CULTURE & LIFE
毎年パリで開催されるグランドスラム大会の一つ、ローランギャロス。
最終日の女子ダブルスの決勝戦、男子シングルス決勝戦、招待していただいて初めての場所へ行ってきました。
最近はパリは肌寒く雨が続いていましたが、この日は晴天でテニス鑑賞日和。
ワクワクしながら16区のブローニュの森近くの会場まで向かいます。
朝10時ごろ会場の入り口を入ると歓迎の演奏が感じの良いお出迎え。ここで数回優勝したナダル選手の金属製の彫刻が設置されていました。
ローラン・ギャロスの歴史は1891年から、当時は部門は男子のみ、参加はフランス人選手だけだったそうです。そして「ローラン・ギャロス」という名前は世界で初めて地中海横断飛行に成功したフランス人パイロットの名前に由来しているそうです。
カフェや食事を摂れるスタンドやテラスがズラリと並んでいます。Moet&Chandonのスタンドもあってパーティのような雰囲気です。ドレスアップして来ている人や赤ちゃん連れや子供連れも多いのが意外でした。
朝食にカプチーノを頼んだら泡の部分にROLQND GARROSのマークが。世界でここだけの特別感があります。
女子ダブルスの決勝戦は11時半から開始。
観客席に向かうと赤土のコートが見えてきました。こんな美しいテニスコートを見るのは初めてです。
この色はレンガを砕いたものらしいです。クレーコートは湿度や天候によって左右されるらしいので、この大事な要素です。
対戦前には整備士さんたちが水を撒いてコート内を慎重に整備されていました。
審判も続々登場、観客席が盛り上がってきます。
試合が始まると観客からの応援の歓声。
選手のボールの速さもそうですが、ロープに張り巡らされて設置された放送用のカメラのスピードにも驚きました。
女子ダブルスのイタリア対アメリカ。2時間ほどの対戦は集中してお腹も空かずに鑑賞しました。
優勝したココ・ガウフ選手とカテジナ・シニアコヴァー選手、2人で抱き合って喜びを分かち合っていました。
スタジアムに飾られていた写真のパネル。
1924年、女性はRobe de sport という当時モダンなスタイルですがエレガントな装いです。
1928年のチャンピオンはレネ・ラコステ。自身のために吸水性に優れたコットン製のポロシャツを開発、フランスのカジュアルブランド「ラコステ」は今も健在ですね。
1964年、イタリア人女性レア・ペリコリ選手は羽のついたバレリーナが着ているチュチュのようなウェアでポーズを決めています。さすがファッションを楽しむイタリア人。
男子決勝戦は3月のチケット開始日、60万人がサイトを閲覧していてチケットは買えなかったということで実際に見ることはできませんでしたが、2番目に大きいスタジアムでスクリーンで鑑賞しました。屋根部分が覆われて、直射日光が当たらずに鑑賞できました。屋外設置のスクリーン前にも大勢の人がシートを敷いて応援していました。
午後3時から始まった男子シングル決勝はアレクサンダー・スベレフ(ドイツ)とカルロス・アルカラス(スペイン)の対戦。4時間以上にわたる人生を賭けた戦いは凄まじいものでした。
スライディングしてボールを取りに行く人間業とは思えない素早い瞬発力、ミスした後も冷静な精神力、そして数時間闘う持久力…両者とも一歩も譲らない。
去年パリの屋外シネマで見た80年代のマッケンロー選手とボルグ選手の伝説の死闘の映画を思い出しました。当時の試合はボールがアウトかどうかの判定が機械ではなく人間だったので、選手らは審判の判定に対して暴言を吐いて叫び、かなり感情的な激しい試合でした。
現在は機械の判定がありより冷静な試合で、メンタルトレーニングの訓練もしている思います。
最後はスタジアムの観客全員が固唾を飲んで見守るなか、アルカラスが勝利、その瞬間割れるような大歓声。
天を仰いで叫んだアルカラス。その後家族と抱きあう姿は涙なしでは見られなかったです。
若干21歳のアルカラスの勝利。外壁に名前が書かれてみんな大きな拍手を送っていました。
選手2人のインタビューも感動的でした。
勝ち負けに関係なく、人生をかけて日々の練習に地道に取り組んでいる全てのスポーツ選手を讃えたいと思いました。
私はテニスファンではなかったですが、もの凄い激闘を見て一瞬で1日が終わったという感じです。
またここに来れますように!
text:竹内 仁海
パリ在住13年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。
Instagram:@melodiesgraphiques
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