CULTURE & LIFE
2020年は、いろいろと、「本質」について考える1年となったように思います。普通に、いつもと同じように1月が始まったのに、中旬になると不穏な雰囲気が流れ始め、それからは、いろいろと「これまでとは違う」毎日を過ごすことになりました。そう、毎日が非日常です。そして、「食事をするためにレストランへ出かける」から「レストランの味をウチで食べる」というライフスタイルもうまれ、定着してくると、それが普通になって、「おうち時間」の充実というものに、目が向いてしまうようになりました。毎日の生活では、スマートフォンが手放せないし、自分が作るより美味しいんだからって外食をして、と、便利や時間を優先していた生活が、「不便」を少し感じる生活に。その中でうちで過ごす時間が増えて、過ごしている中で、「おうち時間」を充実させるということなると、今まで家に無かったものに気付いたり、いらないものがあることにも気付いたり。そこで、「本質」「本物」「ずっと使いたい物」など、自然と、「サステナブル」という感覚が普通になってきたように思います。
さて、そんな2020年、出会ったいいコト、モノをちょっとご紹介します。
Pebble Ceramic Design Studioの器
5〜6年くらい前に佐賀県唐津に行った時に、初めて「唐津焼」の器を買って以来、毎年、唐津を旅行しています。唐津焼は、豊臣秀吉の時代から使われているという説がある歴史のある焼き物で、茶湯の世界では「一楽二萩三唐津」(いちらくにはぎさんからつ)と呼ばれて茶人から愛されていた陶器です。とても素朴な風合いは、シンプルな和食を盛り付ければ力強く無駄のない美しさを表現し、フレンチやイタリアンを合わせれば、お料理がさらに引き立つ縁の下の力持ち的魅力があります。そして、佐賀県といえば、東京でもとてもよく見かける「有田焼」も有名で、最近ではかなりモダンなデザインのものも増えて、都内でも専門店があるほど人気のある磁器です。毎年春と秋に開催される「陶磁器まつり」はとても人気で、春はゴールデンウィークと重なることから100万人とも言われる人出があるようです。
宿泊予約の際に担当の方と器に興味があるという話をしていたところ、ランチにオススメのお店を尋ねたら、うどん屋さんを教えてもらったので、先日の福岡旅行の際に行ってみました。当日は、空港からレンタカーで宗像大社へ向かうという旅程からスタート。そのうどん屋さんは宗像にあり、次に向かう宮地嶽神社への途中にちょうどお昼になるので、行程的にもナイス!でした。
こなみ
わたしにとって「うどん」といえば、福岡。「牧のうどん」「資さんうどん」「ウエスト」「平」などなど、うどんは福岡の人のソウルフードです。気軽に食べることができて、腹持ちもいい。少し甘いお汁に一般的に柔らかいと言われる麺、トッピングは肉とゴボ天。福岡に旅行をすれば、必ず一食はうどんを食べないと何かを忘れているような気持ちになるので、最終手段としては、空港の近くにある「牧のうどん」で食べ納めをするくらい、福岡のうどんが好きです。今回伺ったのは、古民家のうどん屋さん、「こなみ」です。
カーナビを頼りにたどり着けたのですが、車がすれ違うのが厳しいような道に入り、進んでも看板らしき看板もなく、不安になりつつも、何台か車が停まっている駐車場のようなところに車を停めて歩いてみると、ありました。
お店に入ってみると、平日昼間なのに、ほぼ満席状態です。地元のかたもはちろん、リュックを背負っている人もいるので、ちょっと遠方からも来ているようです。壁に貼ってあるメニューを見て、悩む。シンプルに肉うどんにするか、冷たいおうどんにするか。オススメを確認すると、「今ならけいらんうどん」ということで、けいらんうどんを注文しました。
こちらが、「けいらんうどん」です。
まず目に入ったのが、器の可愛らしさ。青い波が描かれてあって、お店の雰囲気と、おうどんがおさまる感じがとてもよくあっていて、思わず「欲しいなぁ」と思った器です。(器は購入できます)。
卵とじの餡かけに、真ん中に捏がみっつ。ほんのり甘い福岡のおうどんの魅力を感じつつ、捏の生姜も効いていて、ものすごく美味しい!こちらのお店は、ヌードルライターのご主人が実家の製麺所(山田製麺所)を引き継いで、奥様とはじめたうどん屋さんということです。おうどんの美味しさが、これまで食べたことがあるソウルフード的な味わいとは少し違って、上品でお洒落な感じのおうどんです。ここは、わざわざ食べに行きたくなる!と、紹介してくれたゲストハウスの担当者さんに感謝!でした。
こなみ
https://www.instagram.com/conami573/
そして、器がとても気に入って、買って帰ろうかなと思ったのですが、まだ旅行の初日だったので、家に帰ってからネット通販で買うことにしました。旅行から帰ってネットストアを見ているとこの器は、こなみさんとPebble Ceramic Design Studioのコラボ作品みたいで、ちょっとPebble Ceramic Design Studioを調べてみると、ホームページに現れたのは、なんとも可愛らしい絵柄のお皿!そして、eventの案内を見てみると、ちょうど東京で個展をしているという情報が目に入り、早速、個展に出かけて行きました。
作家は石原亮太さんという陶芸家で、長崎県波佐見という陶磁器の街の出身、2013年に独立をして糸島のPebble Ceramic Design Studioで創作活動をしていらっしゃいます。
個展に伺った時は、すでに、多くの器がSOLD OUT状態だったのですが、大好きな梟モチーフのお皿があったので、しかも、使いやすくて気に入っているオーバルなので、一枚購入。そして、次回の入荷時は連絡をいただくようにお約束して来ました。
梟モチーフのお皿が、こちら。丈夫そうで、手で持った時に滑らない感じがよく、一人分のパスタやカレーにも使い勝手が良さそうです。実際、使い始めると、かなりの頻度で食卓に登場しています。
そして、連絡をいただいて買い求めたのが、鳥の絵柄のこちら。これは、パン皿のサイズで、これこそ、使わない日はない、本当に使いやすいお皿です。梟も鳥も、同じものはひとつもなくて、一枚ずつ色味や顔が微妙に違っていて、伺って買う時は、何枚かあると選ぶのを悩んでしまいます。(なので、通販で買うより、伺って見てから、気に入ったものを買いたいです。)
これは、2020年に出会った、一番好きなお皿です。
Pebble Ceramic Design Studio
ロイヒトトゥルム1917 LEUCHTTURM1917
12月にいただいたノートです。カラーバリエーションが豊富で、新宿伊勢丹の5階にあるステーショナリーエリアで一際目を引いたハードカバーのノートを、プレゼントでいただきました。それ以前も、売り場を通るたびに、「きれいだな、どの色がいいかな」などと妄想していたのですが、少し前に、別のハードカバーのノートを買っていて、またの機会に買おうと思っていたので、プレゼントでいただいた時はとてもうれしかったです。
それが、こちら。ノルディック・ブルーのA5サイズ、ドットタイプ。同色のペンループとペンも一緒にいただいて、セットするとこうなりました。以前使っていたノートは、悩みのたねが、万年筆で書くとインクがにじむことでした。これは、結構ストレスで、ボールペンや鉛筆で書くしかないのかなと諦めていたところ、ロイヒトトゥルムのノートは、この悩みを解決してくれて、インクがにじまない、のです。
ノートについているリボンのしおり、”スピン”が同色で無地とストライプになっているのもお洒落です。
まだまだ「おうち時間」が続きそうで、デジタルな時間を過ごすことに少し辟易としているこの頃、ノートにペンで書く、というアナログな生活もいいものだな、と見直し中。ステーショナリー好きにとって、ロイヒトトゥルム1917との出会いは新鮮で、目的別にノートのカバーの色を分けて管理できるのもとても魅力的です。ノートは、ドットの他にも方眼と横罫もあります。伊東屋、伊勢丹で取り扱いがあります。
LEUCHTTURM1917/ロイヒトトゥルム1917 伊勢丹オンライン
LEUCHTTURM1917/ロイヒトトゥルム1917 伊東屋
TWSBI ツイス ビー
聞き慣れない名前ですが、台湾のブランドが作る万年筆です。これまでも、PelikanやLamyを使っていたのですが、カートリッジ式で、ついついインクが乾いてしまうことがよくあり、昔ながらの吸入式を使ってみたいと思っていました。トレンドの情報誌やWEBでは、好きな色のインクを作るのが流行っているということもあり、吸入式の手ごろな万年筆が欲しいと思っていたところで出会ったのが、TWSWIです。
それが、こちら。これは、一番お手ごろで人気のあるというTWSWI ECOというペンです。胴体部分はスケルトンになっていて、キャップの色は8種類のバリエーションがあって、インクの色と合わせたり、ノートやバッグ、スーツの色に合わせたりする楽しみが広がる、TWSWIのエントリーモデルです。かなり悩んだ挙句に、今回はインクの色を黒にするので、ペンもブラックをチョイス。
ペン先は、極細、細字、中字、とありますが、カリグラフィのように横は細く、縦は太くかけるSTUB1.1を選びました。ちょっと前に、カリグラフィ用のペンを買ったのですが、カートリッジ式で、すぐに乾燥してしまって、使おうと思ったら、カートリッジ変えて、という状況だったので、迷いなくペン先はSTUB1.1にしました。
そして、拘って買ったインクは、こちら。MONTEVERDEのSMOKE NIOR。
ただ、BLACKというのではなく、同じ黒いインクでも、10種類もニュアンスが違う黒が揃っていて、どれも欲しくなるのですが、今回はSMOKE NOIRにしました。名前から買ってしまうというのも”あり”です。色は、薄墨色より濃く、夜霧のイメージのような、例えば鉛筆の4Bで描いたような風合いです。ペン先がSTUB1.1のように、縦横で太さが違って書けるような場合、同じ字の中でも色のリズムができて、文字が立体的に見える感じです。TWSBIのペンを買った時に、伊勢丹で購入して、ミニボトル1本が1,000円でした。
デジタルに飽きてきた心は、ほんわかとなるようなモノに自ずと目が向いてしまうようです。日本の陶芸の素敵さ、そして、台湾文具の秀逸さに目覚めた2020年。年が明けてから、いろいろと、考えたことや、やるべきことなどを大好きなペンで書き綴ったり、つくったお料理をお気に入りの器に盛り付けて食事をしたり、「おうち時間」を好きな物に囲まれて過ごす時間でうめていくのが楽しみになっています。
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