FASHION

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連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第21回目は「キルティング」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

 

【用語解説】

まずは「キルティング」を知ろう。

出典:《Traditional Weatherwear(トラディショナル ウェザーウェア)》のベストセラー!ノーカラーキルティングジャケット

 

「キルティング」とは保温、防護、装飾などを目的として、2枚の布の間に綿や毛の芯をはさんで、それを表布の上からステッチでおさえたもののこと、あるいはその技法のことをさします。2枚の布にステッチをかけてから、間に綿や毛の芯などを入れて、ステッチ模様を浮き上がらせることもあります。防寒用の中綿衣料や布団、羽毛布団などに用いられます。

 

【歴史】

十字軍のアンダーウエアだった「キルティング」

歴史は古く、エジプト、ロシア、中国などで、防寒用、敷物などに使われていたものなのだとか。7世紀ごろにはサラセンの騎士がよろいの中のアンダーウエアとして身に着けたようで、その後、十字軍の遠征によって、ヨーロッパに伝わりました。16世紀にはプールポアン(英語でダブレット)とう男性のジャケットに、17~18世紀には花柄を織りこんだり刺繍したりした衣服や室内装飾に発展し、とても流行したといわれています。

 

【雑学】

定番、キルティングジャケットの生みの親って?

出典:頼れる定番もモダンな新作も-キルティングジャケット-【FUDGENA:Tsubakiの私的英国名品 vol.7】

 

いまや、秋冬のベーシックとして浸透しているキルティングジャケットですが、いわゆるファッションとしてのキルティングジャケットのルーツは、FUDGE GIRLにとっても定番のブランド《ラベンハム》だということはご存知でしたか?

《ラベンハム》は、1969年にロンドン北東部、サフォーク州の小さな村、ラベンハムで創業したファッションブランドです。その創業のきっかけとなったのが、「キルティング」でした。

創業者であるミセス・エリオットは当時、エリザベス女王の女官でしたが、あるときに女王が乗る馬用のブランケットを作ることを思いついたのだそうです。それまでの馬用ブランケットと言えば、保温性の低いジュートで作られたものがほとんど。雨に塗れればなかなか乾かず、乗り心地がいっそう悪くなりました。もちろん馬にとっても決して着心地のいいものではなかったでしょう。つまり機能的改善の余地があったのです。そうして出来上がったのが、保温性の高い生地として知られた「キルティング」を採用した、ブランケットだったというわけです。

その後、多くの乗馬愛好家から、「馬用のキルティング・ブランケットとお揃いのジャケットが欲しい」というリクエストが寄せられたことから、1972年に現代の「キルティング・ジャケット」を彷彿とさせる、乗馬用のジャケットが誕生しました。

1980年代に入ると、この「キルティング・ジャケット」を日常的に着る人があらわれ、ファッションアイテムとして浸透。1990年にはイタリアのおしゃれさんたちの間で、スーツの上にラベンハムのジャケットをはおるスタイルが流行したことで、一気に世界中にその存在を知られることとなりました。

 

出典:ビタミンカラーのポップなコーデで、寒い冬も明るくヘルシーさを!

 

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いまでは、こんなふうにリラックス感のあるオーバーサイズタイプのジャケットもたくさん。ぽかぽかでふわふわ、着心地も手ざわりもいい「キルティング」が使われたアイテムは、ジャケットだけでなく、バッグやマフラーなどまでさまざまなそろいます。どれも毎日着たくなるベーシックなものばかり。新しい年を迎えて、どんどん活躍させたいですね。

 

 

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

 

 

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