CULTURE & LIFE
すっかりお家タイムが多くなっているこの春。私もしばらく電車に乗っていない日々が続いています。本当だったらお出かけしたい気持ちのいい季節ですが、もう少しの我慢。今回はこんな季節にぜひお出かけしていただきたかった那須にある「森林ノ牧場」をご紹介いたします。
Photo 森林ノ牧場
食卓が幸せになるチーズ「森林からのふくぶくろ」。
「森林ノ牧場」のミルク、バター、ヨーグルト、全部絶品で本当に美味しいのですが、特に今回ご紹介したいのが、福袋のようなかわいい形の「カチョカバロ」というチーズ。コロナウイルスの影響で、生乳が売れなくなってしまい、本当に困った状況になった牧場は、牛を減らすか、搾乳の回数を減らすか、といろいろと考えたそう。そんな中、「ジャージー牛たちの美味しいミルクでみんなを幸せにしたい。こういう時だからこそ美味しいだけでなく、食卓が元気になるようなものを作りたい!」と代表の山川さんが考え出したのが元気玉のような、まんまる「カチョカバロチーズ」を作るということ。その名も「森林からのふくぶくろ」。まるで七福神の大黒さんやサンタクロースが持っている袋のような形のチーズ。「みなさんの食卓が幸せになりますように。」そんな想いが込められているそう。
とっても希少な黄色いカチョカバロの秘密。
ジャージー牛は日本に0.7%しか飼育されていない希少な牛。乳脂肪などの成分が高く香りや風味が良いのが特徴です。放牧することでミルクは四季によって風味が移り変わります。季節によって放牧地の草の成分も変わるので、ミルクにも同じように季節感があるのだそう。春は草の栄養が高い季節。ビタミン類も多く、色は黄色くなり、香りの良いミルクになるため、このカチョカバロもほんのり黄色味のあるキレイなチーズに。チーズ職人が季節によって異なる成分や品質の微妙な変化に合わせながら伝統的な作り方で作っている国産のチーズなのです。そのまま食べてもおいしいですが、熱したフライパンで軽く焦げ目がつく程度に焼いたり、レンジで少し温めて食べるのがオススメです。トロトロだけれども歯ごたえもあり香りも良く、美味しくて子供から大人まで楽しめて、自分にも誰かにも贈りたくなるようなかわいい形のチーズです。焼いた時に出るチーズのオイルもとても美味しくて、パンにつけて食べると最高の食卓になること間違いなしです。
しかもこのカチョカバロ、中に緩衝材、ではなく牧草が入っているのです!思わず顔を近づけて牧草の香りを深呼吸!なんていい香りでしょう!牛さんたちがこの牧草を食べて、このチーズが出来上がったんだなあと、牧場を自宅で感じることができます。なかなか外出ができない中、逆に小さな牧場が我が家に来てくれたような、そんな感動があります。
「森林ノ牧場」が目指すもの。そこには訪れたくなる秘密がありました。
以前、「森林ノ牧場」におじゃました時に一番驚いたのが、牧場内は自由に出入りし、牛さんたちと交流しても良い、ということ。「森林ノ牧場」の牛さんたちはとても人懐こく、可愛いんです!人を怖がることなく、ゆっくりと優しい表情で近づいてきてくれます。しかも「森林ノ牧場」は、その名のごとく森林の中にあり、森に牛を放牧して、森に生える草を食べてもらうという仕組みになっています。日本は面積の約7割が森という緑豊かな国なのですが、森林従事者の高齢化や安価な木材の輸入により日本の林業が衰退し、森林が十分に活かされていないのが現状。間伐されていない森や放置されている森が増え、災害などの社会問題が広がる一方、放牧の場所として森林を活用しようというのが「森林ノ牧場」なのです。さらに、現代の日本の課題である食糧自給、エネルギー自給を継続的に実現することを目指す牧場でもあります。「事業で地域の課題を解決したい。田舎にしかない仕事の作り方を考えないといけないんです。」と代表の山川さんはおっしゃいます。その真剣な眼差しと、愛情いっぱい牛さんたちと触れ合う姿は心打たれるものがありました。
コロナウイルスが流行し、なんだか大変な世の中になってしまったけれど、牛さんたちも、生産者さんたちも、元気にどうか過ごしていただきたい。こんな大変な時に美味しさと、感動をお家に届けてくれてありがとう。そんな気持ちでいっぱいになりました。今はオンラインストアでの購入がメインになってしまいますが、次に牧場に行った時はお土産として「森林からのふくぶくろ」を購入したいと思います。なかなか外出ができない日々が続きますが、みなさんの食卓が幸せいっぱいになりますように。
text:rumi
旅するデザイナー。芸大卒業後、インテリアやオーガニックコスメなどのグラフィックデザインを行い、今は会社員として「Soup Stock Tokyo」やファミリーレストラン「100本のスプーン」などのデザイン、店舗VMDなどを担当。秘境や島など旅先の日常を知るために日本の文化や新しい価値を探しに休日はよく旅に。VMDインストラクター、インテリアコーディネーター、ビアソムリエ、旅ライター、ときどきスナックのママでもある。
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