CULTURE & LIFE
クリエイティブチーム Do it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第66回目のテーマは、「切ない、許されない恋を描く映画」です。
Do it Theaterの阪実莉(さか みのり)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
バレンタインが終わりましたね。恋愛に真っ最中の方は、年に一度の絶好の機会! チョコ、渡しましたか?気持ちを伝えることはできましたか…? 私は過去、学生時代に一度だけ、本命チョコを先輩に渡したことがありますが、緊張し過ぎて泣きそうになってしまったのが、今でも苦い思い出です(笑)。
今回はバレンタインにあやかり、「切ない、許されない恋」をテーマに『ロミオ&ジュリエット』『彼女』『寝ても覚めても』の3作品を紹介します。
少し悲しいテーマですが、たとえ告白が実らなかった人でも、映画の切ないストーリーに思い出が綺麗さっぱり浄化されるはず(笑)!
Index
対立組織同士の、許されない恋愛物語
title:『ロミオ&ジュリエット』
【story】
1996年、イタリア。「ヴェローナ・ビーチ」を支配する2大マフィア、モンタギュー家とキャピレット家の間では争いが絶えなかった。モンタギュー家の後継ぎであるロミオは、キャピレット家の仮装パーティーに忍び込んだ際、一人娘・ジュリエットに一目惚れをしてしまう。許されぬ恋と知りながらも、ロミオは想いを断ち切れずその愛を告白する。
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主演のレオナルド・ディカプリオ目当てで、観たことがある方も多いのではないでしょうか(若かりしレオ様が拝めます…)。まさしく恋愛映画の王道です!本作はタイトルにもある通り、シェイクスピアの有名な舞台劇『ロミオとジュリエット』をバズ・ラーマン監督が現代版として映画にしたラブストーリー。
作中の展開も、原作のシェイクスピアの古典的な部分は残しつつ、現代の若者特有の心情変化が鮮烈に描かれています。1997年公開で、実は25年も経っているのですが、今見ても色褪せない作品です。
二人の恋は、複雑な環境にたびたび苛まれなかなかうまくいきません。どうにか一緒になりたいと懸命にもがく、そのひたむきさが切なくも美しい作品です。また、衣装や美術も素晴らしく特にラストシーンには圧倒されます…。本作のジャケットカバー等のデザイン表記では、タイトルが『ロミオとジュリエット』でも『ロミオ&ジュリエット』でもなく『ロミオ+ジュリエット』となっている理由もわかりますよ。原作を知っていても楽しめるので、ぜひこの機会に観てみてくださいね。
逃避行ラブストーリー
title:『彼女』
【story】
高校時代から同級生の篠田七恵(さとうほなみ)に片思いをしていた永澤レイ(水原希子)。二人は10年ぶりに再会を果たすも、レイは夫からのDVで全身あざだらけになった七恵の姿を目の当たりにし愕然とする。追い詰められ死を口にする七恵。彼女が生きるためにレイは七恵の夫を殺す。そして、行くあても戻る場所もないレイと七恵は、逃避行に出る。
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『さよなら歌舞伎町』『軽蔑』などを手掛ける廣木隆一監督が、漫画『羣青』を原作に女性二人の逃避行を描いたロードムービー。昨年公開のNetflixオリジナル作品です。バンド・ゲスの極み乙女のドラマーである、ほないこかがさとうほなみとして女優デビューしたことでも当時話題になりました。また日本映画で初めて、ラブシーンなどを扱うセンシティブな撮影に際し、インティマシー・コーディネーターが起用されたことでも有名ですよね。
DVやジェンダー、生まれ育った生活環境など多くの困難を抱えながらも、幸せな日々を求め、恋人の夫を殺してまでも生きていく道を探す二人の姿に惹かれます。芯の強い女性ってかっこいいですね…。
また、水原希子演じるレイのワードセンスにも脱帽です。予告編を観ると一見、LGBTや濡れ場の印象が強いですが、実は純愛映画なのかもしれません。
廣木隆一監督は恋愛映画を数多く撮っていますが、少しハードなものから少女漫画原作の純愛ものまで、内容も幅広く、恋愛映画を見たい時は、監督縛りで映画を楽しむのも面白いですよ!
同じ顔をした男性を好きになる
title:『寝ても覚めても』
【story】
場所は大阪。泉谷朝子(唐田えりか)は予測不能な自由人である鳥居麦(東出昌大)と交際していた。ある日、麦は「靴を買いに行く」と言い残したまま出て行ってしまい、そのまま帰ってこなかった。それからおよそ2年後、東京で喫茶店のウエイトレスとして働く朝子は、麦と瓜二つの顔をしたサラリーマン・丸子亮平と出会う。
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今話題の濱口竜介監督の商業映画デビュー作。彼は先日『ドライブ・マイ・カー』がカンヌ映画祭で4つの部門にノミネートされたことで話題ですね。
若い頃に運命的な恋愛をした相手と顔が全く同じ男性に出会い、惹かれ、ドッペルゲンガー的な許されない恋愛をしてしまう本作。設定からして面白いのですが、顔は同じといえど、タイプが全く違う二人に朝子が惹かれていく様子がとても興味深いです。また、それぞれのペアで恋愛矢印の方向性も異なり、比較して観てしまいますが、「愛とは…」と改めて考えさせられるような奥深さがあり、大満足できる作品です。
そして、どこか非現実的だな? と思わせるシーンが何度か登場するのですが、後から監督のインタビュー記事を読むと、原作作家・柴崎友香の裏設定を事細かに演出に反映させていたことがわかりました(笑)。そんなところも含め、何度でも楽しめる作品です。
カンヌのこともあり、監督特集がもしかすると来月あたりにどこかの映画館で行われるかもしれないですね(期待してます 笑!)。
今回は「切ない、許されない恋を描く映画」というテーマで、対立する組織の相手を好きになってしまう『ロミオ&ジュリエット』、罪を犯してでも彼女を愛し続ける『彼女』、同じ顔をした男性を好きになってしまう『寝ても覚めても』とそれぞれ違う種類の、切なく許されない恋愛映画をご紹介しました。結末は作品それぞれですが、許されない恋愛をしてしまった一方、自分自身を信じて向き合い、また新しな兆しを求め生きていく姿には心を打たれますね。
これらは全て、サブスクで視聴可能なので、是非この機会に観てみてください!
『彼女』
『寝ても覚めても』
text :阪実莉(さか みのり)(Do it Theater)
学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、現在はDo it Theaterにてアートディレクターとして奮闘中。人生のバイブル作品は『あの頃ペニー・レインと』『下妻物語』『NANA』。
友チョコの十八番はフォンダンショコラでした。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出されたしいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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