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朝の喫茶店、夜の喫茶店。
旅先の魅力をより深く知るには、地元の人々に愛される喫茶店を尋ねるのがいい。そこにはその土地の日常があり、人々の生活や文化が垣間見える。中でも田辺市は、気になる喫茶店が多い。ここは朝と夜で1軒ずつ狙いを定めることにしよう。喫茶店で始まり、喫茶店で締める、そんな日があってもいいよね。
【朝の喫茶店】
@喫茶軽食ケルン
朝はもちろん、モーニングがおいしいお店へ。登山道の道標を模した店前の看板からすでにマスターの登山愛が滲む『喫茶軽食ケルン』。山小屋のそれのようなあたたかみあるライトが、いつもの朝を照らしている。 1 9 8 1 年の創業時から提供しているというモーニング(¥580)は、サラダにハムエッグ、もちもちのナポリタンにトーストと、栄養もボリュームもたっぷり。サイフォン式で丁寧に淹れるコーヒーも絶品だ。初めて会った人とも自然と挨拶を交わし合える山小屋、そんなあたたかさがここにはある。
喫茶軽食ケルン
add:和歌山県田辺市湊8-12
tel:0739-22-7432
open:8:00~18:00 ※日曜日のみ8:00~12:00
【夜の喫茶店】
@喫茶ビートル
旅の夜は長い。いわゆる“2 軒目”に立ち寄りたいのが、平日夜のみ、静かな住宅街の中にひっそりと明かりを灯す『喫茶ビートル』だ。趣味部屋のような店内各所に、そしてそのメニューに、マスターの愛情深さゆえのこだわりが滲む。例えば、ホットケーキのロマンが詰まったようなこの一皿。ぽってりとしたフォルム、バターとの黄金比 … … 試行錯誤を重ねて到達した完璧な佇まいは、マスターの子供の頃からのホットケーキ愛が導いたもの。趣あるレコードの音がより深い夜へと誘い、気づけば時間が経っている……そんな不思議なお店。
喫茶ビ ート ル
add:和歌山県田辺市明洋1丁目3-11
tel:0739-25-3473
open: 19:00~23:00(L.O.22:00) 土日祝休
南紀の喫茶店カルチャー
なぜかはわからないけれど、和歌山南紀エリアの喫茶店のモーニングは、サラダもトーストも一緒にまとめたワンプレートスタイルが定番。そして卵は目玉焼き率が高い。それからもうひとつ、紅茶を炭酸で割った「ティーソーダ」も定番だ。紅茶の上品な香りとソーダの爽快感を、どちらも一緒に欲張れる。写真はともに『珈琲館サバ』のもの。大きな窓から明るい陽が入るラウンジのような店内には、いつも優雅な時間が流れている。
add:和歌山県田辺市新屋敷町9-8
tel:0739-25-2710
open: 8:00~16:30 水・日休
白浜の海に浮かぶアートと美しい建築
白浜の海岸沿いを車やバスで走っていると、海に浮かぶように現れる巨大な建築物。好奇心を抱かずにはいられないその芸術空間へ、いざ足を踏み入れてみよう。
その威風堂々たる佇まいは、“芸術作品から構成される建築物”と表現するのがしっくりとくる。今までにないホテルをつくろうと、1989 年に始動した壮大なプロジェクト。ヨーロッパ、イスラム、日本、中国など世界中の一流アーティストの技術が、ひとつの建築に結集した。その総工費はなんと 400億円。1993年には、優れた建築作品と設計者に贈られる「村野藤吾賞」を受賞、2020年より『川久ミュージアム』として一般公開されている。一歩踏み入れれば、目に見えるもののすべてが一流の技術者による作品。そんな環境に圧倒されながらも、人々の夢が詰まった空間で過ごすひとときは、心を十分に満たしてくれる。
陶芸家・加藤元男による陶板の壁には、ダリ、シャガール、横山大観、ヘンリー・ムーアなどの名だたる画家の絵画を鑑賞できる。
同建物内『ホテル川久』の温泉サロンは日帰り利用も可能。2Fのロイヤルスパには、まるで絵画のようなオーシャンビューが広がる。日帰り温泉¥2,000
add:和歌山県白浜町3745
tel:0739-42-2662
open: 10:30~18:00※入場は閉館の30分前まで 無休
一般¥1,000、高校生・大学生¥800
隠れた革産地、和歌山でクラフト体験を
意外と知られていないこと、実は和歌山は日本三大皮革産地の1つだということ。この地にアトリエを構えるレザーブランド〈CHOUETTE D’OR/シュエットドール〉では、実際にレザークラフトの体験ができるそう。せっかくなら、自分だけの革小物づくりにトライしてみては?
ひとつひとつ職人の手作業にてつくられるカスタムオーダーの革小物を展開する同ブランド。こちらのアトリエで地元住民や観光客に人気となっているのが、レザークラフト体験だ。キーホルダー、コインケース、キーケースなどから好きなものを選び、レザーや糸の色も自分好みにカスタマイズ可能。実際に製品ができあがる工程を体験することができる。ちなみに写真(下)は、レザーの強度を高めるためにステッチを入れる工程。旅の思い出が詰まったレザーアイテムは、愛着の湧くとっておきの逸品になるはず。
add:和歌山県白浜町1057-15
tel: 0739-20-7507
おいしい、かわいい南紀のお土産
めいっぱい旅を楽しみながらも、いつも頭の片隅にあるのはお土産のこと。おいしい上になんだかかわいい! 南紀には、そんなお土産がたくさん。
「鈴屋」のデラックスケーキ
100年の歴史を持つ老舗菓子店『鈴屋』のベストセラー。和菓子店のケーキということで、白餡に使う白インゲン豆のジャムをカステラにサンド。当時まだ貴重だったホワイトチョコレートでコーディングしたことから「デラックスケーキ」と名付けられたのだそう。
add:和歌山県田辺市湊15-11
tel: 0739-22-0436
open: 8:00~ 18:00 無休
「クマノベリー」のやまももジュースとシロップ
熊野古道の玄関口、上富田町の“町の木”として昔から親しまれるやまももは、実る期間がとても短く収穫後の傷みも早いことから“幻の果実”と呼ばれる。そんなやまももを手摘みしてシロップとジュースに。甘くてさっぱりした飲み心地。
add:和歌山県上富田町朝来1361-2 朝来駅内
tel: 080-9167- 7163
open: 9:00~17:00
HP:https://www.kumanoberry.com
「プラム食品」のプラムハニップ
1969年の発売から変わらないレトロなパッケージにも心惹かれる、和歌山県民にはお馴染みのご当地ドリング。紀州の青梅果汁にハチミツを加えたどこか懐かしさのある味わいが、子供から大人にまで愛されている。
tel: 0739-47-2895
「菓匠二宮」の南方熊楠っまんじゅう
和歌山県田辺市のヒーロー、生物学者・南方熊楠(みなかたくまぐす)の好物だったあんパンにちなんだ千鳥餡入りのお饅頭。 8箱の中に1つだけ入った、熊楠の発見した粘菌の刻印入り饅頭を当てるという楽しみ方も“。くま”が“ぐすっ”と笑う刻印もかわいい!
add:和歌山県田辺市下屋敷町27
tel: 0739-22-1001
open: 9:00~ 18:00 水・月1回火定休
HP:https://www.amato-ninomiya.com
onKuL 最新号 vol.18 「和歌山 南紀の旅」より。
photograph:Daisuke Taniguchi
edit:Moe Shibata
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