FASHION
出典:ワークなオーバーオールに都会的な表情を【“スウィッチ”ガールの着まわし31days】
『お洒落さんのためのファッション用語辞典』がリスタート! この連載ではトラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第7回目は「ワークスタイル」について。
お洒落さんなら耳なじみがあると思いますが、「ワークスタイル」あるいは「ワークテイスト」というファッションジャンルがあります。どちらもワーク風のという意味にあたることはなんとなくわかりつつ、あらためて考えてみるとワークって何? という疑問が少しわきますよね。オフィス街に通勤していくスーツ姿のビジネスマンもワークをしていることになりますが、じゃあワーク風がスーツを着るようなかしこまったファッションをさすかというとそれは少し違います。今回はそんな「ワークスタイル」を掘り下げます。
Index
【用語解説】
まずは「ワークスタイル」の正しい意味を知ろう
作業服や労働者からインスパイアされたコーディネートのこと。機能性に富んでいて動きやすく、そのためステッチワーク、ジッパー、ポケット、アクションプリーツ、タブなどがあしらわれていることが多い。ジーンズやオーバーオール、ジージャンなども含まれます。ちなみにタブとは装飾用、あるいは留め具や締め具の機能を持つ、衣服各部につくたれ飾りや持ち出しのことで、アクション・プリーツとは動作や運動を楽にするためのひだのことです。
【ワークスタイルがファッションジャンルとして確立されたのは……】
ジーンズやジージャンが1950年代にファッション化したのがきっかけ
「ワークスタイル」とは労働着から着想を得たファッションジャンルであることはわかりましたね。そこでこの「ワークスタイル」がいまのようにファッションの1ジャンルとして定着するにいたる前、そのルーツをたどっていきましょう。
そうすると、やはりここでもジーンズに行き当たります。なぜなら「ジージャン」「ジーンズ」「デニム地」の回でも触れましたが、ジーンズやそこから派生したジージャンはそもそも金山労働者やトラック運転手など体力がものをいう職種に就く人たちのための、丈夫な労働着(ワークウエア)だったからです。それがのちにファッションのカジュアル化や若者たちの意識の変化にともなって、1950年ごろファッションアイテムへと転じたことが、「ワークテイスト」というファッションジャンルが生まれるきっかけになっているのではと思われます。
ジーンズがファッションアイテムと化してからじつはまだ半世紀とちょっとしか経過していません。とはいえその間にも、日本国内ではアメカジ(アメリカンカジュアル)ブームや、渋カジ(渋谷カジュアル)ブーム、フレンチカジュアルブーム、スケーター・スタイルブーム、いわゆるブレークダンスのダンサーたちが好むスタイルであるB系ファッションのブームなどジーンズを主とした数々のファッションブームがあり、ジーンズはそれらブームが巻き起こるごとに、着実にデイリーアイテムとして老若男女問わず、多くの人たちのワードローブの定番として浸透していきました。
そんなふうにジーンズがふだん着として定着するいっぽうで、コーディネートの印象は変えることなく、でも「ときには気分を変えて違うボトムを履きたい」「別のアイテムを身に着けたい」そんな欲求を持つ人が少なくなかったのも事実。そんなあまのじゃくなお洒落さんたちの心をキャッチするために、今度はジーンズ同様ワーク(労働着)テイストのさまざまなアイテムが国内に輸入、紹介されるという現象が起こりました。
代表的なのは、そもそもは貨物船労働者たちの労働着だったカーゴパンツや、アメリカ海軍が採用していたシャンプレーシャツ、英国陸軍のユニフォームだったチノパンツなど。つまりこの半世紀ちょっとの間に、ジーンズを追いかけるようにしてワークテイストの様々なアイテムも注目を集めていき、いまではいずれも誰もがその存在を知り、誰もがそれらを身に着けるようになったというわけです。
まとめると、「ワークスタイル」とはジーンズ人気をきっかけにして広まり、ジーンズを含め労働者が愛用しそうなアイテムや、そういったアイテムを身に着けた労働着風の着こなしを総称した呼び名です。
【ワークスタイルをつくる代表的なアイテム】
FUDGE GIRLが大好きなスエットパンツやオーバーオールもワークスタイルにマストハブ
ではワークスタイルを完成させるのに欠かせないアイテムと言えばどんなものが挙げられるでしょう。ジーンズ、オーバーオール、ペインターパンツあたりは想像がつくでしょうか。ほかにも上に挙げたカーゴパンツ、シャンプレーシャツ、チノパンもそうですね。ほかにも本来アメリカの野球選手のユニフォームだった(野球選手も職業です)スタジアムジャンパーや、戦闘機の整備士たちが着用するなど作業着としてアメリカでもイギリスでも浸透していたダンガリーシャツや、スポーツトレーナーの仕事着にルーツを持つスエットも代表的なアイテムと言えます。
モッズコートやスウェットパンツもワークテイストアイテム
出典:スウェットパンツはボーイズライクに着こなして【本日のFUDGE GIRL-3月19日】
モッズコートはそもそもアメリカ軍採用のアウターがルーツであり、ジムのトレーナーが着用していたスエットも立派な元労働着です。
登山靴などもワークテイストと言えそう
出典:冬の《ドクターマーチン》のブーツはフリースがあしらわれていてあったかくてかっこいい。【FUDGE GIRLのためのアクセサリークリップス】
マウンテンブーツのようなアイテムも、登山などアクティブワークのための機能靴というそもそもの意味合いから、いまではワークテイストのアイテムとしてピックアップされることが少なくありません。
【パリジェンヌとワークスタイル】
パリジェンヌのワークスタイルのこなれ感を拝見!
それではお洒落さんがお手本にしたいパリジェンヌたちはどんなふうにワークスタイルを装っているのか見てみましょう。
出典:ストライプのセットアップにカバーオール、ワークスタイルを可愛く
ファッションを勉強中だという左の女の子はストライプのセットアップにカバーオールを羽おってワークスタイルを完成させています。お昼休みがもうすぐ終わるというのに、おしゃべりがやめられないみたいです。でもダッシュで教室へ向かうことになっても、カバーオールなら身のこなしも軽やかに瞬時に教室に到着できそう!
ワークスタイルはFUDGE GIRLにとってももはや永遠のスタンダート。まだまだ楽しみたいですね!
監修:朝日 真(あさひ しん)
文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。
illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A
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