩んでいると、SNSで、むむむ、と気になるパッケージデザインを発見。なんだ、、この気になる羊は!ということで、早速お店に直行しました
お店の名前は「和菓子×駄菓子 ひつじや」。和菓子と駄菓子を融合させた新しいお菓子の専門店です。かわいくお洒落にデザインされた和菓子や駄菓子など、見たことのない新しい伝統菓子を販売しています。のれんも、雲のような、羊のような。とてもシンプルなのに目を引きます。かわいい! 店頭で多くを語りすぎていないところも、こだわりを感じます
そして今回お土産に購入したのが、この2つ。パッケージデザインが上品でユーモアがあり、お土産にも自分へのご褒美にもぴったりです。
こちらのお菓子の商品名は「サクサクサクサクサクサクサクサク」。何回言ったか分からなくなります。呪文のよう。
こちらの商品は「二笑」。羊の顔がお菓子のパッケージに印字されています。かわいくて食べたいけどなかなか食べられません!上の「阿の餅」は、厳選された北海道産小豆をじっくりと炊き上げ、柔らかな羽二重餅で優しく包んであります。下の「吽の饅頭」は、口どけの良い国産手亡豆の白餡を、アーモンド粉・山芋粉をブレンドした皮で包み、風味豊かに焼き上げてあります。しっとりしていていくつでも食べられてしまう美味しさです。店舗の方に聞いてみると「和菓子×駄菓子 ひつじや」は、宇美八幡宮の和菓子屋「季のせ」の新たなブランドとしてオープンしたお店とのこと。味も◎ですが、こうしてデザインに力を入れることによって、また新たな価値が生まれるということを教えてくれている、ユーモアたっぷりの素敵なお店でした。ニヤリと笑う、もこもこ羊を見ると、ついこちらも同じように笑顔になってしまいます。
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【長崎県】桃の節句には長崎県「松翁軒」のかわいい縁起菓子「桃カステラ」を!
長崎県出身の同僚に、おすすめの長崎土産は?と質問したころ「松翁軒」の「桃カステラ」と答えが返ってきました。「桃カステラ」という名を初めて聞いたので早速調べてみました。見たことのない可愛いビジュアルに心奪われお取り寄せをしてみました。3月3日はひな祭り。桃の節句とも呼びますが、これは昔中国で上巳(じょうし) の日に桃の種の仁から作った薬湯を飲むという習慣が渡来したことからといいます。そして中国では古くから桃の実は不老長寿の果実として尊ばれています。「松翁軒」の「桃カステラ」は出産祝いや節句などに作る桃の実を模した縁起菓子です。カステラは南蛮船の渡来で外国との貿易が許されたころに伝来しました。「桃カステラ」はスペイン・ポルトガルや中国の文化を折衷した異国の香りが漂う長崎らしいお菓子なのです。異国情緒あふれる包装紙に包まれた「桃カステラ」。なんと、一緒に「桃カステラ紀行」が送られてきました。ちょうど単行本のようなサイズでとても可愛いです。
箱を開けると、、出ましたー!この可愛さ!はい、桃!なんて幸せな形状。やさしいピンクのグラデーションが素敵です。卵、砂糖、小麦粉、水飴を合わせ混ぜたカステラの種を桃型に流して天火で焼き上げ、その上にすり蜜(フォンダン)を二回かけ、乾いて白くなってから色をさし、葉と枝の飾りをして桃の実に似せている「桃カステラ」。鮮やかな色とやや濃厚な甘味に包まれながらもカステラの風味のよさとしっとりとした柔らかさが生きています。
うん、、、甘い!個人的にはすり蜜がかなり濃厚に感じつつも、どこか懐かしい甘さに癒されます。しっかり濃い目のお茶やコーヒーと相性ぴったりです。3月3日の桃の節句に合わせてオンラインストアから購入することが可能です。
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【長崎県】九州最北端の国境離島 対馬の「柚子粉と柚子塩」&持ち帰るのがドキドキ!「対馬せんべい」
博多港から対馬へ。ずっと見たいと思っていた景色を見ることができました。青い海。青い空。もこもこ小さな島々。まるでパラオのよう。対馬から博多までは海路147km、釜山まではその半分以下の49.5km。韓国ととても近い場所に位置します。大昔から大陸からの最初の砦として日本を守り続けてくれた対馬は、日本の離島では3番目に大きな島となります。原生林や美しいリアス式海岸など、豊かな自然に囲まれた対馬は、トレッキングやシーカヤックなどが人気です。
対馬のお土産には「つしま大石農園の柚子粉・柚子塩」。変わった形の「対馬せんべい」を購入。つしま大石農園は対馬の佐護地区でお茶と柚子の生産・加工をしている農家さん。森林面積が9割という山が多い対馬に合った新しい産業をこの地に作ろうとお茶の木を植えたところから、つしま大石農園は始まりました。対馬は自然が豊かな一方で、傾斜地が多く田畑を作るのが難しい側面があります。そんな土地に合った作物は何かと探る中で、お茶とゆずに辿り着いたのだそう。柚子は日当たりと水はけが良い土地であれば栽培が可能で無農薬栽培が比較的簡単なため、まさに対馬の土地に合った作物なのです。柚子は、皮を柚子胡椒や陳皮に、果汁はポンスに、種はお茶や化粧水に、と多様な使い道があり、捨てるところはほとんどありません。柚子の生育はゆっくりで、収益が上がる「成園」までには植えてから10年と時間はかかりますが、100年以上栽培していける作物なのです。
こちらは対馬十万石本舗「あさづま製菓」の対馬せんべい。「あさづま製菓」は創業100年を超える老舗のお菓子屋さんです。この曲がり具合。割って食べるか、そのままかじるか、ちょっと悩みます。なぜわざわざこの形になったのかは謎ですが、透明ビニール袋にそのまま10枚ほどがガサガサと入っているため「日本一持って帰るのに緊張するせんべい」認定です(個人の感想です)!せんべいは、卵、小麦粉、砂糖を原材料にしたシンプルなお菓子。一度食べるとすっかり虜に!真ん中の黒胡麻が途中でふんわりと香り、甘くサクサク。どこか懐かしさを感じる卵せんべいです。対馬を離れて暮らす対馬出身者、そして「おみやげにいただいて美味しかったから」というお客様からの注文が絶えないのだそう。割れるのが気になる方は、箱入りもあるので探してみてくださいね。
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【大分県】大分といえばこれ!モケモケパッケージが目印の異国情緒あふれる洋風和菓子「ざびえる」
大分の友人に「大分土産といえば!」というお菓子を紹介してもらいました。その名も「ざびえる」。ざびえるって、あの社会で習ったザビエル?と頭をよぎります。そういえば、大分空港に到着した時に一番最初に目に飛び込んできた大きな広告も「ざびえる」だったことを思い出しました。名前の由来はそう、日本にはじめてキリスト教を伝えたことで知られる宣教師「フランシスコ・ザビエル」です。天文20年(1551年)豊後の国を訪れたフランシスコ・ザビエルは、大友宗麟の庇護を受け、神の教えを広めると共に、小学校や大病院を次々に建て、府内の街(現在の大分市)に、南蛮文化の花を咲かせました。その功績を讃えて、和洋折衷の菓子・南蛮菓「ざびえる」が誕生しました。そして、これがその「ざびえる」。レトロ かわいい包装紙にワクワクします。
そっと包装紙を開けてみると中からは、想像していた箱!ではない箱が出てきました。真っ黒。しかも、なんかモケモケしている!!驚いたことに全面ベロアのような手触りの箱だったのです。こんな箱のお土産に出会ったのは初めてです。箱は聖書のようなデザインになっています。一番上の手書きの文字はフランシスコ・ザビエルのサインのようです。
聖書のようなモケモケ蓋をそっと開けてみると、ひとつひとつ丁寧に包装されたお菓子が並んでいました。
袋をあけると、ふわっとバターと上品な甘さが広がります。ん〜いい香りです。お皿に乗せると金色の繭のよう。しっとり白餡がしっかり入っています。食べてみると上品な甘さの餡とバターの香りが口に広がります。「ざびえる」には「金のざびえる」 と「銀のざびえる」 があります。「金」 の方は餡にラム酒につけたレーズンを練りこんであり、 「銀」 にはプレーンな白餡が入っています。バター風味豊かなビスケットもポイントです。50年以上愛され続ける大分を代表するお菓子がこんなにも個性的であることを、今回の出張まで知りませんでした。南蛮菓子の伝統を受け継いだ、異国情緒あふれる洋風和菓子「ざびえる」。大分に行かれる際はぜひ。
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