CULTURE & LIFE

 

「毎年10月初めに、コモ湖のヴィスコンティのヴィラでお花のイベントを毎年やっているのよ」とイタリア人の友達に聞いたのは2年前。

そのイベントに行こうと、イタリア北部コモ湖そばのホテルを予約したのは2年前でしたが、コロナの影響でイベントは中止に。今回、やっと2年越しで行くことができました。

 

パリからミラノまで飛行機で1時間半、そこから電車を乗り継ぎコモ湖に到着!

まずは友達のご家族が主催しているというお花のイベント「ORTICOLARIO」に行ってきました。

 

映画監督ルキノ・ヴィスコンティが過ごしたというヴィラ・エルバの広大な庭で開催され、1日中楽しめるようになっています。

このイベントでは色んな植木や花を買えるのはもちろん、色んなフルーツ、野菜の種類がオブジェとして展示されていたり、お庭のオブジェ、バッグや服やジャムなども売っています。手作りで鳥の巣を作っている素晴らしいアーティスト達とお友達になれました。

 

今年のテーマは「妖精」。たくさんの種類の薔薇とミニカボチャがかわいい。

 

 

普段入れないというこのヴィラ・エルバに入らせてもらい、ガイドさんに全てのお部屋の説明をしてもらいました。

 

もともとこのヴィラは19世紀実業家のエルバ兄弟の富を誇示するために建てられたもので、その後ヴィスコンティのお婆さまが引き継ぎました。

床のモザイク画、壁や天井画、家具の手書きのペイントが美しく、大きな窓からはコモ湖が見えて、まるで夢の中のような異次元の場所。ここでヴィスコンティの高い美意識が育まれたのだと納得しました。

イタリア人の旦那さんから「ヴィスコンティの映画ではオリジナルの昔の衣装しか使わなかったから女優さんはコルセットで息ができなかった」とか、「お城の中の撮影では全部蝋燭の灯りだけで撮影したんだよ。もうこんな映画監督は出てこないよ」と映画を観ながら説明してくれたのを思い出します。

 

ヴィスコンティのお母様は離婚後このヴィラに一人で住み、一人でディナーをする時もドレスに着替えて食事をしたモダンな女性だったそうです。そしてプルーストやトスカニーニもこのヴィラに招いたとか。

 

 

コモ湖はとても広く、コモからベッラージョの街まで快速のフェリーで1時間。湖畔沿いには世界中の富豪の別荘がズラリ。

結婚式で新郎新婦が船でヴィラに到着する光景が見れたり、映画のワンシーンのようでした。

 

こちらはヴィラ・メルツィ。植物園のように木の名前や花の名前が書かれた札があってお散歩が気持ちいい場所です。

 

 

ベッラージョから北のヴァレンナにフェリーで渡り、ヴィラ モナステロへ。

10月でも夏のような太陽の日差しです。

 

 

そしてこちらは007やスターウォーズの舞台になったヴィラ・バルヴィアネッロ。

前日チケットを取ろうとしたらもう売り切れでしたが、旦那さんの交渉でお庭とヴィラの中に入るチケットも入手しました。

 

 

こちらは13世紀に聖フランチェスコ会修道院の教会として建てられ、船の遭難者を助ける場所だったそう。フランチェスコのマークが建物に掘られていたので気づきました。

その後所有者は何人か変わり、19世紀にはヴィスコンティ家が所有、20世紀にこのヴィラを買い取ったのはグイド・モンジーノ(イタリア人初のエベレスト登頂遠征隊のリーダー)。
彼は父親が経営するミラノのデパート13店舗から180店舗まで拡大した実業家でした。ある日友達から「スポーツをしない君は近くの山も登頂出来ないだろう」と言われて登山に挑戦してからというもの山の虜になり、マッターホルン、キリマンジャロの登頂成功、グリーンランド横断もイタリア人として初めて成し遂げた方だったのです。

彼はヴィラの図書室の一部を隠し扉にして、地下6階まで内部を完全に再装飾、遠征で入手した工芸品、アンティーク家具など素晴らしいコレクションが設置されていて美術館のようでした。

 

全ての植木が美しくカットされているのは、毎朝庭師が働いているからだそうです。

 

 

そしてチェルノッビオにある世界遺産のヴィラ・デステ!今回一番行きたかった場所です。

イタリア建築、イタリア庭園の傑作、有名なモザイク・ファサードの背後には山から流れ出るネオ・ルネサンス様式の階段噴水があります。この階段を登り切って振り返るとコモ湖の水面が見えるのも感動です。

 

 

そんなコモ湖の名物料理は、リゾットにお魚のフリットが乗った一皿。

お魚は湖で夕方18時に釣れたものをレストランに運ぶということでとても新鮮!毎日レストランに行くのが楽しみでした。

 

 

今回の旅でお花や木や山に囲まれて、自然が私にいっぱい元気をくれました。

また来年も行きたいと思うほどの素敵なイベント、「ORTICOLARIO」でした。

 

 

text:竹内 仁海

パリ在住11年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。

Instagram:@melodiesgraphiques

 

 

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