CULTURE & LIFE
サステナブルなおしゃれ
いつからか、毎日必ず、どこかで耳にしたり、目にしたりする「サステナブル」という言葉。日本語では、「持続可能な」と訳されています。本来、Sustainable(サステナブル)とは、「支持する・維持する」という意味のsustainと「可能である」という意味のableからなる言葉で、「維持することが可能な」ということを意味しています。1987年に国連総会で「自由な経済成長だけに基づく開発に代わるもの」として「持続可能な開発」という新しい概念が提唱されました。
それ以降、経済活動や社会活動を環境の維持と合わせて考え行動する動きが高まり、「サステナブル○○」(例:サステナブル・デベロプメント 持続可能な開発)という目標設定に使われるようになりました。
国連では2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で加盟国により「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、国際目標として「17の目標と169のターゲットからなる(持続可能な開発目標(SDGs))」を宣言しました。
(参考:
国際連合広報センター
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/
JAPAN SDGs Action Platform
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)
なんとなく、環境問題に結び付けて考えることが多く、トレーサブルな材料を使っている、とか、環境に良いものを使っている、というような判断基準に頼りがち。新しいものを買わず、ずっと使い続けることが、サステナブルな行動と思ってしまいがちですが、「経済を回す」というのも、大切なサステナブルな行動です。
着なくなった洋服はどうしたらいい?
これが、かなりの問題で、洋服を買うときには、とても気に入って買ったし、それを着ている時の思い出もあるし、まだ着られるし、また着たいし、と処分できない理由が色々あって、洋服は溜まる一方。断捨離として思い切って捨てるという選択肢もあるけれど、ゴミになるのも罪悪感がある。フリマアプリで売るというのも選択肢のひとつだけど、手間と時間を考えると、少し引いてしまう。原材料のトレーサビリティを考えてしまうと、同時に、わたしの洋服の辿り着く場所も気になってきました。
そんな時に、デニムのリユース、リメイク、アップサイクルをテーマにしたイベントの内覧会に行くチャンスがあったので、行ってみました。
デニム de ミライ~Denim Project~
昨年の年末、<リーバイス®️501®️>のアップサイクルをする企画、ということで3月から店頭に並ぶアイテムの展示会がありました。東京にある株式会社ヤマサワプレス(本社;東京都足立区)は、2019年に約20tの着古した<リーバイス®️501®️>とロサンゼルスで出会い、培ってきた技術で1本1本を手作業で丁寧に洗濯をして、デニムという素材に復活させて、それをデザイナーやアーティストとのコラボレーションで、別のアイテムに蘇らせるという「持続可能」なプロジェクトです。
<リーバイス®️501®️>
リーバイス®️のジーンズの中で定番中の定番。リーバイス®️はリーヴァイ・ストラウス氏がアメリカで1853年に作ったブランドで、金鉱で働く人たちのためにキャンバス地で作ったワークパンツが起源です。そして、1890年に作ったロッット番号<501>が商品名になりました。
3月23日から伊勢丹で開催されている「デニム de ミライ~Denim Project~」は本館・Men’s館全11拠点で展開されていて、約60以上のブランドが200以上のアイテムをアップサイクルし、満を持して、店頭に登場していました。
もともと、デニムが好きで、ワードローブの3分の1はデニムというくらいですが、直球的なデニムアイテムがほとんどなので、変化球的なアップサイクルされたアイテムはとても新鮮です。洋服はもちろん、クッション、壁掛け、シューズ、などなど。特筆すべきは、Disneyとのコラボ商品があること!シリアルナンバー入りのミッキーマウスのチャーム、Tシャツ、トートバッグ、など。大人が着られる、身に付けられる、さりげないDisneyアイテムはファンなら欲しいアイテムですね。
(白磁巾着:YUKI INOUE x KOTA OKUDA 展示会で撮影)
個人的に、「欲しい」と思ったのは、My First Artとして部屋に飾るのに良さそうなフラッグ。これは、ベッツィー・ロス旗と呼ばれる星条旗第一号として使われたデザインです。<リーバイス®️501®️>とアメリカ合衆国の歴史が詰め込まれた素敵なタペストリーとして活躍しそうです。
(フラッグ:Safari Lounge 展示会で撮影)
テンピュール®の丸いクッション。左のクッションはお尻とお尻が重なる感じでアイデアが可愛い!
(クッション:テンピュール® 展示会で撮影)
思わず試着した「leur logette/ルール ロジェット」のジャケット。カラフルなツイードと糸をほぐした飾りを襟や袖口に施して、しっかりと重みもあり、カジュアルなデニムという素材がぐんと格上げされています。
(ジャケット:leur logette/ルール ロジェット 展示会で撮影)
綺麗に洗濯された元古着の<リーバイス®️501®️>の山。かなり着古された感じで、これはこれで、味のある古着でもありますが。
(展示会で撮影)
束ねられた<リーバイス®️501®️>。穴があいているし、裾はほつれているし、本当にボロボロなのに、こんなに綺麗に洗濯をされていることにも驚きです。(お話では、元の状態では臭いもあったということなので、職人の皆さんの技に感動です)
お話に聞いていたボロボロの<リーバイス®️501®️>とは思えない綺麗な状態(展示会で撮影)
自分でできるサステナブルなおしゃれとは?
パリジェンヌのように、「大切に着る」ということは、自分ができるサステナブルなおしゃれのテーマ!とは思うものの、トレンドは意識したいと、ついつい買い足してしまい、洋服は溜まる一方で、それなりに愛着があるし、そのアイテムを使った気に入った着こなしがあるが故に、簡単に処分できないのが洋服。さらには、店頭ではとても気に入って買ったのになんとなく着る機会がなかったり、「さぁ、着よう」と取り出してみたら、シミがあったり、日焼けしていて、とても、そのままでは着られないというようなものまであったり。
「もう、着ない」と決心したら、その服はどうするか?ゴミとして捨てる前に、最近考えるのは、なんとかリサイクルできないか、ということ。下取りサービスでも、アイテムをそのまま古着として販売してくれるサービスもありますが、リサイクルに回してくれるサービスもあります。
洋服を買う時に、トレーサビリティを考えるなら、処分する時にもトレーサビリティを考えてみるのもその洋服オーナーとしての役割では?
また、シミなどが酷くて、染め直して着るというのも、いいアイデアだと思います。
染め直しに挑戦
これは、母から譲り受けた麻のジャケット。一度も着ていなくて、こんなにシミがついていて、染め直して着る、という選択肢を考えたものの、どこで染める?自分で染める?などと考えていた時に、目に入ったサービスが、「KUROZOME REWEAR FROM KYOTO」の黒染め。「KUROZOME REWEAR FROM KYOTO」は、京都にある100年間黒紋付だけを染めてきた「株式会社京都紋付」が2013年に始めた事業で、「深黒加工」という究極の黒に染める技術を使って、洋服の世界にも黒染めを展開しています。
染められる素材は綿、麻、シルク、羊毛などで、ポリエステルやアクリル100%のものは染め替え不可能です。染められる素材にあるものは、まさに、丁寧に着ればずっと着たいと思うようなものが多くて、シミなどで捨てるしかないと諦めるに諦められないものが多いから、まさに、黒く染めてき続けることができるなら、HAPPY!です。
Webでオーダーをして、約1ヶ月後に、染め上がったジャケットが戻ってきました。
ボタンは取り外して、染色後に付け直してくださっています。
セロファンを開けると、本当に、真っ黒です。糸はポリエステルのため、染まらず。それがアクセントになっています。
これで、また、何年も着続けることができます。
KUROZOME REWEAR FROM KYOTO
素材をしっかり選んで、丁寧に取り扱えば、ずっと着ることができる、これは、わたしができるサステナブルなおしゃれだな、と思います。
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