クリエイティブチームDo it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第54回目のテーマは、「もう一度、恋する勇気を貰える映画」です。

Do it Theaterの阪実莉です。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

温度がぐっと下がって、すっかり秋になりましたね。今回のテーマは「もう一度、恋する勇気を貰える映画」ということで、『素敵なウソの恋まじない』『ベイビーティース』『彼は秘密の女ともだち』の3作品をご紹介します。
秋はおしゃれ・ショッピング・映画・読書・キャンプ、と何をしても楽しい季節。様々なコンテンツのなかに、恋のきっかけが落ちているかも。
今回は、FUDGEガールにオススメの、ファッションが素敵で恋愛が恋しくなるような作品を選ばせていただきました。おしゃれも恋愛もモチベーション高く保って秋、楽しんじゃいましょう！

 

カメと共に想いを伝える

ⓒEndor Productions Ltd. Licensed by Red Arrow International GmbH. All rights reserved.

title：『素敵なウソの恋まじない』

【story】
ロンドンのとあるアパートに住むアメリカ人のホッピーさんは、草花を育てるのが好きなシャイな老人。彼は階下の老女シルバーさんに恋をするが、想いを打ち明けられずにいた。そんなある日、シルバーさんがペットのカメの成長が遅いことで悩んでいることを知る。ホッピーさんは彼女を喜ばせるため、貯金していた金をはたいて、100匹近くの亀を買い集め、ベランダから彼女のカメを少しずつ大きなものに取り替えていくことに。

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ピュア度の高い2人の恋路は、亀にしか興味のないシルバーを振り向かせるため、ホッピーが亀に大きくなる嘘のまじないをかけるところから始まります。実際は様々な大きさの亀を買い集めて密かに取り換えていくという作戦をいくつものトラブルを超えて成功させていき、まさか！？と思うような手段で距離が近づいていきます。そんな2人のやり取りがコミカルに描かれていて、元気をもらえる観やすい作品です。冴えなかった老人が、恋のためにチャレンジしていくことで、自身も生き生きし始める様子がとても素敵です。007シリーズではキリッとした女性を演じていたジュディ・デンチですが、本作ではカーリーな赤毛に、いつもカラフルなお洋服を身に纏ってとってもキュート。地味で個性がないホッピーの着こなしを見ると、対比が人柄を表しているようで、ついほっこりしてしまいました。
また、作中「愛されないからといって、愛するのをやめるなんて無理だ」という台詞が出てくるのですが、自分の気持ちにまっすぐに従うホッピーのことを見ていると、“恋愛に年齢は関係ないな”と背中を押されるような気持ちになれます。

 

人生が加速される

ⓒ 2019 Whitefalk Films Pty Ltd, Spectrum Films, Create NSW and Screen Australia

title：『ベイビーティース』

【story】
オーストラリア、シドニーの高校に通うミラは末期の病を患っており、化学療法を始めようとしていた。そんなとき、駅のホームでドラッグ中毒で売人のモーゼスと知り合うのだった。恐いもの知らずで危険をかえりみないモーゼスはミラにとって心の支えとなり、やがて恋に落ちていく。ミラは、自分を特別扱いせずに接してくれるモーゼスにどんどん惹かれ、刺激的でカラフルに色づいた日々を駆け抜けていくが……。

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監督は本作で長編デビューとなる、シャノン・マーフィ。ミラ役は『ストーリー・オブ・マイライフ　わたしの若草物語』で三女ベス・マーチを演じたエリザ・スカンレン。原作は舞台劇「Babyteeth」で、舞台原作故なのか、本作はチャプターで進行されていく珍しい構成になっています。出来事が断片的で緩急があり、よりリアルな印象を受けました。
本来出会うはずがない、何かが足りない2人。お互いの寂しさを埋めあうように深く愛し合っていく様は、綺麗に整った恋愛ではなく、今にも崩れてしまいそうで、儚く美しいです。
抑えられない強い感情を、不器用ながらも表現する2人に度々ハッとしてしまう作品です。
印象的なヘアスタイルやファッション、映像の美しさなど、色彩がとても優れた作品で、作中は度々目を惹かれてしまいます。何度見ても新しい気持ちで鑑賞できますよ。

 

新しい自分を知る

© 2014 MANDARIN CINEMA – MARS FILM – FRANCE 2 CINEMA – FOZ.

title：『彼は秘密の女ともだち』

【story】
幼い頃からの無二の親友ローラを亡くし、悲しみに暮れるクレール。彼女は残されたローラの夫ダヴィッドと生まれて間もない娘が気になり、2人の家を訪ねることに。そこで、ローラのワンピースを着て娘をあやすダヴィッドを目の当たりにする。「女性の服を着たい」とダヴィッドに打ち明けられ、クレールは戸惑いながらも彼を“ヴィルジニア“と名づけて2人は絆を深めていくのだった。「男に許されない事を全てやりたい」と話す”彼女”と日々を過ごしていくうちに、クレール自身も女性としての輝きが増していく。

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本作は、親友が亡くなった後に、親友の旦那さんに秘密を打ち明けられ、不思議な関係が始まる、というあまりない人間関係が構築されていきます。鑑賞前はポスターを見て、「コミカルな映画なのかな？」と思っていたのですが、実際は逆。繊細で、とても人間らしい作品です。ダヴィッドが秘密を包み隠さず明らかにしたことで、彼自身も本当の自分に気づき、解放され、どんどん”ヴィルジニア”になっていく様子がとても清々しいです。お化粧を教えたり、一緒に買い物に行ったりする度に、見違えるほどに綺麗になっていくヴィルジニア。そんな彼女から影響を受けてクレールも、無意識に隠していた自身の気持ちに気づいていきます。
ローラのことを忘れて新しい生活を上書きしていくわけではなく、新しい人生を並走し始めたというような感覚でしょうか。過去を忘れるのではなく、そっと心にしまって新しく歩み出す。それが人生を豊かにしていくポイントなのかもしれませんね。
また、本作は2人が変わってゆく過程も見どころ。身につけるファッションと心境との相互関係が印象的です。靴やメイク、服の色など、彼女たちの変化が細かく演出されているので、ぜひチェックしてみてください。

 

今回は「もう一度、恋する勇気を貰える映画」というテーマで、『素敵なウソの恋まじない』『ベイビーティース』『彼は秘密の女ともだち』の3作品をご紹介しました。
気温も下がり、おしゃれも楽しめるようになってきましたね。ファッションやメイクは、常に自分の気持ちを後押ししてくれ、とても心強い存在です。ヒールの高さが2cm違うだけでも世界は大きく変わるのもの。小さい変化を自分で起こしつつ、恋愛モード全開で秋、めいいっぱい満喫しましょう。

 

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