CULTURE & LIFE
スウェーデンを代表するデザイナー、エリッグ・ホグラン。独特の存在感が光る美しいガラスの花器が、日々の暮らしを豊かに彩ってくれるはず。
ガラス作家・エリック・ホグランの作品をテーブルに。
秋服への衣替えも終わり、新しい自分を感じたくなる季節。ちょっとした変化で、居住空間にも新しい風を吹かせてみませんか?
今日ご紹介するのは、スウェーデンを代表するガラス作家、エリック・ホグランが手がけた美しい花器。エリック・ホグランがBODA(ボダ)社に在籍していた1956年に発表されたヴィンテージアイテムです。
エリック・ホグランは1932年生まれ。ストックホルムのKonstfack(現在の国立芸術工芸デザイン大学)で彫刻を学んだ後、1953年から1973年までBODA社でデザイナーとして活 躍し、北欧の伝統、土着文化から生まれた手の温もりを感じるプリミティブな作風でガラス工芸に新しい風を吹き込みました。既成概念にとらわれないその特異なスタイルは、職人をはじめ、販売店や消費者にもなかなか受け入れられずにいましたが、モノづくりへの情熱、そしてたゆまぬ努力によって徐々に信頼を 勝ち取っていき、1957年には北欧のデザイナーを対象とした最も権威のあるルニング賞を受賞。独特のフォルムと美しい色合い、ぬくもりを感じるガラス作品は、彼が亡くなった現在でも、日本はもちろん、世界中のファンから愛されています。
1973年以降はアーティストとして活動を主と し、98年に亡くなるまで創作活動を続けました。スウェーデンの巨匠、ラッセ・ハルストレム監督の映画「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」にでてくる山間の小さな村のガラス工場の芸術家は、 エリック・ホグランがモデルなのだそうです。
ヴィンテージガラスの独特の色合いとフォルムに魅せられて。
1956年に発表されたこのシリーズは、ジャガイモの皮やおがくずで気泡を発生させていたそれまでの作品とは異なり、細かな粒状のカーボランダム(炭化ケイ素)を用いているのが特徴。グリーンのものもブルーのものも、製造されていた期間が短く、現在ではとても希少な色だそう。ぽってりとした風合いと、あたたかみを感じるやさしいフォルム。部分的に虹色に輝くニュアンスカラーは、思わず引き込まれそうな美しさ。カットサイン(底に入った作家のサイン)も通常のものとは異なる、特別なシリーズです。
独特の存在感を放つ北欧生まれの美しい花器。切り花を生けて楽しむのはもちろん、オブジェとしてそのまま置くだけでも様になるデザインなので、ぜひリビングに指定席をつくって、日常的に目を楽しませる使い方がおすすめ。この花器に合う花を選んだり、花器が引き立つようなインテリアを考えたりするのもなかなか楽しそう。日々の暮らしの中で洗練された美しさに触れる、豊かで心地よい暮らし。この秋、まずは花器から取り入れてみてはいかがでしょうか。
photograh_Kimyongduck
styling_Saori Kitagawa
text_Sakura Komiyama
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