クリエイティブチーム Do it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第105回目のテーマは、「コーヒー片手に物思いにふけりたいときに見たい映画」です。

現在、受注販売中のオリジナルブレンドをお届けする「FUDGEコーヒー便」との連動企画です。

Do it Theaterの郡司恵（ぐんじ　めぐみ）です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

空はすっかり高くなり心地よい秋の風を感じるようになりましたね。アイスコーヒーを頼んでいた夏から一変、香ばしいホットコーヒーが合う気温になってきました。今回は、『場所はいつも旅先だった』『コーヒー＆シガレッツ』『人生フルーツ』と、秋のゆったりした空気にぴったりの映画をご紹介します。

 

一人旅は至高の自分時間

©︎Mercury Inspired Films LLP

title：『場所はいつも旅先だった』

【story】
『暮しの手帖』の元編集長、松浦弥太郎は早朝からダイナーに入り浸り、散歩をしてまた同じダイナーに戻る・・・そんな自由奔放な旅のスタイルで、サンフランシスコ（アメリカ）、シギリヤ（スリランカ）、マルセイユ（フランス）、メルボルン（オーストラリア）、台北・台南（台湾）の世界5カ国・6都市を巡る。「現地の人々の日常の営みを感じられる」という早朝と深夜を中心に、人々との出会いと日々の様子を映しだしていく。

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2011年に松浦弥太郎が著した旅にまつわる自伝的エッセイ集『場所はいつも旅先だった』と同名のタイトルながらも、内容は映画オリジナルで、一本のドキュメンタリーとして新たに誕生した作品です。
全編を通して映し出される雰囲気はまさに、エッセイを映像にしたようなもの。各地の映像にナレーションで添えられる言葉のひとつひとつがとても丁寧で美しく、この映画を通して自分自身の過去の旅の経験や、人生に思いを巡らせることができます。

SNS映えする観光名所をめぐる旅もいいですが、彼の旅には一味ちがった楽しみが詰まっています。
心の赴くままの旅を経験したことがない方は、こんな旅のスタイルがあるのか、と思うかもしれません。ですが、偶然の出会いを大切にする旅は直感力が研ぎ澄まされていき、「自分は何が好きで、どんな生き方をしたいのか」が自ずと見えてくることもある。この映画は、そんな旅の魅力も教えてくれます。

ある時はその土地に住む老人の言葉にハッとさせられたり、ある時は少年少女の瞳に心動かされる。
松浦さんの人々の生活の一部を体験する旅にはたくさんの気づきがあり、自分も一緒に旅をしている気持ちになれます。
世界各地のいろんな人の人生の一部を覗きながら、コーヒー片手に物思いにふけってみませんか。

 

大人の嗜みと贅沢時間

© Smokescreen Inc.2003 All Rights Reserved

title：『コーヒー＆シガレッツ』

【story】
ある話では見ず知らずの他人同士、ある話では仲の悪い双子、様々な関係性の登場人物たちがコーヒー（時に紅茶）を飲みながら、あるいは煙草を吸いながら、とりとめもない会話を繰り広げていく。
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この作品は10年以上にわたって撮りためられた11編のエピソードを綴ったオムニバス映画です。監督は数々の傑作を世に送り出してきたジム・ジャームッシュ。アメリカの人気テレビ番組で放送するために、『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニを起用して撮った短編が1話目の「コーヒー＆シガレッツ／変な出会い」として収録されています。その他のエピソードに登場する人物も、アメリカを代表するアーティストや俳優ばかり。3話目の「カリフォルニアのどこかで」では、超有名ロックミュージシャンのイギー・ポップが出演していたり、大人気コメディアンのビル・マーレイも登場する豪華絢爛っぷり。個性あふれる出演者たちによってよりユーモラスな作品となっています。

カフェで隣の席の会話に耳をそばだててしまう時ってありますよね。どうでもいいはずなのに気がついたら聞き入ってしまう、とりとめもない会話。ついつい聞いてしまうのは、そこにユーモアを感じたり、どこか共感したりしているからなのでしょうか。この映画は面白いことに、ワンシチュエーションで、登場人物がだらだらと喋っているのを一方的に観る（聞く）という構造になっているにも関わらず、途中で飽きがこないのです。
登場人物たちがあまりにもコーヒーと煙草を美味しそうに嗜むので、観ているこっちはコーヒーが欲しくなってしまいます。
たまには何も考えず、登場人物たちの関係性や人生に思いを馳せるのも、贅沢この上なし。秋のゆったり流れる時間に、心落ち着く一時を楽しんでください。

 

自分の人生と向き合う時間

Illustration_skpn

title：『人生フルーツ』

【story】
愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅に、ぽっかりと浮かび上がる小さな雑木林と一軒の平屋がある。そこに住む津端さん夫婦は、土壌を育て、庭で採れた野菜や果実を食べて暮らしている。コツコツと時を積み重ねていくという、現代日本が忘れかけている“ほんとうの豊かさ”を体現したような暮らしに行き着いた彼らの人生と、生活の知恵にフォーカスしていく。
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本作は東海テレビドキュメンタリー劇場第10弾。樹木希林さんの深みのあるナレーションで、ある夫婦の暮らしが語られていきます。庭で採れた果実でジャムを作ったり、知り合いと食べ物を交換したり。のんびり、でもこつこつと日々の生活を積み重ね、季節を重ねていく様子に、2人の力強い生命力を感じます。

お庭を手入れする様子や、手料理を美味しそうに頬張る様子、英子さんが修一さんの髪を切る様子など、映し出されていくのは彼らにとって当たり前の生活なのですが、その様子を観ていると、ささやかな日常がどれだけ愛おしくかけがえのないものかひしひしと感じるのです。

この映画を観終わった時には、不思議と充足感に包まれ、自分の生きている今を大切にしようという気持ちになれます。
お金より時間。お金より人。本当の豊かさとはなにかについて改めて考えさせてくれる、とても味わい深い一作です。

 

今回は、「コーヒー片手に物思いにふけりたいときに見たい映画」をテーマに3作品をご紹介しました。
どの作品もゆったりとした時間を過ごせて、じんわりと心に響く良作なので、お休みにコーヒーを淹れて、とっておきの自分時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

☞映画を見ながら、コーヒーが飲みたくなったら！現在、受注販売中のオリジナルブレンドをお届けする「FUDGEコーヒー便」をチェック！

 

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