多面性のある散歩の効果を知れば知るほど心は外の世界へ。自分らしいアレンジで、変化のある歩行を楽しんで。今日はどこへ向かおうか、新たな体験を探しに行きましょう。

IDEA01 プレイリストをつくろう

アーティスト・羊文学の塩塚モエカさんが散歩中に聴きたい音楽をリストアップしてくれました。

■歩きながら自分の心と向き合いたいとき

「XO」 エリオット・スミス｜ユニバーサル ミュージック
「アルバム『XO』の収録作品『Walz#1』は、エリオット・スミスの作品で一番好き。この曲を聴くといつも彼の人生のことを考えて、それから自分の心の深いところに向かっていきます。じっくりと何かを考えるときのBGMです」

■月を見ながら、夜道を歩くときに

「Little Oblivions」 ジュリアン・ベイカー｜Matador Records
「ずっと楽しみにしていたジュリアン・ベイカーの新譜より選曲。収録作品『Heatwave』を静かな夜に。彼女の声やメロディーのやるせない感じが、月明かりに照らされた夜道にフィットし、なんでもないような景色を特別にしてくれます」

■近所の林を散歩しながら

「Spazieren」 ヘニング・シュミート｜flau.jp
「“Spazieren”（散歩）というタイトルのアルバムから。休みの日、何もすることが思いつかなければ家の近所をのんびり歩きます。実家の近所には小さな雑木林がふたつあり私のお 気に入りの場所。そこを散歩するときに聴いています」

教えてくれたのは

羊文学 塩塚モエカさん
羊文学のギターボーカル。全楽曲の作詞・作曲を務める。2020年12月に『POWERS』を発表。ソロでの弾き語り、劇伴音楽、ファッションメディアでのモデル、役者へと活動の幅を広げている。
Instagram:@hitsujibungaku
twitter:@moekashiotsuka

IDEA02 ゴールしたら汗を流そう

少し足をのばして、わざわざ出かけたい場所を散歩のゴールに設定するのもおすすめ。温かいお湯にゆったり浸かって身体をいたわれば、また明日も歩きたくなります。

■もうひとつの家のように過ごせる老舗銭湯「小杉湯」

昭和8年創業の老舗銭湯。創業当時のままの姿を守り続ける神社仏閣風の宮造りの木造建築は国の登録有形文化財。大学生から80代まで、さまざまなスタッフがお出迎えしてくれます。お風呂上がりにくつろいだり、思い思いの過ごし方ができる「小杉湯となり」も併設。

ADDRESS_東京都杉並区高円寺北3-32-2
TEL_03-3337-6198
OPEN_15:30〜25:45、土曜・日曜8:00〜25:45（最終受付25:30）
OFF_木曜
URL_https://kosugiyu.co.jp/
※現在「小杉湯となり」は感染症予防の観点により会員制のセカンドハウスとして運営中。

■足湯しながらのんびりお茶を「NARAYA CAFE」

世界各国の旅人が訪れてきた歴史あるリゾート、箱根・宮ノ下の地に、300年続いた奈良屋旅館の名を引き継ぎ、新たな旅の交流拠点として誕生。無料で利用できる源泉掛け流しの足湯でくつろぎながら山の景色を堪能できて、ギャラリー、ショップも敷地内に立ち並ぶ。

ADDRESS_神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下404-13
TEL_0460-82-1259
OPEN_10:30〜17:00（L.O16:30）
OFF_水曜・第4木曜
URL_https://naraya-cafe.com

IDEA03 遊び心のあるウォーキング施設へ

日常から離れて、非日常を味わえる贅沢な散歩も体験してみては？ 深い緑の中やデジタルアートが織りなす光の世界に身を投じて、好奇心を育てる歩き方をしてみましょう。

■巨木に癒される森で「奥多摩森林セラピー」

森林浴の効果を科学的に解明し、心と身体の健康に活かす「森林セラピー」が、東京では初となる奥多摩町の森林セラピー基地の5つのロードで体験できます。森に息づく命や力を感じてリラックスできることはもちろん、免疫力が上がり、血圧が低下するなどの効果が。

ADDRESS_東京都西多摩郡奥多摩町氷川215-6
TEL_0428-83-2112
URL_http://www.okutama-therapy.com/
※ツアーの詳細、日程等については、 HP上の「ツアーのご案内」のページをチェック。

■デジタルアートと自然が創る世界「ISLAND LUMINA」

世界最高峰デジタルアート集団「Moment Factory」が 手掛ける「ISLAND LUMINA」。長崎・伊王島の自然と最先端のマルチメディアが創る、幻想的な世界を歩くアトラクション。森の中に設けたストーリー仕立てのコースで、物語を疑似体験しながら進んでいく。

ADDRESS_長崎県長崎市伊王島町1-3277-7
TEL_095-898-2202
OPEN_日没〜22:30（最終入場22:00）
OFF_なし
URL_https://www.islandlumina.jp/

IDEA04 自然とたわむれながら歩こう

散歩の道中、刻一刻と変わる空の様子や、足元に広がるミクロの世界に目を向けてみましょう。

■春はさまざまな雲がながめられる季節

「空の魅力は、いつ見ても表情が違うところ」と話す、気象予報士の菊池真以さんに春の空の特徴を伺いました。「空を見上げればいつもの散歩道でも季節を感じることができます。春は定期的に雨が降り、かつ突然強い降り方になるので、虹が鮮やかに見えるチャンスが増えていきます。太陽を背にして探してみましょう。低気圧と高気圧が交互にやってくるので、それにより、いろいろな雲も見られるように。例えば綿雲は、冬の間はあまり成長せず、ぺちゃんこの形をしていることが多いのですが、気温が上がるとモコモコに。水蒸気の量が増えたり空気上の花粉やチリが飛んだりすることで、霞んだように見える空の色も、春が来たなあと感じる瞬間です」（菊池さん）

教えてくれたのは

気象予報士 菊池真以さん
気象予報士、気象キャスター。これまでの出演番組は『NHK ニュース7』など。趣味は空や季節の写真撮影。著書に、自身が撮影した雲の写真をまとめた『ときめく雲図鑑』（山と渓谷社）などがある。

めずらしい雲を探してみよう

 

 

 

■草木や花の名前を覚えて道草を

植物観察家・鈴木 純さんは、街の植物のたくましさに励まされるといいます。「街には日陰が少なく、アスファルトに覆われ乾燥していて、河川の氾濫地でも生きられるような力強い植物が生育しています。環境のせいにせず、種がたまたまそこに落ちたから生きているという姿から学ぶことも。散歩しながら植物を見つけるには、ただ心を寄せればいいだけ。ブロックや道路の溝などの凸凹に植物を探し、今度は虫になったつもりで視線を落としてみてください。上から見ればどれも同じに見えていたものが、それぞれ個性豊かな緑であることが分かります。本来、草花はほかの生物と関わって生きていることを頭に置き観察すると、いつもと違う植物の姿に出会えます」（鈴木さん）

教えてくれたのは

植物観察家 鈴木 純さん
2018年より植物ガイドとして活躍。徒歩10分の道のりを100分かけて歩く「まちの植物はともだち」観察会を中心に幅広く活動。著書に植物観察のアイデアをまとめた『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』（雷鳥社）がある。

春の街に生きている植物を観察

 

 

 

 

edit&text:Ai Watanabe,re-edit:Yuri Iwata［press lab］

（kiitos. vol.19より抜粋）

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