CULTURE & LIFE
食べやすい麺類など炭水化物中心の食事は、糖質の過剰摂取や野菜不足を引き起こしてしまい「太り」につながってしまいがち。自身の体脂肪率10%台という循環器専門医・池谷敏郎先生に「太り」を解消する方法を伺いました。
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炭水化物中心の食生活が「太り」を引き起こすワケ
池谷先生「炭水化物中心の食事で太ってしまう主な原因は、食後血糖値の急上昇とそれに伴うインスリンの過剰分泌。白米やうどん、パスタなど、でんぷんを含む炭水化物の糖質は消化・吸収が早く、すぐにブドウ糖へと変換されるため、食後血糖値を急激に上昇させやすいのです。この時、血糖値を下げるために分泌されるインスリンには、体内の余分な糖を脂肪に変え、からだに貯め込む働きがあることから、内臓脂肪を中心とした肥満の原因となってしまうのです。」
太らない食べ方の新常識は、“前食べ”から“混ぜ食べ”
池谷先生「以前は食後血糖値のコントロール法として、食事の最初に野菜を食べて糖の吸収を緩やかにする『ベジ・ファースト』などが注目をされてきました。しかし、こうした“前食べ”系のダイエットは、日々の食事のなかでうっかり忘れてしまったり、早食いなどが原因で、結局主食の量が減らせなかったりと、うまく取り入れられなかったのではないでしょうか。そこで提案したいのが主食に低糖質で食後血糖値抑制効果も期待できる食材を混ぜて食べる“混ぜ食べ”。これなら食べ順を忘れる心配もなく、簡単に取り入れられます。“混ぜ食べ”は糖質の含有量が少なく、水溶性食物繊維が豊富で食後血糖抑制効果の期待できる食材が理想でオススメはブナシメジ。ブナシメジは癖や強い香りがなく、料理において他の食材との相性が良い名脇役。私も家の冷蔵庫に常備しており、ごはんや、麺類にブナシメジを混ぜて“混ぜ食べ”をしています。」
“混ぜ食べ“『ブナピーごはん』
池谷先生「ブナシメジは、様々な主食と合う食材ですので、焼きそばやパンと“混ぜ食べ”しても良いですが、続けやすい“混ぜ食べ”習慣としては、『ブナピーごはん』がオススメ。『ブナピーごはん』は、白いブナシメジ・ブナピーとごはんを混ぜるだけの簡単なレシピ。ブナピーを刻むことで、色も食感も白いごはんに馴染み、自然に毎日続けられる習慣になると思います。」
『ブナピーご飯』の作り方
【材料(1人分)】
ブナピー:100g(1パック)
ごはん:50g
※お好みで塩を加えてもOK
【作り方】
<下準備>ごはんを少し固めに炊く。
※冷蔵庫や冷凍庫に残っているごはんを使用するのもオススメ
①ブナピーはみじん切りにし、耐熱容器に入れて600wの電子レンジで約1分加熱する。
※水気が多ければザルにあけて軽く水を切る
②ごはんにブナピーとお好みで塩を加えて混ぜる。
ブナシメジを“混ぜ食べ”するメリット
①糖質の総摂取量を減らすことができる
池谷先生「ごはんや麺などを普段の1/3量にし、代わりに低脂質・低糖質のブナシメジを混ぜることで、食事量はそのままに、カロリーや糖質の摂取を抑えることができます。また、ブナシメジなどの菌類は食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富なので、一日の栄養不足も調整することができます。」
②血糖値の上昇を抑え痩せホルモンを刺激
池谷先生「ブナシメジに含まれるβグルカンをはじめとする水溶性食物繊維には、糖の吸収を穏やかにする働きがあるので、食後血糖値の急上昇を抑止。下降も穏やかにします。また、水溶性食物繊維を摂取すると、『GLP1』という“痩せホルモン”が小腸から分泌されます。これが満腹中枢に働き、満足感が得やすくなるので、腹持ちがよくなるというメカニズム。また、ブナシメジの歯ごたえもポイントで、よく噛むことでも満腹中枢が刺激され、満足感が得られやすいという利点もあります。」
③腸内環境を整え、便通をよくする
池谷先生「水溶性食物繊維は、腸内細菌により脂肪燃焼効果につながる『短鎖脂肪酸』の材料となります。さらに、水溶性食物繊維によって便通が改善すれば、便とともに古い『胆汁酸』が排泄されます。すると、肝臓では新しい胆汁酸が合成されますが、新しい胆汁酸には古い胆汁酸の働きを上回るパワーが期待できるのです。」
『ブナピーごはん』活用レシピ
ブナピーごはんのミルクチーズリゾット
【材料(1人分)】
ブナピーごはん:150g
ベーコン(1㎝幅に切る):1枚
バター:5g
牛乳:1/2カップ
スライスチーズ:1枚
黒こしょう:少々
粉チーズ:適量
【作り方】
①フライパンにバターをひき中火にかけてベーコンを炒める。
②ブナピーごはんと牛乳、スライスチーズを加え、チーズを溶かしながらひと煮立ちさせる。
③器に盛り、黒こしょうと粉チーズをかける。
ブナピーごはんのガーリック鮭チャーハン
【材料(1人分)】
ブナピーごはん:150g
塩鮭:1切れ
溶き卵:1個分
刻みねぎ:3本分
ごま油:大さじ1/2
にんにく(すりおろし):小さじ1/2
醤油:小さじ1/2
【作り方】
①フライパンにごま油とにんにくを入れて中火にかけ塩鮭を両面よく焼き、皮と骨を取り除きよくほぐす。
②①に溶き卵を入れて、炒り卵を作るように、よく混ぜながら加熱する。
③ブナピーごはんと刻みねぎを加えて混ぜ、鍋肌から醤油を回し入れてさっと炒め合わせる。
※ごはんを入れたら加熱しすぎないようにしましょう。
池谷 敏郎(いけたに としろう)先生
医学博士・池谷医院院長。東京医科大学医学部卒。
東京医科大学循環器内科客員講師、日本循環器学会循環器専門医。血管に関する第一人者として、テレビや雑誌、ラジオなど、メディア出演多数。今、最もメディア出演オファーが多い医師。ベストセラー『人は血管から老化する』『老けない血管になる腸内フローラの育て方』(青春出版社)最新刊『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)など著書多数。
「ブナピーごはん」活用レシピ考案 藤原 朋未(ふじわら ともみ)先生
管理栄養士・乳幼児食指導士・㈱エミッシュ所属。保育園栄養士として勤務し、給食管理や調理、栄養相談などに携わる。現在は各種出版・WEB媒体にてレシピやコラムを掲載する他、離乳食・乳幼児食をテーマとした料理教室やセミナー講師を務める。
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