CULTURE & LIFE

クリエイティブチーム Do it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第117回目のテーマは、「働くって楽しい!初心に戻してくれる映画」です。

Do it Theaterの阪実莉(さか みのり)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

4月はお仕事で新しい出会いや挑戦があり、何かと刺激的な毎日ですよね。新年度を機に社内体制が変わり、改めて初心に戻って楽しみながら生活している方もいるのではないでしょうか。

今回は「働くって楽しい!初心に戻してくれる映画」をテーマに、仕事への様々な向き合い方にも注目しつつ、初心を思い出してモチベーションがアップできるような3作品、『AIR/エア』『舟を編む』『バクマン。』をご紹介します。

 

NIKE、“伝説のシューズ”誕生の実話

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title:『AIR/エア』

【story】

1984年アメリカ、ナイキ本社。シューズメーカーのナイキは人気がなく、低迷が続いていた。営業のソニー(マット・デイモン)は、CEO であるフィル(ベン・アフレック)からバスケットボール部門を立て直すよう言い渡される。妙案が浮かばず苦悩するソニーは、広告塔としてNBAの試合に出たこともない新人のマイケル・ジョーダンに目を付ける。のちに世界的スターとなるマイケルだったが、当時はまだ無名で他社ブランドのファンだった。ナイキと契約するつもりのないマイケルに対して、ソニーはナイキの社運を賭けた戦略を打ち出す。それは、マイケル・ジョーダンをモデルにしたシューズを製作することだった。

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バスケットシューズ「エア・ジョーダン」の誕生秘話を映画化した本作。学生時代にバスケットボールをされていた方々はあらすじだけでもすでに惹かれている方が多いのではないでしょうか?私もその一人です(笑)。

日本では公開時にそこまで話題になりませんでしたが、実はこの作品”歴史的傑作”といってもおかしくない成績を持っているんです。世界中の映画ファンが参考にする辛口映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では、90%以上はその年を代表する名作にしか与えられないと言われますが、当作はなんと100%の支持を得ました。
制作者の熱もメラメラと感じる本作は観客も巻き込み、本国アメリカでは上映後にスタンディングオベーションを起こすほど。
そして、俳優陣が豪華なのも魅力。『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でお馴染みの、マット・デイモンとベン・アフレック、ジェイソン・ベイトマンなど、名前を見ただけで、間違い無い…!と確信するほどの豪華さ。

作中、ソニーは社運をかけて新たな挑戦を行いますが、様々な困難にもアイデアと努力で立ち向かうことで着実に足を進め、ついにはブランドイメージを変えて伝説となるまでの彼らの生き様、仕事ぶりは圧巻です。
モチベーションという言葉で表すのが失礼に感じるほど、文字通りの”アツい”魂 が感じられ、ついのめり込んで見てしまいます。映画を見た後は仕事へのやる気が出ること間違いなしです。

 

出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の姿を描く


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title:『舟を編む』

【story】
1995年、東京。玄武書房の営業部に勤める馬締光也(松田龍平)は並外れた言語感覚を見込まれ、新しい辞書「大渡海(だいとかい)」を編纂する辞書編集部に迎えられる。そこには、定年間近のベテラン編集者から、女性誌から異動してきた若い女性編集者まで、世代も性別も異なるが、辞書作りに情熱を注ぐ面々が集まっていた。個性的な編集部の面々に囲まれ、馬締は辞書の世界に没頭する。そして出会った運命の女性、林香具矢(宮崎あおい)。言葉を扱う仕事をしながらも、香具矢に気持ちを伝える言葉が見つからない馬締だったが……。

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2012年本屋大賞で第1位を獲得した三浦しをんの同名小説を映画化した本作。主演を松田龍平、助演を宮崎あおいがつとめ、監督は『川の底からこんにちは』『ハラがコレなんで』の石井裕也。第37回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞ほか6冠に輝いた作品です。あらすじを見ると恋愛映画のように思えますが、実はこの作品、他の視点でも楽しめる作品です。

主人公・馬締は来る日も来る日も、数えきれないほどの「言葉」の用例採集と校正を行うため、言葉たちとひとつずつ真摯に対峙し、少しずつ辞書作りを進めていきます。正直、気が遠くなるような作業ですが、羨ましいくらいにチーム全員の気持ちが同じ方向に向いていて、着実に前へ足を進めていく彼らの仕事ぶりに、静かなる情熱を感じます。

毎日コツコツその努力を積み重ねて、チーム全員で協力して何かを成し遂げる。派手さはありませんが、達成できた時の嬉しさは何にも代えがたい幸せ。そして、そんな彼らの仕事の中で生まれる感情の機微も、繊細に描かれています。頑張り方も人によって多種多様。こんな頑張り方ももちろんありですよね。お仕事していく中で何かを達成すると、どんなに大変でも「頑張ってよかった」と思えるものです。本作は、そんなふとした気持ちを思い出せる作品です。ぜひ観てみてください。

目立たない二人の高校生が週刊少年ジャンプの一流漫画家を夢見る


Illustration_skpn

title:『バクマン。』

【story】
高い画力をもつ高校生の真城最高(佐藤健)は、同じクラスの秀才・高木秋人(神木隆之介)から一緒に漫画家になろうと誘われる。プロの漫画家だった叔父を過労で亡くした過去を持つ最高は漫画を描くことを拒否するが、想いを寄せる声優志望のクラスメイト・亜豆美保(小松菜奈)と交わした約束をきっかけに漫画家を目指すことに。
最高と秋人はコンビを組み、夢の週刊少年ジャンプの連載を目指して日々漫画づくりに明け暮れる。そして、集英社へ持ち込み、敏腕編集者・服部(山田孝之)に才能を認められ漫画家としての第一歩を踏み出す。しかし、そんな2人の前に同年代の天才漫画家・新妻エイジ(染谷将太)が現われる。果たして最高と秋人はジャンプ連載を勝ち取ることができるのか……!

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主人公、真城と高木は誰もが憧れる少年漫画・ジャンプへ自身の漫画を掲載するのが夢。そんな夢を叶えるべく、様々な人の力を借りながらもひたむきに努力する二人の様子が、ダイナミックな映像と共に描いています。

彼らは夢に向かってタッグを組んでいますが、仕事をする上でチームワークが求められる方も多いのではないでしょうか。どんな仕事であっても、個人によって必ず得意不得意の分野はありますよね。
チームの中で、自分と異なるタイプの人ももちろんいますが、お互いに信頼しあって得意分野を活かしつつチーム全体のパフォーマンスを向上させる。もしくは切磋琢磨し競い合うことで刺激しあって能力や経験値を上げる。これは一人で仕事していると出くわせない、チーム戦ならではの仕事の醍醐味です。
自分一人の能力ではなく、チームワークと信頼関係で、チームの能力値を何倍にもできる。ゲームでいうとブーストモードのようなものでしょうか? そんな仕事の面白さも感じられる作品ですよ。

4月から夢を叶えるために自分の道を追いかけている方に観ていただきたいです。
自分の足で前に進んでいくんだぞ! という、そんな熱い気持ちを思い出させてくれる作品ですよ。

 

今回は「働くって楽しい!初心に戻してくれる映画」をテーマに、『AIR/エア』『舟を編む』『バクマン。』 の3作品をご紹介しました。
4月は意外とあっという間。環境が変わる中で、仕事への向き合い方も手探りで感じられてくる時期かと思います。コツコツやるも、夢のために奔走するも、正解はありません。初心に立ち戻ってモチベーションをキープしつつも、自分なりの「働くことの楽しさ」を見つけられると良いですよね。

『AIR/エア』

監督:ベン・アフレック
出演:マット・デイモン、ベン・アフレック、ジェイソン・ベイトマン
2023年 アメリカ 112分
Prime Videoで配信中

『舟を編む』

監督:石井裕也
出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー
2013年 日本 133分
Prime Videoで配信中

『バクマン。』

監督:大根仁
出演:佐藤健、神木隆之介、小松菜奈
2015年 日本 120分
Prime Videoで配信中

阪実莉(さか みのり)
北海道札幌市出身。学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、現在はDo it Theaterでアートディレクター・プロデューサーをしています。人生のバイブル作品は映画『あの頃ペニー・レインと』、漫画『NANA』。猫の顔を撫でてぺったんこにするのにハマっています。

 

●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com

 

design_Koinuma Kenichi

edit_Takehara Shizuka

 

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