kiitos.
体調がイマイチな日が多い。急に見た目が老けた気がする。そういえば寝つきも悪くなったような……。そんなアレコレ、実は身体中に張り巡らされた“毛細血管”の衰えが原因かも。酸素や栄養を運んだり、体温を調整したり。“生きる”ためのメカニズムで重要な役割を担う毛細血管は、アナタの生命活動を支える大事なパーツ。その実態を、探ってみよう。
血液が末端まで届かなくなることで、消滅してしまうこともあるという毛細血管。劣化が進んでボロボロになったとき、どんな不調に見舞われるのか。その一例を、知っておきましょう。
Index
毛細血管の不調が招く代表的な健康トラブル
■脳
休むことなく働き続け、全身の血液量のうち実に約15%を必要とする脳。毛細血管もたくさん張り巡らされているが、血行不良によって小さな空洞(脳梗塞)ができることがあり、これが増えてくると脳血管トラブルにつながり、脳血管性の認知症の原因にも。
■消化器
消化器の内側の粘膜にある絨毛(じゅうもう)という細かい「ひだ」。その一つひとつで毛細血管が働いています。十分に血液が届けられないことで粘膜が不調になり、胃酸の分泌や消化酵素の生成阻害、腸壁から栄養素が受け取れなくなるなど多くのトラブルを招く原因に。
■腎臓
腎臓の内部にはたくさんの毛細血管が集まっているため、腎臓が機能しなくなると血液中のナトリウムや水分を処理できなくなってしまい、血液量が増えたままで血圧が上昇する高血圧状態に。それが続くと大動脈に負担がかかり、脳や心臓疾患につながることも。
■糖尿病
全身の毛細血管を傷つける糖尿病は、その先に待ち受ける合併症が心配。病状がかなり進行するまで、自覚症状が現れないというのも危険。気づいたらすでにイエローカード状態ということもあるので、問題がなくても食生活などには気を配っておきたいもの。
■免疫力の低下
血液中の免疫細胞(白血球・リンパ球)を全身に送り届けるのも毛細血管。正常に働いていれば、すばやくウイルスや細菌、がん細胞を発見して戦えるが、血流が悪くなると対応が遅れて免疫力が低下。風邪をひきやすくなったりアレルギー症状が出やすくなることも。
原因が分かっている疾患には自覚症状がなくとも予防措置を
「1本切れたからと言ってすぐに形としては出ないのが毛細血管。ただし放っておくと前述のようにゴースト化し、腎臓や胃腸など消化器、脳などあらゆる部位に大きく影響します」
毛細血管とは結びつかないような疾患も、実は……というものが多いのだそう。その代表格が、糖尿病。
「糖尿病は、血液中の糖の濃度が高い『高血糖』状態が続くことにより、さまざまな合併症を引き起こす病気。通常、食事を摂ると一時的に血液中の糖の値が高くなりますが、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンの働きでブドウ糖に変化して細胞に取り込まれ、正常値に戻ります。しかしインスリンの作用が低下すると糖がスムーズに細胞に吸収されず、血液中に糖がたくさんあるままになってしまうのです」。
取り込まれず血液中に増えすぎた糖は、毛細血管の壁にある内皮細胞に入り込み、活性酸素を発生させて内皮細胞を傷つけます。これを繰り返すことでやがて、全身のさまざまな臓器の毛細血管がボロボロになってしまう危険が……。眼・神経・腎臓に関わる三大合併症のほか、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞、また最近ではアルツハイマー型認知症やある種のがんも、糖尿病の合併症と考えられるようになってきています。
「大切なのは血糖値を急上昇させないこと。インスリンの過剰分泌を防ぐために、食事の最初はサラダなど野菜から食べることと、一口30回以上噛んでゆっくりと食べることを心がけてください」
毛細血管の劣化で現れる気になる見た目症状
- くすみ
- シミ
- ハリ不足
- シワ
- 乾燥
- 薄毛・白髪
Check!
頭皮の毛根の下にも毛細血管はびっしり!劣化によって髪が細くなり、薄毛や白髪、パサつきなどに悩まされることも。また意外なところで耳たぶも毛細血管が多く、シワになりやすいそう。気づきにくい部位なのでチェックしてみて。
元気な毛細血管の皮膚
健康な毛細血管が、真皮の繊維芽細胞や表皮の基底層に水分や栄養を届けてイキイキ肌をキープ。ターンオーバーにより新しい細胞が生み出されて、ハリのあるみずみずしい印象に!
ゴースト化した毛細血管の皮膚
毛細血管が弱ってゴースト化していることで血流がなくなり、栄養や酸素が真皮に届けられなくなってしまうそう。結果、水分やコラーゲンなど肌がハリを保つための材料が足りずしょぼしょぼ肌に……。
「お疲れ顔」や「老け見え」も細胞レベルの栄養不足が原因
チェックリストの項目にもいくつかあった、美容面の毛細血管劣化の影響も気になるところ。
→チェックリストはこちら
「自覚症状が出るということはある程度劣化が進んでいると思ってよいでしょう。分かりやすいのは目、鼻、口、胃、腸、膀胱、子宮、膣、肛門などの粘膜の渇き。毛細血管は必要な水分も運んでくれていますが、劣化することで水分不足に。乾燥することによって免疫力も下がるので、美容面というよりは病気の元になるようなトラブルが発生します」。具体的にはドライアイや充血、目やにの増加、鼻炎や口内炎、デリケートゾーンの炎症や性交痛、痔などがそれに当たる。
さらに毛細血管の状態が見た目にも現れるのは、肌。「くすみやシミ、シワが目立ってだるんとたるんできます。肌は表皮と真皮の 枚構造になっていて、真皮の毛細血管から栄養を受け取って新しい細胞を生み出すことで、生まれ変わります。これがいわゆる肌のターンオーバーです」
正常に働いていればみずみずしくハリのある肌を保っていられるけれど、毛細血管がゴースト化すると真皮にも栄養が行き渡らなくなるため、弾力が失われてシワが目立つように。また新陳代謝がうまくいかないことで、肌表面には古い角質やメラニン色素がたまってカサカサ・くすみを助長してしまいます。
「老けて見えてしまうのは残念ですよね。身体のすみずみにまでフレッシュな血液を送り込んで栄養を吸収できるように、毛細血管を〝増やす〞ケアをしていきましょう」
お話をうかがったのは…医師・医学博士 根来秀行先生
ねごろ・ひでゆき。ハーバード大学医学部 PKD Center Visiting Professeor、ソルボンヌ大学医学部客員教授。事業構想大学院大学理事・教授。専門は睡眠医学、抗加齢医学、内科学、腎臓病学。主な著書として『ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法』(KADOKAWA)、『人は毛細血管から若返る』(青春文庫)ほか。
[関連記事]
あなたにも“ゴースト血管”が増えている?知っておきたい毛細血管の役割|愛と健康の毛細血管①
illustration:Emma Mori edit & text:Kei Yoshida re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.19(2021年3月21発売)より抜粋。
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