CULTURE & LIFE
毎週テーマに合わせて、「アーティスト」が選曲したプレイリスト、いつの時代も色褪せない「名盤」、そして注目の「新曲」をお届けする、連載《火曜日のプレイリスト》。
今月から4週間に渡り、人気上昇中のボーカル塩塚モエカが率いるバンド羊文学が登場!今回は2月5日にリリースされる、EP『ざわめき』についてインタビューをお届けします。そして、塩塚モエカさんにファッションにおける3つのルールも教えてもらいました!
東京を拠点に活動する3人組バンド、羊文学。オルタナ・ロックやシューゲイザーを吸収した力強いバンド・サウンドと、バンドの中心人物、塩塚モエカの個性的な歌声と歌詞で独自の世界を作り上げてきた。そんな彼らの新作EP「ざわめき」は、限定クリスマス・シングル「1999」に収録された「人間だった」や、映画『ゆうなぎ』に提供した「サイレン」「夕凪」、更に新曲2曲を収録。バンドの素顔を見せながら、新たな挑戦にもトライしたという新作について、塩塚モエカ(ヴォーカル、ギター)、ゆりか(ベース)、フクダヒロア(ドラム)の3人が語ってくれた。
Index
英語でも日本語でも”羊”っていう言葉が入ったらカッコいいと思って(笑)
ーー羊文学というユニークなバンド名の由来を教えてください。
塩塚「中学生の時、友達と〈イケてる感じのバンド名を出し合おう〉ってメールでやりとりしてたんです。その時、〈英語でも日本語でも“羊”っていう言葉が入ってたらカッコいいような気がする!〉と思ったんです(笑)。あと、その頃、シガー・ロスが好きだったんですけど、シガー・ロスって曲の世界観が大きいじゃないですか? そういう大きさをバンド名で表現できたらいいな、と思って〈文学〉って言葉を思いついて。それで、その二つをくっつけたらカッコいいんじゃないかって、ある日、洗面所でひらめいたんです」
ーーイメージ先行なのが10代っぽいですね(笑)。
塩塚「適当なんです(笑)。ずっと変えようと思ってきたんですけど、ここまできたら変えられない」
前回は挑戦。『ざわめき』は思い切って”素直な私たち”を出せた気がする
ーー新作「ざわめき」は、タイトルからも前作「きらめき」と繋がりがある作品のように思えます。ポップな前作に対して、新作はロックの躍動感に満ちていますね。
塩塚「『きらめき』を出した時点で、後で対になるようなものを出そうと思っていて。『きらめき』では、ポップさとか女の子らしさとか、これまで表現してこなかった部分を出そうと挑戦したんですけど、今回は〈素直な私たち〉を思い切って出せた気がします」
フクダ「今回のEPには既発曲もあれば新曲もあって。新曲に関しては、これまでになかった一面を出せたと思います。〈恋なんて〉では四つ打ちのリズムを初めて入れたりしているし」
ーー「恋なんて」は羊文学には珍しく恋愛を題材にした曲ですね。
塩塚「5曲中4曲はすぐ決まったんですけど、EPの最後に何を入れるか全然決まらなくて。それで、前作を聴いて羊文学を好きになってくれた人に届くような曲も入れておきたいと思って、この曲を作ったんです。前作に〈ミルク〉という恋の歌を入れたら、思った以上に評判が良くて。当時、〈羊文学は暗い〉と言われていたので、逆なことに挑戦しようと思ったんです。そしたら〈ラヴソングって面白いな〉と思ったので、また挑戦してみたくなったんですよね」
ーーその一方で、オープニング曲「人間だった」は、今の社会に対して鋭い眼差しが向けられた曲になっています。
塩塚「この曲は社会的なメッセージを訴えようと思って作ったわけじゃなくて。普通に生きているなかで、〈あれ?〉って思ったことを曲にしないとって思ったんです。そういう点では、〈人間だった〉も〈恋なんて〉も変わらなくて。受け取る側の人たちにも、そういうふうに思ってもらえればいいなって思います」
フクダ「塩塚が書いた歌詞を読んで、環境問題だったり、人間が生まれてきた意味みたいなものを感じさせる深い曲だと思いました。サウンドに関しては、今回のEPのテーマの〈シンプルさ〉を感じさせる曲になったと思います。疾走感もあるし」
ゆりか「こういう突き抜ける感じはこれまでにはなかったので、やってて楽しかったし、自分達はどんどん新しくなってるんだなって思いました」
善人でも悪人でもみんなに泣く権利はあるんだなって思った
ーー新曲「祈り」も力強くて疾走感のある曲で、このEPを代表する曲ですね。
ゆりか「この曲は(塩塚が)〈廊下で泣きながら作った〉って曲を書いた時のことを教えてくれて(笑)」
塩塚「そうそう。一昨年の年末、辛いことがいろいろ重なって、朝まで一晩中、廊下で泣いていたことがあったんです。そのことを思い出しながら書いた曲です。その時、、善人でも悪人でもみんなに泣く権利はあるんだなって思ったんですよ。辛いと思った時に我慢して、それで壊れていっちゃう人もいるけど、みんな泣いて良いんだなって」
フクダ「〈祈り〉はテンション低めだけど、内側からわきあがってくるようなエモーショナルさがあって、最後には爆音になる。オルタナ要素もあって個人的には好きな曲ですね」
ーーうねるような力強いヴォーカルも印象的ですね。
塩塚「バンド・サウンドの影響もあるんですけど、この曲を書いた時、〈音楽でやっていけるのかな?〉って悩んでいたんですよ。だから、歌詞の最後は〈夢を見ていた〉っていう過去形で終わっているんですけど、歌っているとその時の気持ちが甦ってくるんですよね」
ーーそういうナイーヴなところも含めて〈素直な私たち〉が詰まった作品なんですね。
塩塚「そうですね。とくに〈祈り〉は久し振りに羊文学の原点に戻ったようなサウンドになったと思います」
ーーこれから羊文学として挑戦したいことは何かありますか?
塩塚「海外のツアーをもっとやりたいですね。一度、カナダをツアーしたことがあるんですけど、面白いものをいっぱい見れたし、お客さんの感じも全然違った。ライヴはお客さんとの関係で変わってくるので、いろんな国でやってみたいですね」
塩塚モエカが教える、ファッションの【Myルール】とは?
今回より新企画!紹介アーティストにお洒落の極意を教えてもらう【MYルール】。ボーカルの塩塚モエカさんにファッションにおける3つのルール、ライブ衣装について聴きました!
Rule1:ぴったりサイズの服を選ぶ
「服のサイズはぴったりしたものを選ぶようにしています。女の子って、結構大きめのサイズを選ぶ子が多いじゃないですか。それはそれで可愛いと思うけど、私は自分のサイズにぴったりの服を着るほうがキレイに見えると思うんです。私もこれまでは大きめのサイズを着てたんですけど、それだと子供っぽく見える気がして。大人っぽくなりたかったのかもしれないですね、最近はストリート感は置いておこうかなって。ライヴでもみんなにSサイズを薦めてます。笑」
Rule2:ウエストはキュッとしめて
「私は身長が高くないので、脚が短く見えないようにウェストがはっきり見えるものを着るようにしてます。パンツとかだったら股上が短いと脚が短く見える気がするので、なるだけ避けるようにしたり。あと、なるだけパンツにインして着るようにしてますね。今日着てるサロペットも店員さんのおすすめで付属の紐でキュッとしめてバランスよく見えるようにしています。」
Rule3:あえて色を取り入れる
「最近、明るい色をなるべく取り入れるようにしています。これまで、冬は黒とか茶とかを着がちだったんですけど、それだと暗いし地味だと思うようになってきて。髪の色を明るく変えたことも関係あるかもしれないですね。これまでは黒系の服が多くて髪も黒で長かったので、全体的に重い感じだったんです。金髪にしてからは、これまで似合わないと思っていた暖色系のものが着れるようになったりして、日々発見ですね。」
番外編:malamuteプロデュースのライブ衣装
「前回までは自分たちで買っていて、コズミックワンダーの洋服を着ていました。今回の『ざわめき』ツアーから、デザイナーの小高真理さんによるブランドmalamute(マラミュート)”に作って貰ったんです。今季の春夏から展開するニットワンピースをキャンバス地にしてプリントしたものなんですけど、着るたびに嬉しい気持ちになります!」
羊文学『ざわめき』
2020.2.5 Release ¥1400 felicity
《羊文学》塩塚モエカ(Vo.Gt)、ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)によるスリーピー スロックバンド。2012年に結成。2018年7月に1stフルアルバムとなる『若者たちへ』をリリース。 2019年EP『きらめき』をリリース。8月からの東名阪(8/2 名古屋 CLUB UPSET、8/3 大阪・梅田シャングリラ、8/7東京・渋谷クラブ クアトロ)にてワンマンツアーは全3公演共に SOLDOUT公演に。昨年配信限定にてリリースされ、サブスクやラジオOA にてスマッシュヒットを記録したクリスマスソングの新定番曲「1999」を含む3曲入りのクリスマスシングルが満を待してCD化。2020年2月5日に前回の『きらめき』と対になるEP『ざわめき』をリリース。
FUDGE.jpが「Pick up」する、注目のアーティストの新譜を紹介!
select:Alexandra Savior『Howl』
コートニー・ラヴが絶賛した、ガーリーアーティスト
17歳の時、歌っている姿を自撮りでYouTubeにアップ。それをコートニー・ラヴが絶賛したことで注目を集めて、メジャー・デビューを飾ったシンガー・ソングライター、アレクサンドラ・セイヴィアー。デビュー・アルバム『Belladonna of Sadness』は、アークティック・モンキーズのアレックス・ターナーがプロデュースを手掛けたことも話題を呼んだ。レーベルを移籍してリリースした新作アルバム『The Archer』は、彼女のミステリアスな歌の世界がたっぷり味わえるアルバム。60年代のジャズやフレンチ・ポップを思わせるノスタルジックなサウンドに、彼女の個性的な歌声がのると映画のワンシーンのようにドラマティック。シングル・カットされた「Howl」でも、甘くアンニュイな歌声で聴く者を虜にする。ガーリーな魅力に満ちたミュージックビデオも魅力的!
▼MVもチェック
text_Murao Yasuo
Design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka
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