CULTURE & LIFE
クリエイティブチーム Do it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第92回目のテーマは、「春に観たい名作3選」です。
Do it Theaterの阪実莉(さかみのり)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
新生活が始まり新しい出会いがたくさんある季節ですね。「出会いがあると物語ができる」とも言われますが、まさに映画でも春の物語を扱っている作品はたくさんあります。そこで今回は「春に観たい名作3選」というテーマで、『君に届け』『春みたいだ』『花とアリス』の3作品をご紹介します。方向性の全く異なる3作なので、今の気分にあったものをぜひ観てみてくださいね。
Index
青春恋愛漫画を実写映画化
Illustration_skpn
title:『君に届け』
【story】
女子高生の黒沼爽子は、見た目が暗いことで周りから怖がられ、「貞子」というあだ名まで付けられている。しかし実は健気で善意のかたまりのような少女で、座右の銘は「一日一善」。そんな彼女にクラスの人気者・風早翔太は気さくに接し、爽子を徐々に周囲となじませていく。爽子は風早に思いを寄せ、やがて風早も利他的で前向きな彼女に特別な感情を抱くようになるが…。
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シリーズ累計発行部数3600万部を突破する椎名軽穂の人気漫画を、多部未華子と三浦春馬主演で映画化した本作。青春恋愛漫画の先駆けともなった原作をご存知の方も多いのではないでしょうか。桜が満開の道で2人が出会うシーンに当時中学生だった私は、「高校生になったらこんなことが起こるの?」とドキドキしていました(笑)。清らかな2人の淡い恋愛模様が、「想いは伝えないと届かないよ」と教えてくれます。また、爽子を支えるクラスメイトとの友情要素も素敵で、学園映画好きにも刺さること間違いなし。私は2010年公開の映画版がドンピシャ世代ですが、令和の女子中高生にもきっと響くだろうと思います!予告編を観ただけでも風早くんのことが好きになっちゃいませんか?
新進気鋭の監督が描く、春一番に観たい作品
©Daisuke Shigaya
title:『春みたいだ』
【story】
恋人同士のシンとカズ。ある日、ささいなことからシンに不信感を抱いたカズは、元恋人のタカシのもとへ向かう。しかし、彼には家庭があることがわかり、カズは居場所を失ってしまう。お互いを想う気持ちが、いつの間にか自分と相手を苦しめていくことに。
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PFFアワード2017でエンタテインメント賞(ホリプロ賞)を受賞したシガヤダイスケ監督の日本大学芸術学部卒業制作作品。2016年に制作された本作は、その後イスラエル、台湾、オーストラリアなど国内外10の映画祭に出品・上映されています。卒業制作の作品はなかなか観る機会がないと思いますが、U-NEXTで配信されており、本編は33分なので気軽に観ることができます。
同性愛者の男性3名を描いた本作は、「LGBTQものの恋愛映画」と括ってしまうのがもったいなく感じてしまうほどに美しい作品です。気持ちが大きすぎるがゆえにすれ違う、感情の抑揚に自分たちもついていけない不器用な愛の形をストレートに描いています。感情移入とは違う、心を奪われた感覚で自然に涙が出てしまいました。
春かと思えば、春ではない、春にはなれていない2人の物語。暖かい日がまだ続く前の、ちょうど今の時期にぜひ観て欲しい作品です。
岩井俊二監督の名作青春映画
Illustration_skpn
title:『花とアリス』
【story】
幼なじみのハナ(鈴木杏)とアリス(蒼井優)。自由奔放なアリスに振り回されてばかりの花は、アリスが一目ぼれした高校生を一緒に尾行するうちに、その彼と共に通学している宮本のことが気になり始める。ある日、宮本が頭をぶつけて気を失う場面に遭遇した花は、どさくさに紛れて自分が宮本の恋人であると彼に思い込ませる。嘘を重ねるうちにアリスまで巻き込んでしまう花だったが、その嘘のせいで今度は宮本がアリスに恋心を抱き、アリスもまた宮本にひかれていく…。
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『リリイ・シュシュのすべて』の岩井俊二監督が鈴木杏と蒼井優を主演に迎え、少女の恋と友情を描いた青春映画の名作。岩井俊二監督作品の魅力は言わずもがな、作品の空気感。作中に流れる時間の全てが宝物になっているような、美しさを感じる作品です。蒼井優演じるアリスが、オーディションで紙コップを使って急遽バレエを踊るシーンは頭から離れません。その他にも、桜がこれでもかと咲き誇る道で2人がはしゃぎながらお花見をしたり、落ちてる花びらを投げつけあって遊んだり…。青春の美しさがキラキラ輝いています。
学生時代、バイブル的に何度も観ていましたが、主人公たちの年齢から離れて久しぶりに観直してみると、作中の2人の心情変化がわかりやすく、良い意味で別物に感じました。自身の環境によって楽しみ方が違うのは映画ならではですよね。以前観たことあるよ、という方もこの機会にぜひ観直してみてください。本作と同じ監督&主演で、前日譚を描いた長編アニメも制作されていますよ。
今回は「春に観たい名作3選」をテーマに、『君に届け』『春みたいだ』『花とアリス』の3作品を紹介しました。春は様々な始まりや出会いがあり、ポジティブな気持ちに包まれる季節ですよね。今春も楽しくお過ごしくださいませ。
『君に届け』
『花とアリス』
text :阪実莉(さか みのり)
北海道札幌市出身。学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、現在はDo it Theaterでアートディレクターをしています。人生のバイブル作品は『あの頃ペニー・レインと』『下妻物語』『NANA』。札幌では5月に桜が咲きます。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka
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