CULTURE & LIFE

毎週テーマに合わせて、「アーティスト」が選曲したプレイリスト、いつの時代も色褪せない「名盤」、そして注目の「新曲」をお届けする、連載《火曜日のプレイリスト》。

今回は堀込泰行×STUTSのインタビューをお届けします!この夢のタッグは、5月13日に発売する、『GOOD VIBRATIONS 2』でコラボレーションしたことで実現。セルフ・プロデュースでは生まれない、化学反応をお楽しみに!そして、堀込泰行のファッションにおける”MYルール”もお見逃しなく。

 

《左:堀込泰行、右:STUTS》

 

シンガー・ソングライターの堀込泰行が、D.A.N.やtofubeatsなど様々なアーティストと曲ごとにコラボレートして話題を呼んだ前作『GOOD VIBRATIONS』。その続編『GOOD VIBRATIONS 2』には、スカートやリトル・テンポなど多彩な顔ぶれが参加した。そのうちの一人が、ヒップ・ホップ〜ポップスを股にかけて国内外で活躍するトラックメイカーのSTUTSだ。共作曲「Sunday in the park+STUTS」は、心地良いビートとソウルフルな歌声が溶け合ったメロウなナンバー。今回、初顔合わせになった二人は、どんな風に曲を作り上げていったのか。今回はメールでお二人に話をを伺いました。

 

セルフ・プロデュースでは生まれない、化学反応。

——『GOOD VIBRATIONS 2』はコラボレーション・アルバム第2弾ですが、堀込さんにとってコラボレートする楽しみはどんなところですか?

堀込「化学反応があるというか、セルフ・プロデュースでは生まれないものに仕上がるところです。コラボレートする相手は、自分には無い個性や音楽性を持っている人にお願いするようにしています。〈音楽の趣味が合いそうだな。一緒に何かやったら楽しそう〉というシンプルな気持ちでお願いする場合もあります」

 

——コラボレートする時に大切にしていることはありますか?

堀込「まず相手のアイデアを尊重すること。かつ、自分の意見もちゃんと伝える、ということですね。今回は前回と比べて、より自分も参加する形でのコラボを目指しました。

 

——STUTSさんと一緒に仕事をするのは初めてだそうですが、依頼した理由を教えてください。

堀込「まず、サンプラーの手打ちという彼のライヴ・パフォーマンスに度肝を抜かれました。そしてトラックメイカーとしても、ヒップホップでありながら、それだけに収まらないポップで幅広い音楽性を感じたからです」

 

——STUTSさんは堀込さんと一緒にやられていかがでした?

STUTS「堀込さんの音源は昔から聴かせてもらっていたのでとても光栄でした。堀込さん曲の魅力は語りつくせないですが、爽やかな風を感じるような素敵なメロディとコード、歌詞から情景が見えてくるところがとても好きだなと、今回ご一緒させて頂いて改めて感じました」

 

———STUTSさんはこれまでにもいろんなミュージシャンとコラボレートされてきましたが、コラボレートする際に心掛けていることはありますか?

STUTS「ただトラックを作って歌ってもらう、というよりは、トラックに関する要望やイメージを聞いたり、僕も歌詞のイメージを出したり、できるだけ一緒に作り上げていくようにすることを心掛けています。意識的にやっているわけではないですが、コラボレートする方と色んなお話をしてコミュニケーションを深めていくことも大事だと思います」

 

堀込泰行「Sunday in the park+STUTS」

 

——「Sunday in the park+STUTS」の曲作りはどんな風に進めていったのでしょうか。

堀込「いつもはコラボする相手が決まってから、そのアーティストの音楽性を考えたうえで曲を書くんです。その人のテイストに近い感じだったり、あえてその逆をいったりするんですけど、STUTS君の場合は最初に彼の方で僕をイメージしたトラックを作って提示してくれました。それに対して僕が鼻歌でメロディーを乗せたり、サビの展開のアイデアを提案したり。そんなやり取りをメールでしつつ、実際に彼のスタジオで一緒に作業したりもして作っていったんです」

 

——70年代のソウル・ミュージックっぽい雰囲気もある曲ですね。

堀込「Aメロ部分で繰り返される4つのコードに合わせて、鼻歌でメロディーを乗せていく過程でソウルっぽい雰囲気の曲になっていきました」

STUTS「堀込さんが作ってくださったメロディーや歌詞によって、曲のイメージが固まったという感じでした。そのイメージを膨らます感じで色々なアレンジを加えていったんですけど、そういう作業がすごく勉強になったし楽しかったですね」

 

——STUTSさんがトラックを作っていく時、歌詞は重要ですか?

STUTS「もちろん重要です。普段の曲作りでも、歌詞から自分が感じた世界観をアレンジに反映させることが多いですね。 今回だったら堀込さんが書いてくださった歌詞から得たイメージを、2番の頭と最後のサビのシンセ、アウトロに反映させました」

 

——アウトロに鳥の鳴き声とかが入っていて、曲の風景が目に浮かぶようでした。

STUTS「堀込さんの歌詞から情景が浮かんでアウトロにそういう感じの音を入れようと思いついたんです。 近くの公園でフィールドレコーダー片手に歩きながら録音しました」

 

自分一人では出来ない、大好きな曲が完成した

——完成した曲を聴いてどんな感想を持たれました?

STUTS「晴れている日に散歩しながら、あるいはまどろみながら聴けたらいいな、と思いました」

堀込「自分一人では出来ない、大好きな曲ができたと思います。お互いに頑張って良かったなと心から思いましたし、STUTS君には大感謝です」

 

——確かに公園でのんびりしながら聴きたい曲ですね。最近、自宅で過ごす時間が増えたと思いますが、ベストなおうち時間の過ごし方はありますか?

STUTS「最近の日課は、できるだけ太陽を浴びるようにすること。朝や昼にベランダで日光浴しています。 夜、作業を終えた後は、お酒を飲んだりして、ゆったりしながら音楽を聴いたり、動画を見たりしてます」

堀込「もともと在宅の作業が多い方でしたが、外に出る機会が格段に減って、Netflixなどで映画を見たりする機会が増えましたね。ただ、せっかく時間があるんだから、たくさん曲を書いたり、新しい楽器にチャレンジしたり、次の自分のために何かしようという気持ちが強くなっています」

 

 

堀込泰行が教える、ファッションの【Myルール】とは?

アーティストにお洒落の極意を教えてもらう【MYルール】。堀込泰行さんにファッションにおける3つのルールを答えてもらいました!トレードマークの”髭”スタイルが誕生した秘話も必見です。

 

Rule1:ニットキャップ

「秋から冬の間は良くニットキャップを被ってます。数はいっぱいあるのですが、けっきょくお気に入りの物を被ってまうことが多いです。一番好きなのはインバーアランの無骨なヤツ。色は赤、黄色、青、黒、緑、白など、強めの色使いの太いマルチボーダーが多いですね。全体的にはブルー系が多いかも。自分の顔色に合う気がするし、〈男は青〉で育った世代なので(笑)。地味な格好でもアクセントになるし、とりあえずオシャレをした感が出るので重宝してます。そのほか春先などちょっと暖かくなってきた時期には、ペーパー素材のものなども愛用してます。」

 

Rule2:髭

「30歳くらいの時に試しに顎ひげをはやしてみたところ、自分の濃い眉毛とのバランスがとれた気がしてそれ以来続けています。人に会う用事が無い時やレコーディングの時は伸ばしっぱなしですが、撮影などがある時は、あえて前日か前々日にトリマーで整えて、ちょっとラフで自然な感じになるように心がけてます。意識してメンテナンスをしているわけではないんですけど、手で髭をよじる癖があるので、それで適度にラフな感じになっているかもしれません。」

 

Rule3:ライブはシャツ&ネクタイ+羽織りもの

「舞台上が寒い時があって、せっかく温まった体が途中で冷えてしまうのが苦手なので、出来るだけどんな状況にも対応できる格好をします。シャツにネクタイをして、ジャケットかカーディガンを羽織ると完璧です。暑かったら最初に上着を脱いで、それでも暑かったらネクタイを外す、といった具合に順に脱いで行けば、いつでも適温の中で快適に歌えるので、我ながら良いアイディアだと思ってます。それぞれ、古着などもありますし、ブランドは特にここが好きと言うのは難しいですが、強いて言うならジョン・スメドレーにお気に入りのものが多いです。」

 

堀込泰行『GOOD VIBRATIONS 2』
2020.5.13 Release ¥2000 nippon columbia

 

《堀込泰行》97年兄弟バンド「キリンジ」のVo/Gtとしてデビュー。2013年4月12日 同バンドを脱退。以後、ソロアーティストとして活動を開始。2014年11/19 シングル「ブランニュー・ソング」でソロデビュー。現在まで1st アルバム『One』、コラボレーションEP『GOOD VIBRATIONS』、2nd アルバム『What A Wonderful World』をリリースしている。代表曲はソロ作「WHAT A BEAUTIFUL NIGHT」「Waltz」やキリンジ時代の「エイリアンズ」「スウィートソウル」など。 希代のメロディメーカーとして業界内外からの信頼も厚くポップなロックンロールから深みのあるバラードまで、 その甘い歌声は聴くものを魅了し続けている。
Twitter:@yasuyuki_staff

 

《STUTS》1989年生まれのトラックメーカー/MPC Player。2013年2月、ニューヨーク・ハーレム地区の路上でMPCライブを敢行。オーディエンスが踊り出す動画をYouTubeで公開して話題になる。MPC Playerとして都内を中心にライブ活動を行う傍ら、ジャンルを問わず様々なアーティストよりトラック制作、リミックスの依頼を受けるようになる。2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin’』を発表し、ロングセールスを記録。2017年6月、Alfred Beach Sandalとのコラボレーション作品『ABS+STUTS』を発表。2018年9月、国内外のアーティストをゲストに迎えて制作した2ndアルバム『Eutopia』を発表。現在は自身の作品制作、ライブと並行して数多くのプロデュース、コラボレーションやCM楽曲制作を行っている。
Twitter:@STUTS_atik    Instagram:@stuts_atik

 

▶︎次週はSTUTS選曲&ファッションのMYルールをお届け!お見逃しなく!

▶︎先週、堀込泰行が選曲した「”おうち時間”に聴きたいソング」のプレイリストはこちら。

 

FUDGE.jpが「Pick up」する、注目のアーティストの新譜を紹介!

select:Yaeji『Waking Up Down』

注目の個性派アーティスト!

NYのクラブ・シーンで注目を集めて、ロンドンのXLレコーディングスからでデビューした新人、イェジはNYで生まれのコリアン。家族や友人との関係を題材にしたという新作『What We Drew』は、東京在住のDJ、ヨンヨン、ブルックリン在住のラッパー、ナッピー・ニーナなど、彼女の友達が多数ゲスト参加した。アルバム収録曲「Waking Up Dawn」は、ダンス・ビートに乗って英語とハングル語を織り交ぜて歌うキュートなナンバー。彼女がデザインしたキャラクターが登場するミュージック・ビデオからも、彼女のユニークな個性が感じられるはず。

 

■MVもチェック

 


text_Murao Yasuo

design_Koinuma Kenichi

edit_Takehara Shizuka

 

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