FUDGENA
ー悲しみよ、こんにちは。
そして私は本を閉じた
つい先ほど手に入れた薄いこの物語を夜のうちに読み終えてしまい
それでも、太陽がサンサンと降り注ぐ昼間に読み終えるよりは
静かな冬の夜に物語が終わったことに感謝した
フランソワーズ・サガンの写真を見たのはある古本屋
床や机の上にタバコや新聞紙、使い終わったコーヒーカップと様々なものが散らかっているのに中央で本を読む彼女のおかげで、それらは全て絵になってしまう
その一枚の写真を見た時から、私は彼女の虜になった
『Bonjour Tristesse』(1958)
ものうさと甘さが胸から離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しくも美しい名前をつけるのを、わたしはためらう。
(『悲しみよ、こんにちは』新潮文庫:冒頭)
こんにちは、SAKURAです。
今回皆さんに紹介するのは「魅力的な小悪魔」と称されるフランソワーズ・サガンの処女作『悲しみよ、こんにちは』。
フランス作品っぽいのアンニュイさを残しつつ、アメリカという超映画大国が作り上げたこの作品。
現在と過去が交互に現れる中で、
現在は白黒、過去はカラーで描かれる。
なぜ現在が色のないモノクロで撮られているのかは観てからのお楽しみ。
パリジェンヌの着こなし
フランスを舞台にした作品の魅力はズバリ衣装!
特に主人公セシールの衣装は最初から最後まで、「明日から真似したい!」まさにパリジェンヌの着こなし。
髪も超ショートヘア、無造作に着たシャツまでも全てがキュン
公開当時もセンセーショナルを巻き起こした「セシルカット」は真似したいけど勇気が出ない!
可愛いのは父親とお揃いのシャツを着ていること。
この一着でセシルと父親との信頼関係、仲の良さ、そして親子であるという運命が物語られています。
そしてセシールの姿勢がとても綺麗
パリジェンヌになるためには、まずは姿勢から改善しようと思う次第です
『悲しみよ、こんにちは』でみる名言
やっぱりフランス作品といったらその詩的な言葉のセンス
心に突き刺さるそれらはいつまでも胸の中で光っているものです
ここでも『悲しみよ、こんにちは』での名言をいくつか紹介していきましょう!
”人生では何かに酔うべきだ
恋にも成功にでも失敗にでも”
”私の考えでは
人の生き方に反対でも
変えようとしてはいけないわ”
”メランコリーが私の道連れ
かすかな悩みが私の友
毎朝私は言う
”悲しみよ、こんにちは”と”
(小説より抜粋)
”わたしはシリルに激しくキスをした。彼を痛がらせたかった。そしてマークを残したかった。ひと晩じゅう、いっときもわたしを忘れないように。夜はわたしの夢を見るように。”
『悲しみよ、こんにちは』あらすじ
18歳の娘セシールはパーティーの雑踏の中でも、一人孤独な気分でダンスを踊る
彼女は幸せだった一年前の初夏へ想いを馳せるのだった
一年前の初夏、父親とその愛人エルザ、そしてセシールは南フランスのリビエラにヴァカンスに来ていた
綺麗な海にこじんまりとした別荘、エルザは父にとっては若いけれど、だからこそセシールにとっても付き合いやすく仲睦まじい時間が流れていた
セシールはそこで青年フィリップと出会い恋に落ちる
優美な時間の経過と軽快な関係がその避暑地にあふれていた
そんな折、セシールの亡き母の親友アンナがこの別荘にやってくることになった
最初のうちは4人で仲良く、それこそアンナがいることによってそれまでよりも楽しくヴァカンスを過ごしていたが、父親とアンナが愛し合い、それを知ったエルザは出ていってしまう
次の日、父とアンナは「結婚する」とセシールに宣言するが、セシールはなんとなく手放しで喜べない
セシールはアンナのもたらす微妙な変化に慣れていこうと決心するが、
アンナはセシールと恋人とを離し勉強に専念するように言いつける
アンナの母親面に我慢できなくなったセシールは、アンナを追い出す計画を綿密に立て始める
しかしそれは、セシールの人生をも変えてしまう結末に続くのであった
自由に生きている、それを望んでいる、それに満足しているセシールと父の葛藤。
陽気な二人はこの夏を経て、落とす影を濃くしていく。
それは表ではわからない、二人だけの、いやセシールだけの孤独。
映画の冒頭の部分は特にセシールの孤独、心の独り言が浮き彫りにされこの物語の終焉を暗示させる。
あぁ、フランス作品はわたしをいつもこんな気分にさせる。
それが好みか好みではないかは別にして、わたしはどんどんその深みにはまっていってしまうのだ。
映画:『悲しみよ、こんにちは』1958
小説:『悲しみよ、こんにちは』フランソワーズ・サガン 河野万里子 訳 新潮文庫 2009
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