CULTURE & LIFE

5月は淡いピンクやクリーム色のバラが風に揺れ、幾つも連なる薔薇のアーチから、遠くにはピンクの石造りのアッシジの街が見れます。
そんな美しい季節にアッシジで開催されるのが、春の祭典「カレンディマッジョ(Calendimaggio)」

この祭りの起源は中世に遡ります。長い冬が終わり、春の訪れを祝う五月祭として受け継がれてきた伝統行事。

現在では街を東西二つの地区に分け、音楽や演劇、歴史再現などで4日間に渡り競い合う一大イベントとなっています。

カレンディマッジョの元になった中世のアッシジでは、上町(Parte de Sopra)と下町(Parte de Sotto)に住む人々の間に社会的・経済的な違いがありました。

上町には貴族や有力者が多く、下町には商人や職人が暮らしていたとされます。聖フランチェスコ自身も裕福な商人の家の出身です。

そのため祭りの時期になると、互いの地区が歌で競い合い、ときには相手をからかう歌や風刺をぶつけ合ったそうです。

だから「お前たちの地区は臆病者だ!」とか「そっちは酒ばかり飲んでいる!」とか少し失礼に聞こえるような言葉も交わされていました。

住民たちはかなり本気で、勝者が発表されると歓喜し、負けると本気で悔しがる。

衣装や音楽、歴史劇の準備に何か月もかけるので、単なる観光イベントではなく「自分たちの地区の名誉」がかかっています。

でも面白いのは、祭りが終わると皆同じアッシジの住民に戻ることです。

ある地元の人の言葉に、「一年中友達だけど、カレンディマッジョの四日間だけは敵になる」という趣旨のものがあります。

光の中でミモザの花冠を載せる人々が眩しい!

パステルカラーの衣装や行列も観光用の演出ではなく、13〜15世紀頃のアッシジを研究して再現したものなんです。

ボッティチェッリも絵画の中に入り込んだようです。

私が買っていた観客席のチケットは紀元前1世紀後半(およそ紀元前30〜20年頃) に建てられた神殿前でした。前の席お一人と後ろの席に日本人ご夫婦がいて仲良くなりました。

初日は見たことのないような楽器を持ってミュージシャンが演奏する中、衣装を着た人々の長いパレードが始まりました。

その後昔の弓矢競技があり、マドンナ・ディ・プリマヴェーラ(春の少女)が決められます。

弓矢競技者10人それぞれの腕に巻かれた布にマドンナ候補15歳の10人の少女の名前が書かれていて、弓矢の勝者でマドンナが決まるという仕組みです。

「60年前、私がマドンナになったのよ」というマダムがいらっしゃいました。

アッシジでこんなに多くの住人がいたのかというほどの行列です。
子供も赤ちゃんも全員参加しているような印象でした。

インドの衣装や舞台装置、子供がお神輿に乗って登場。
どこから連れてきたのでしょうか、ラクダや馬、ポニー、羊も登場しました。

垂れ幕も手作業で上げるという大掛かりなものでした。
沢山のパレードでは薔薇の花が撒かれたり、パッチワークされた布が敷かれたり、飽きさせない。

パレード最後はみんな集まり月桂樹の冠を上に投げます!
私はそれを一ついただいてきました。

一番美しかった芸術と演劇の夜・・・。

松明や火を操る大道芸人のような人々が大勢出てきます。
美しいコスチュームばかりに目を奪われて、オペラよりも凄い演出。毎年衣装は作り替えられるそうです。

火を吹く悪魔のような人々。
大迫力でした。

大道具が本物の大木ということに本当にびっくり。
日本のお神輿みたいなものでしょうか。

火をくるくる回したり火の柱を運んだりが激しく、誰か火傷しないのか火事にならないのか心配しましたが、ちゃんと消防士さんたちが待機していました。

一番好きだったこの場面は星の魔法使いのような小人が火のカケラを落としていく・・・地に落ちた星屑のような石はキラキラ光っていて幻想的でした。

ダンスをしながら布が交差されていく風景、素敵でした。

最後は花火のように火がつきました。

もう20回以上足を運んでいるアッシジですが、今回は全く別の一面を見ることになりました。
1時間半に及ぶ演劇を4回、想像していたより100倍も凄かった!!そんなお祭りでした。

 

 

text:竹内 仁海

パリ在住13年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。

Instagram:@melodiesgraphiques

 

 

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