CULTURE & LIFE
クリエイティブチーム Do it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第114回目のテーマは、「恋がしたくなる恋愛映画」です。
Do it Theaterの郡司恵(ぐんじ めぐみ)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
日本各地で雪が降り、まだまだ寒さの厳しい日が続いていますね。気がつくともう2月の終わりに差し掛かっており、バレンタインデーやホワイトデーの季節も一気にすぎてしまいそうです。今回はハートが溢れる季節に合う、『わたしの幸せな結婚』『恋人たちの予感』『ラストレター』と、恋っていいな、と思わせてくれる映画3選をご紹介します。
Index
愛する人を守り抜く
Illustration_skpn
title:『わたしの幸せな結婚』
【story】
名家の長女・斎森美世は実の母を早くに亡くし、幼い頃から養子として義母とその妹から邪険な扱いを受けてきた。そんな中、数多くの婚約候補者が逃げ出したと噂の、久堂清霞との政略結婚が決まってしまう。久堂家で共に過ごしていくうち、美世は、清霞が噂のような人物ではないことに気づいていく。清霞もまた、これまでの婚約者候補とは違うものを美世に感じ、いつしか互いに心を通わせていくのだが…
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この作品は「異能者」という特別な能力を持つ人たちが描かれるファンタジーアクション作品で、ドラマ『Silent』で一躍役者として開花したSnow Manの目黒蓮の、映画単独主演デビュー作。漢という言葉が相応しい佇まいとアクションシーンの演技で、目黒蓮のファンでなくとも虜になってしまうこと間違いなしです。
また、驚くべきはヒロインを演じた今田美桜の完成度。普段のキラキラしたイメージとも異なる、素朴で芯のある美世役にピッタリの健気さをまとっており、彼女の新たな魅力を堪能できる作品となっています。この2人の演技のよさが、この作品の世界観を作り上げていると言っても良いと思います。
恋したくなるポイントとしては、政略結婚が理由で一緒になった2人が、少しずつお互いの良さに気づいて惹かれあっていくところ。見ている側もキュンキュンしてしまう場面が多々あるのでは!?
ファンタジーアクションという部分で異色のラブストーリーではありますが、かなり満足度の高い一作です。
男女の友情は成立する!?
Illustration_skpn
title:『恋人たちの予感』
【story】
大学を卒業したサリーと、ハリーは車でニューヨークに向かう。友人として語り合った二人は、互いの価値観を認められず険悪なムードになってしまう。歳月が過ぎ、空港でばったり再会した2人は、お互いの恋人についても相談し合う仲の良い友人になる。さらにその数年後、それぞれが独り身になった時、ふたりの関係に微妙な変化が訪れる。
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本作は、ロマンスコメディの女王として名を馳せたメグ・ライアンと、人気コメディアンでアカデミー賞の司会を9回も務めたビリー・クリスタルの掛け合いが最高に面白い、大人のラブコメディ。監督は『Stand by me』のロブ・ライナーが務め、アカデミー脚本賞にもノミネートされました。
お互いが惹かれあっているのにも関わらず、素直に「好き」という思いを伝えられない、友達以上、恋人未満な男女の関係性を描いています。面倒くさい男女と言ってしまえばそれまでなのですが、観ている側を焦らすようなシーンがたくさんあるのがこの映画の見どころ。くっつきそうでくっつかないその感じがとてもいじらしくて、最後まで主人公たちに振り回されますが、結末までいくと、ああ、恋ってやっぱりいいな・・と思わされます。
淡く切ない初恋
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title:『ラストレター』
【story】
姉・未咲の葬儀に参列した裕里は、未咲の娘・鮎美から、未咲宛ての高校の同窓会の案内状と未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために同窓会へ出向く裕里だったが、見た目も似ていることから学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう。そこで初恋の相手・鏡史郎と再会した彼女は、未咲のふりをしたまま彼と文通をすることに。やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の記憶をたどりはじめる。
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『Love Letter』『スワロウテイル』の岩井俊二監督が、自身の出身地である宮城県を舞台に、2つの世代の男女の恋愛模様と、それぞれの心の再生と成長を描いたラブストーリー。
岩井俊二の同名小説を原作としていますが、それぞれの役と切ないストーリーがマッチして、セピア色の青春時代を思い出させてくれる、心に沁みる作品になっています。
本作では、淡い初恋がテーマになっていますが、初恋の重さをしっかり描いており、岩井俊二作品らしいノスタルジックなラブストーリーに仕上がっています。近年で一番おすすめしたい作品なので、未見の方はぜひ。
今回は、「恋がしたくなる恋愛映画」をテーマに3作品をご紹介しました。
この世界には数多くの恋にまつわる話がありますが、今回の3作品もまた、それぞれの独特な世界観があり、描かれる恋にもそれぞれの特徴があるので、見比べてみるのも面白いと思います。バレンタインデーやホワイトデーの季節にぜひ観てみてください。
『恋人たちの予感』
1989年 アメリカ 95分
Prime Videoで配信中
『ラストレター』
2020年 日本 121分
郡司 恵(ぐんじ めぐみ)
学生時代にミニシアターでアルバイトをしていました。新卒でマネージャーとして映画館に勤めたのち、
現在はDo it Theaterでシアタープロデュースに携わっています。『あん』『人生フルーツ』『パターソン』など、日常にある幸せを思い出させてくれる作品が好き。
つい最近、雪が降る中の露天風呂という至高の体験をしました。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka
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