CULTURE & LIFE
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クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第70回目のテーマは「<日本人監督特集>多幸感に浸れる映画」です。
Do it Theaterの洲崎真紀子(すさきまきこ)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
ゴールデンウィークに突入しましたね!連休は嬉しいけれど、そろそろ疲れも出てくる頃です。休めるときはしっかり休んで、メリハリをつけて有意義に過ごしたいものですね。
さて、今回のテーマは「<日本人監督特集>多幸感に浸れる映画」ということで、是枝裕和監督作品『海街diary』、HIKARI監督作品『37セカンズ』、岩井俊二監督作品『四月物語』の三作をセレクトしました。
四月からの新生活で疲れた心にそっと寄り添って、ほっこり優しい気持ちにしてくれる作品たちです。ぜひチェックしてみてください。
日本を代表する映画監督・是枝裕和が描く、四姉妹の成長物語。
Illustration_MARU
title:『海街diary』
【story】
鎌倉に暮らす香田三姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届いた。長女・幸(綾瀬はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)は、葬儀で異母妹のすず(広瀬すず)と対面する。父が亡くなり身寄りを失うも、葬儀の場では気丈に振る舞うすず。その姿をみた幸は、鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。こうして四姉妹の新たな生活が始まった。
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是枝裕和監督といえば、国内外の映画祭で数多くの受賞歴を持つ日本を代表する映画監督のひとりですね。『誰も知らない』『そして父になる』『万引き家族』といった、家族をテーマにした作品を多数手掛けてきたことでも広く知られていますが、本作の一番の見どころは、なんといっても四姉妹の美しさです。鎌倉の四季を背景に、日常の出来事を通して成長するその圧倒的な美しさは、まさに眼福。そしてそんな美しすぎる四姉妹は、それぞれがなんてことのない日々の中で恋や仕事に悩んで葛藤する、ごく普通の女性でもあるのです。笑ったり泣いたり、ときには怒ったりする。そんな風に一日一日を積み重ねていく姿が愛おしくて、いつまでも観ていたくなります…。眼にも心にも嬉しい映画でした。
ちなみに是枝監督の最新作は、韓国映画『ベイビー・ブローカー』(6月公開予定)ですので、そちらも要チェックです。
ベルリン映画祭で2冠!新鋭監督・HIKARIの長編デビュー作
©37 Seconds film partners
title:『37セカンズ』
【story】
脳性麻痺の貴田ユマ(佳山明)は、漫画家・SAYAKA(萩原みのり)のゴーストライターとして、ひっそりと社会に存在していた。一緒に暮らす過保護な母・恭子(神野三鈴)は、ユマの世話をすることが唯一の生きがい。ユマは母から日々干渉され続けることに、息苦しさを感じていた。ある日、自作の漫画を出版社に持ち込むが、女性編集長に「人生経験が少ない作家にいい作品は描けない」と一蹴されてしまう。その瞬間、ユマの中で秘めていた何かが動き出す。
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本作でメガホンをとったのは、アメリカで映画を学んだ新鋭のHIKARI監督。ベルリン国際映画祭のパノラマ部門で観客賞と国際アートシネマ連盟(CICAE)賞を受賞して大きな話題となりました。障がい者と家族、障がい者と性といった社会的なテーマを扱いながら、ひとりの女性のサクセスストーリーとしても楽しめる、エンターテインメント性の高い作品となっています。
なにより注目したいのは、主人公・ユマの行動力なのですが、どんな状況でもひたむきに、自分で自分の人生を切り拓いていく姿には励まされ、勇気づけられます。物語のラスト、キラキラと輝くユマの笑顔をみたときには、思わずこちらも笑みがこぼれました。自分に自信が持てなくなったり、一歩踏み出すことに迷ったら、きっと見返したくなる作品です。
アジアでも絶大な人気!岩井俊二監督が贈る、春とはじまりの物語。
©1998 ROCKWELL EYES INC.
title:『四月物語』
【story】
桜舞う4月、大学進学のため北海道から上京した卯月(松たか子)は、慣れない街でひとり暮らしを始める。新しい生活、新しい出会い、すべてが新鮮で驚きの連続だった。ある時、卯月は同級生に大学を選んだ理由を聞かれて言葉をつまらせる。卯月が大学を決めた本当の理由、それは人には言えない不純な動機だった…。
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本作を手掛けたのは、現実とフィクションの間にある“ちょうどいい具合の理想”を突いてくる独特な世界観が人気の、岩井俊二監督。『Love Letter』や『スワロウテイル』、『花とアリス』といった作品も有名ですね。その人気は国内にとどまらず、アジアをはじめ世界中で多くの人を魅了してきました。
本作は、そんな岩井監督が松たか子を主演に迎えて描く、爽やかな青春ドラマです。冒頭の桜吹雪の引越しシーンから、恋のはじまりを予感させるラストまで、全編を通して漂う不安と希望の混ざり合った春の空気感が夢見心地で、なんとも幸せな気持ちにさせられます。上京する卯月を見送る松ファミリー総出演のシーンも必見ですので、お見逃しなく。
今回は「<日本人監督特集>多幸感に浸れる映画」をテーマに、是枝裕和監督作品『海街diary』、HIKARI監督作品『37セカンズ』、岩井俊二監督作品『四月物語』をご紹介しました。全てを包み込んでくれるような優しさと、明日への活力につながる希望に満ちた作品たちです。映画を観たら、考えただけで憂うつになりそうな連休明けも、桜が咲き始めたあの頃のように新しい気持ちで迎えられるかもしれませんよ。ぜひ連休中にチェックしてみてください。
販売元: ポニーキャニオン
Blu-ray: ¥5280 / DVD: ¥4180
『四月物語』
Blu-ray: ¥4180
text :洲崎真紀子(すさきまきこ)(Do it Theater)
これまで興行会社やNPOで映画関連事業に携わる。現在は小さな娘と一緒に映画を楽しむ方法を模索する日々。
最近家族で『SING/シング:ネクストステージ』を観ました。続編も面白いってすごい。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出されたしいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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