CULTURE & LIFE
東急世田谷線に乗って、松陰神社前駅で降りると見えてくる「松陰PLAT」。 その1階にフラワーショップ「duft(ドフト)」はあります。
どこからともなくにおい立つ草木の香りに、ふと過ぎる微かな思い出。
記憶が香りをたどっていくと、感覚がすっと研ぎ澄まされていく。
花のある繊細でひそやかな日々を届けることが、「duft」のコンセプトです。
「duft」には町のお花屋さんではあまり見かけない、珍しい種類の草花が並びます。
名前を知らない目新しい花々。
見たことがないはずなのに、その香りはなぜか懐かしさを帯びています。
むずがゆいような、そして心地良いような、不思議な感覚が「duft」には漂います。
このお店のオーナーである若井ちえみさんは、独立して3年ほど。
「花屋」という仕事を選んだ若井さんのストーリーをうかがいました。
花屋が仕事になった理由
若井さんは、北海道出身。
地元に住んでいた時はまだいろいろな仕事に興味がある年頃で、花屋は掛け持ちして働いていたアルバイトのうちの一つでした。
この頃は、花屋として生きていくことは思い描いていなかったといいます。
唐突に転機がやって来たわけではなく、アルバイトとして仕事を続けているうちにその興味が深まっていったそう。
花と花、色と色との組み合わせ。
お客さんと会話しながらつくるアレンジメントやブーケ。
少しずつ花屋という仕事に惹かれはじめ、自然と花と生きることが心に決まりました。
外からの刺激を求めて選んだ拠点
花屋になろうと決めた後、若井さんはその拠点について考えます。
このまま北海道で花屋をする選択肢と、地元以外の場所で働くという選択肢。
働く場所を選ぶことができる時代だからこそ、悩む日々が続きました。
そのうちに、「店頭で花を売る」という販売の仕事だけでなく、ディスプレイを飾ったり撮影にも携わるようになり、仕事の幅広さや可能性を実感します。
「外から受ける仕事でしか得られないものもある。それならば東京で。」
そして、迷っているくらいなら上京してしまおうと、決意が固まります。
もっといろいろなスタイルの花屋を見てみたいという気持ちも膨らみ、挑戦することを選んだ若井さん。
この時、ちょうど25歳。新しい世界へと踏み出した瞬間でした。
ポリシーを持って向き合う
シチュエーションを大事にしたいので、アレンジの作り置きをしないのがポリシー。
花は、「どんな場所に飾るのか」によって見え方が変わってくるからだそうです。
贈る相手、生ける花瓶、好みなど、シチュエーションを一番に考えれば、たとえ花一輪でもその魅力は伝わります。
目的を決めつけてしまわず、目の前の人と一緒に作り上げること。
花を飾ったり贈ったりするシチュエーションを楽しんでもらう配慮も、大切な心がけの一つ。
空間を大切にしたい、ギャラリーのようなイメージで
ギャラリーや美術館が好きな若井さん。
お店づくりでは、花のある「空間」を見てもらうことを意識しているそうです。
「たくさんなくてもいいんです。自分が素敵だな、いいな、と思った花1つだけでも。そのたった1つを見てもらうためだけに存在するかのような空間づくりを目指しています。」
たとえ花を飾る場所や環境がどんなところであったとしても、「空間はその場所に左右されないこと」が重要と若井さんは言います。
主役である「花」の個性を、どう活かせば見てもらえるか、日々試行錯誤。
より魅力的に見せる方法と空間を模索しています。
草花に込める想い
「duft」はドイツ語で、「香り」という意味があります。
「雨にぬれた草木のにおいで夏のはじまりを思ったり、街路樹の香りで秋を感じたりすることがあるように、お店でも花の香りやにおいで季節を体感してもらえたら。」
毎日慌ただしくても、花の香りが心を落ち着かせることもあります。
普段はしまい込んだ甘酸っぱさや切なさの感情が、呼び起こされることもあるでしょう。
香りからふと何かを思い出す瞬間こそ、人の気持ちが動く時なのかもしれません。
花のある日々、深呼吸して香りを楽しむ
「一番好きな花はありますか?」という質問をすると、若井さんはちょっと困り顔に。
「花屋として年月が経つほどに、もっと花が好きになっていきます。
その時々のマイブームはあっても、どれが一番好きかは選べないです。
本当に、ぜんぶ好きだから。」
エキゾチックな雰囲気の中に、確かな芯を持っている若井さん。
その言葉一つひとつが、力強く明るくて真っ直ぐ。だから、とても魅力的。
だれかのために、自分のために。
明日は「duft」で、花を選んでみませんか?
duft(ドフト)
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷4-13-20 松陰PLAT #B
13:00 – 19:00 不定休
東急世田谷線「松陰神社前駅」徒歩1分
東急バス・小田急バス「松陰神社前」徒歩5分
text:五十嵐みずき
◆こだわり女子のモノコトWebマガジン「PeLuLu」より
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