CULTURE & LIFE
クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第99回目のテーマは「怖いだけじゃない! ホラー映画」です。
Do it Theaterの洲崎真紀子(すさきまきこ)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
7月、今年も夏がやってきました。家を出た瞬間から「早く帰ってシャワーを浴びたい!」と叫びたくなる…それが日本の夏。おうちや映画館で涼みながらの映画鑑賞が、まさに至福の時間です。
さて今回は「怖いだけじゃない!ホラー映画」をテーマに、『シックス・センス』『ラストナイト・イン・ソーホー』『永遠のこどもたち』の3作品をセレクトしました。この時期にぴったりの、ヒヤっとできる作品です。ホラー耐性のある方はもちろん、あまり得意ではない方、怖いというだけでは満足できない方にもおすすめですよ。ぜひ、チェックしてみてください。
Index
ネタバレ厳禁のホラー映画といえば、コレ!
Illustration_skpn
title:『シックス・センス』
【story】
小児精神科医のマルコムは、かつて自分が担当していた患者に銃で撃たれ、倒れてしまう。復帰を果たした彼は、8歳の少年コールを診ることに。コールには“死者の姿が見える”という、誰にも言えない秘密があった。友人や先生、母親にも打ち明けられず、周囲に心を閉ざしていたコール。しかしマルコムと交流を続けるうちに少しずつ打ち解けていき、ついに彼に秘密を打ち明ける。
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まずご紹介するのは、世界中で大ヒットを記録して話題となったホラー映画。言わずと知れた、M・ナイト・シャマラン監督(『オールド』『ヴィジット』など)の出世作ですね。
ホラーということで、ビクッとさせられるシーンもあります。ですが、秘密を抱えた少年の苦悩と成長、大人と子どもの心の交流といった人間ドラマが心に沁み入るストーリーで、観る者の心を温かくしてくれるのです。中でも、コールに助けを求めてやってくる少女の霊とのエピソードが秀逸。気づけば死者サイドに感情移入させられて、なんとも切ない気持ちになるのですが、そのおかげでコールの見ている世界が、得体の知れない怖いものから優しい世界に変わっていって、そこからはホラーらしからぬ感動と驚きの連続で…と、かの有名な衝撃のラストへと繋がっていきます。
今回数十年ぶりに見返したのですが、結末を知っているぶん、登場人物たちの感情に集中できて、新鮮な気持ちで観ることができました。観たことがない方はもちろん、観たことがある方にもおすすめです。
夢を叶えるのも、ラクじゃない。
title:『ラストナイト・イン・ソーホー』
【story】
ファッションデザイナーを夢見て、ロンドンのデザイン専門学校に入学したエロイーズ。しかし慣れない寮生活と同級生たちに馴染めず、一人暮らしを決意。新しいアパートで暮らしはじめた彼女は、毎晩1960年代のソーホーにいる夢を見るように。夢の中で歌手を目指す美しい女性サンディに出逢い、すっかり魅了されたエロイーズは、夜ごと彼女を追いかける。ところがある日、サンディが殺されるところを目撃して…
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続いては、ロンドンの歓楽街ソーホーを舞台に、異なる時代を生きる二人の女性がシンクロしていく、新感覚のホラー映画をご紹介します。『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督が手がけた、初のホラーということでも話題になりました。
前半は、デザイナーを夢見る女性のサクセスストーリーのようで(それはそれで観たい)、ホラー感はほぼゼロ。しかし油断は禁物です。後半は怒涛のホラー展開が待っています。そのスピード感は、まさにジェットコースタームービー。希望にあふれる物語のはじまりから急転直下、恐怖のあまり自らを見失ってしまう主人公エロイーズの変貌ぶりが見どころです。そして同時に、夢や憧れを壊されてしまった二人の女性の絶望や怒りに共感を覚えて、感情の揺さぶりもなかなかのもの。ご機嫌な音楽とラストのまとめ方が好印象で、不思議と嫌な気持ちが残らないところは、監督の手腕ですね。
質の良い睡眠の大切さにも気付かされる作品です(笑)。寝ているときは、いい夢を見たいですね。
母の信念は、揺るがない
title:『永遠のこどもたち』
【story】
孤児院で育ったラウラは、夫のカルロスと息子のシモンとともに古い屋敷に引っ越してきた。そこはかつてラウラが育った孤児院で、彼女は障害を持つ子どものための施設として再建することを決めていた。新たな生活がはじまるが、遊び相手がいない寂しさからか、シモンは空想の友だちとばかり遊ぶようになり、ラウラは心配になる。ある日、施設への入園希望者を集めたパーティーの最中に、シモンは突然姿を消してしまう。
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最後にご紹介するのは、スペイン発のサスペンス・ホラーです。
先にお伝えしておきますと、作品全体の雰囲気は決して明るくないですし、ややグロくて悲しいシーンもあります。ですが主人公のラウラはそれらを怖がる様子がなく、我が子を想う気持ちが恐怖に打ち勝っているようで、どこか安心した気持ちで観ていられるのが特徴です。何より、見えないはずの世界(=死者の世界)にひとりで立ち向かう母の強さに、心を打たれます。ほんのりとファンタジー要素が入り混じり、不気味なのに美しい独特な世界観もポイントで、『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロがプロデューサーを務めているときくと、なんとなく想像がつく方もいるかもしれません。
さらに終盤の伏線回収が見事で、サスペンスとドラマの部分でも「あぁ、なるほど!」と思わせてくれる満足度の高い一作になっています。ラストシーンは、悲しくも心に響く必見のシーンですのでお見逃しなく。
今回は「怖いだけじゃない! ホラー映画」をテーマに、『シックス・センス』『ラストナイト・イン・ソーホー』『永遠のこどもたち』をご紹介しました。ホラーだけど、感動でホロっとさせられたり、考えさせられたり、いずれも練り込まれた脚本でサスペンスやドラマも存分に楽しませてくれる作品たちです。ぜひ、この夏にチェックしてみてください。
『シックス・センス』
『永遠のこどもたち』
2007年 スペイン・メキシコ合作 105分
text :洲崎真紀子(すさきまきこ)
これまで興行会社やNPOで映画関連事業に携わる。現在は小さな娘と一緒に映画を楽しむ方法を模索する日々。先日『美少女戦士セーラームーンCosmos』を一緒に観てくれました!
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka
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