CULTURE & LIFE
クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第20回目のテーマは「パリジェンヌから学ぶ、女の生き方を考える映画」。時代や背景がそれぞれ違う3作品。ヒロインたちのパリジェンヌファッションにも注目の映画たちをご紹介します。
Do it Theaterのユーコンです。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。今回は「パリジェンヌから学ぶ、女の生き方を考える映画」ということで、『グッバイ・ゴダール!』『若い女』『女は女である』の3作品をセレクトしました。
パリジェンヌは、自分を持っていて、生き生きしていて、絵に描いたような素敵な暮らしをしているはず。そんなイメージが強いかと思いますが、一言にパリジェンヌといえども生き方は様々。今回はそれぞれ違った境遇のパリジェンヌの姿を描いた映画3作品をご紹介します。
Index
女の幸せって、男に尽くすこと? それとも……
title:『グッバイ・ゴダール!』
【story】
フランス映画に革命をもたらした巨匠・ジャン=リュック・ゴダール監督の元妻であるアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝映画。映画界の巨匠に見初められたアンヌには常に苦悩がつきまとっていた。「天才の妻」として生きるか、「一人の女」として生きるか。美しいアンヌの繊細な心の葛藤がカメラを通して描かれる。
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普通の生き方を嫌う偏屈な恋人に翻弄されるアンヌ。天才と暮らすのは刺激があって素敵な経験もできるけれど、それ以上に大変なことが多いんですね。
従順にゴダールの生き方に合わせていたアンヌは、だんだん自分のペースで自分の人生を生きたいと思うようになります。女性が恋に落ちて、その恋をだんだんと俯瞰し始め、最後には恋を捨て自分の道を歩む、という過程が現代女性のライフスタイルの参考になりそうです。
また本作は、はっと目を引く60年代パリのインテリアやファッションが満載。アンヌとゴダールの暮らすパリのアパルトマンは、ヘリンボーンの床に鮮やかな色使いのファブリックが際立つ、まさに憧れのフレンチ・インテリア!ボーダーカットソーとビビッドカラーのタイトスカートなど、春に向けて真似したくなるパリジェンヌファッションも要チェック!
パリジェンヌだって、いろいろ苦労してます。
title:『若い女』
【story】
アラサーのポーラは、長年付き合った写真家の恋人から突然別れを告げられる。ヤケクソになったポーラは彼の猫を盗み、パリの街へ繰り出す。パーティーでもいい男は捕まらず、仕事もうまく行かない。八方塞がりのポーラに明るい未来は訪れるのか!人生行き詰まったことがある人なら誰もが共感する、ちょいイタアラサー女子の人生録。
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この映画のヒロイン・ポーラはとっても親近感のわくパリジェンヌです。アラサーで、男にフラれ、やりがいのある仕事にもつけず、生きる目的も曖昧。こんな哀れな設定のパリジェンヌ映画はなかなかありません。だからこそ等身大のパリジェンヌが見えてきます。
人生は浮き沈みがあるもので、ドン底の時もあれば、ちょっとマシな時だってある。その一喜一憂も楽しんで、一歩一歩じっくり人生を歩んで行こうと前向きにさせてくれる作品です。そして、劇中のポーラの着こなしにも注目。ジーンズとTシャツだけできまるパリジェンヌのシンプルな着こなしもさることながら、扇子型のイアリングや大柄スカーフなど、斬新な小物使いで自分流ファッションを貫いているのもかっこいいです。
フランス映画界のミューズのファッショナブルな生き方に注目!
title:『女は女である』
【story】
一刻も早く子供が欲しい奔放なストリップダンサーのアンジェラ。しかし恋人のエミールは全く取り合ってくれない。そんな中、親友のアルフレッドに求愛され、エミールとアルフレッドの間でアンジェラの心は揺れ動く。”歌わないミュージカル映画”として、斬新なBGM使いと映像演出が光るクラシカルなパリジェンヌムービーの金字塔!
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60年代を代表する映画スターであり、ファッションアイコンでもあったアンナ・カリーナの魅力全開の本作。1960年代といえば、まだまだ男性中心の社会。そんな中で「私は女よ!好きに生きたいの!」と自由奔放に生きようとするアンジェラの姿を見ていると、細かいことは考えず本能のままに生きてみたい、と大胆な気持ちになれます。また、エミールとアンジェラのテンポの良い会話劇は「男って女の気持ちはわからない!」と女子なら共感間違いなしの脚本になっています。
また、本作は全編通して芸術性が高く、全てのシーンがオシャレ。カラータイツやベレー帽などの王道パリジェンヌファッションもぜひご参考に。ちなみに本作の監督はフランス映画界の巨匠・ジャン=リュック・ゴダール。本記事で紹介している『グッバイ・ゴダール!』とセットで観るのもオススメです。
様々なパリジェンヌの生き方を観られる映画3作品をご紹介しました。パリジェンヌの定義は諸説あるようですが、日本では「オシャレ・キレイ・上品」というようなパリジェンヌ像がメジャーかと思います。でも世界中の女性像が大きく変わってきているように、パリジェンヌの定義ももっと広義になってきている気がします。
クラシカルなパリジェンヌから現代の等身大の姿まで、様々な時代の女性の生き方を見れる映画って本当にいいものだな、と改めて実感しました。この3作品のパリジェンヌの生き方から、何か人生のヒントを得てもらえたら嬉しいです。
©LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.
『グッバイ・ゴダール!』
© 2017 Blue Monday Productions
『若い女』
販売元:オデッサ・エンタテインメント
『女は女である』
text : ユーコン(Do it Theater)
映画会社、映画・海外ドラマの翻訳業など経て現在はリモートワークにて二拠点生活中。最近の趣味は映画をテーマにした料理。好きなジャンルはマンブルコア、SF、アメリカ80年代モノ。ウェス・アンダーソン監督最新作の『The French Dispatch』が気になっています。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュースチーム。今年も開催した「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」では2年連続で野外シアターを上映!また 累計4万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫とマリンアンドウォークヨコハマの2会場同時開催の「シーサイドシネマ」、 ロックバンドSuchmosとタッグを組んだ「DRIVE IN THEATER Suchmos」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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