CULTURE & LIFE

アーティストに登場いただき、新譜「インタビュー」、アーティスト自ら掲げたテーマによる「プレイリスト」、ファッションにおける「マイ・ルール」をお届けする、連載《火曜日のプレイリスト》。

今回は先行配信リリースされた『tokyo』ではfeat. 鈴木真海子、Skaaiを迎え、好評を博した期待の新星・yonawoのインタビューをお届け!

共同生活している一軒家で作りあげたニューアルバム『Yonawo House』について、仲睦まじい彼らの現在進行形をお届けします。

《yonawo》左から野元喬文(Dr)、田中慧(Ba)、荒谷翔大(Vo)、斉藤雄哉(Gt)

ロック、ソウル、ヒップホップなど、様々な音楽性を吸収して新時代のポップスをクリエイトする福岡出身のバンド、yonawo。メンバーの4人、荒谷翔大(ヴォーカル)、斉藤雄哉(ギター)、田中慧(ベース)、野元喬文(ドラム)は、2022年に入って東京に移り住み、一軒家を借りて共同生活を送り始めた。そして、寝食を共にしながら作り上げた新作『Yonawo House』は、バンドの新しいチャレンジが詰まっている。彼らが住む家にZOOMを繋いで新作について話を聞いた。

 

Index

ーーいま、皆さんが集まっているところが〈Yonawo House〉ですか?

斉藤「そうです。一軒家なんですけど、一人一部屋あって、この家でレコーディングをしているんです」

荒谷「雄哉の部屋がおもに制作場所になっていて。機材がいろいろ置いてあるので、そこに集まって曲を作ることが多いですね」

 

ーー曲作りからレコーディングまで、全部やっているというのもすごいですね。生活と創作が一体化している。

荒谷「一緒に住むようになって、福岡にいた時よりも音楽に向き合う時間が増えましたね」

斉藤「これまでは荒谷が基本的に作詞作曲をやってたんですけど、一緒に住むようになってからは、メンバーがトラックを作って、そこに荒谷がメロディーを乗せることも増えました」

 

ーー自宅で録音したのにサウンドのクオリティが上がっているのもすごい。

斉藤「今回、レコーディングにはじっくり時間をかけて音にこだわったんです。阿南君が参加してくれたことも大きかった」

 

ーープロデューサー/エンジニアとして阿南智史さん(ex. never young beach, PAELLAS)が参加していますが、外部からプロデューサーを迎えたのは初めてですね。

斉藤「阿南君のおかげで、曲の幅がかなり広がりました。自分たちらしさを残しながら、アップテンポの踊れる曲も作れるようになったんです。阿南君はシンセを持っていて、DAW(音楽制作ソフト)の使い方も詳しいんですよ。アイデアもいろいろ出してくれたし、5人目のメンバーみたいな感じでした。この家にもう一部屋作ってもいいくらい(笑)」

 

ーーいろんなゲストが参加しているのも本作の特徴です。「tokyo」にはchelmicoの鈴木真海子さんとSkaaiさんがフィーチャーされていますが、やはりYonawo Houseでレコーディングしたんですか?

斉藤「そうです。2人が家に飲みにきた時、たまたま俺が作っていたトラックがあったんで、それを聴いてもらって〈一緒に作ろう!〉ってなったんです。そのあと、何度か2人が家に来てディスカッションしたり、レコーディングしたりしました。レコーディングの時は、ヴォーカル以外のメンバーは軽く飲んでましたね(笑)」

 

——そういうリラックスした雰囲気でレコーディングできるのもYonawo Houseならではですね

荒谷「雄哉はパンツ一丁な時もあったしね(笑)」

斉藤「煮詰まると、とりあえず脱ぐ。そしたら良いテイクが録れるんです(笑)。阿南さんが〈無駄なところでバンドの色って出るよね〉って言ってたんですけど、Yonawo Houseで録音したら、自然に生活感というか雑然とした感じが出る。阿南さんはそういうものを排除せずに、アルバムに入れてくれました」

 

ーー確かにアルバムには独特の空気感がありますね。荒谷さんは2の人ラッパーと共演してみていかがでした?

荒谷「2人に影響されたところは結構ありますね。最初にSkaai君がレコーディングしたんですけど、ラップというより、結構優しい声で歌っていたんで、Skaai君の声に溶け込むような感じにしようと思って、僕は囁くような感じで歌ったんです。ラップには憧れていたので、ラッパーの2人と共演できたのは嬉しかったですね」

 

ーー曲によっては囁くように歌ったり、太い声で歌ったり、歌い方を使いわけていますね。

荒谷「そうですね。声も楽器のようなものだと思っているので、曲のアレンジの雰囲気とか、リズムの音の出方に合わせて歌い方を変えるようにしています」

 

ーー今回はリズムがシンプルになったぶん、グルーヴがダイレクトに伝わってきますね。

野本「今回、ドラムに関しては、慧と音の抜き差しに関して結構話し合いました。〈日照雨〉という曲では、バスドラとかスネアだけで成り立つくらいドラムをそぎ落としてから、必要な音を加えていったんです」

田中「リズムがシンプルになったなかで、ベースをどう動かしていくのかは阿南さんと色々話をしました。そのおかげで、これまでやったことがないアプローチでベースを入れることができたと思います」

 

ーードラムの音色にも工夫が感じました。強烈なインパクトがある「hanasanai」のドラムの音は加工しているんですか?

斉藤「実は今回、ドラムはあまり使っていなくて。あの音は木の箱を叩いたり、壁を殴ったりした音を50個くらい重ねているんです」

 

ーーそんな工夫が! 面白いですね。

野本「今回のレコーディングでは、〈魔法を使ったんか!?〉と思う瞬間が何回もあって。これまでのアルバムにもそういう瞬間はあったんですけど、今回のアルバムが一番多かったんです。この家のどこかに魔法使いがいるんじゃないかって思ってました」

斉藤「アルバムって、出来上がってみないとどんな作品になるかわからないんです。今回のアルバムは、曲のひとつひとつに個性がありながらも、スムースに一枚にまとまった。曲のクオリティも音質も次のフェイズに行った気がしました」

斉藤「アルバムを作りながら、めちゃくちゃスキルが上達しましたね。阿南君とかchelmicoの曲を作っているryo takahashi君とか、普段から宅録している人たちと一緒に作業をしたことで、〈そういうやり方もあるんだ〉っていう発見があったんです」

 

ーー次に繋がる重要なアルバムになりそうですね。

荒谷「毎回、新しいアルバムを作る時は新しい挑戦をしていて。今回は音楽的な挑戦だけではなく、東京に出てきたことや一緒に暮らしながらアルバムを作ったこと。阿南君というプロデュースを入れたことも挑戦でした。新しい挑戦がいっぱい詰まっているアルバムなんです。このアルバムを通じてメンバーそれぞれが音楽に対する向き合い方が変わったし、バンドが大きく成長したと思いますね」

 


 

yonawo『Yonawo House』発売中!

福岡から上京してきたyonawoが、メンバーが一緒に暮らす一軒家でレコーディング。初めて外部からプロデューサーやゲストを招き、ストリングスやホーンを加えるなど新境地を切り開いた。ラッパーの鈴木真海子と Skaaiをフィーチャーした「tokyo」。ホーン・セクションを加えたファンキーな「lonely」。テレビ・ドラマ 25「晩酌の流儀」のオープニング曲「yugi」など多彩な曲を収録。メロウなグルーヴと甘美なメロディー。そして、オルタナティヴなポップ・センスはますます洗練されて、進化し続けるバンドの今がアルバムに詰まっている。

 

photograh_Kobayashi Mariko

荒谷翔大(Vo)、田中慧(Ba)、斉藤雄哉(Gt)、野元喬文(Dr)にて福岡で結成。寝る前に聞きたい”ベッドタイムサウンド”が特徴の新世代バンド。2019年 11 月に Atlantic Japan よりメジャーデビュー。2020年4月に初の全国流通盤となるミニアルバム「 LOBSTER 」をリリース。11 月には 1st フルアルバム「明日は当然来ないでしょ」をリリース、全国 5 都市で開催された初のワンマンツアーは全公演 SOLD OUT 。2021年 8 月には冨田恵一 冨田ラボ 、亀田誠治によるプロデュース曲を収録した 2nd フルアルバム「遙かいま」をリリース。直後に「 FUJI ROCK FESTIVAL ‘21 」へ出演。 12 月には USEN STUDIO COAST で開催されたワンマンライブも SOLD OUT 。メガネブランド「Zoff」のモデルにも抜擢されるなど多方面で活躍。2022年3月18日 ベッドタイムサウンド”をコンセプトに、夜に寄り添う 4 曲を収録した EP「Prescribing The… 」をリリースし、6月17日にデジタルシングル「After Party 」、7月8日にはテレビ東京ほかドラマ25「晩酌の流儀」オープニングテーマ曲「yugi」、7月27日には初めて客演を迎えたシングル「tokyo feat. 鈴木真海子,Skaai」を立て続けにリリース。「SUMMER SONIC 2022」、「朝霧 JAM」をはじめ、全国各地のフェスにも多数出演し、 11月に3rd フルアルバム「Yonawo House」をリリース。2023年3月にバンド初となる東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ決定!https://yonawo.com/


 

text_Murao Yasuo

design_Koinuma Kenichi

edit_Takehara Shizuka

 

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