CULTURE & LIFE
カップを持って温泉街を飲み歩き?!
チェコにある温泉地のひとつ「ルハチョヴィツェ」は湯治の目的で長期滞在する人が多い温泉リゾート。日本で冬に温泉が人気なのに比べて、ここの繁忙期は春〜秋。なぜならチェコの湯治は温泉を「飲む」ことだから。スパ併設のホテルもあるが、メインはあくまでも飲む方。
街のいたる所に温泉が湧いており、無料で飲むことができるのだ。温泉水を飲む用のカップ(取っ手の先からストローの用に飲める)を持ち歩き、飲泉所から飲泉所へと渡り歩く。外を歩くのに不向きな冬は閑散期というわけ。

味の方は、鉄分が非常に多いためかなりクセが強い微炭酸。好んで飲みたい味では無いが、薬だと思えば悪くは無いという感じ。
ほんの数十メートルしか離れていない場所でもはっきりと味に違いがあるのが不思議である。

きれいに整えられた散歩道には季節の花が咲き誇る。いわゆる温泉街らしく、立ち寄るカフェやお土産ショップにも事欠かない。ただのんびり過ごすために来ている家族連れもいれば、病気の治癒のため医者の指示で来ている人もいる。いずれにせよゆったりと過ごしている人しかいない。

チェコの温泉地の名物お菓子「オプラツキー」。スーパーでも買えるけれど、温泉地では温かいものを一枚から売っていて食べ歩きできる。炭酸煎餅にフレーバー付き砂糖を挟んだようなもので、「パリッ、ジョリッ」という食感が良い素朴なおやつ。
温泉とアールヌーヴォー建築
ルハチョヴィツェを「カワイイ」と表現したのは街に立ち並ぶ建築物のため。
おとぎ話、はたまたウェス・アンダーソンの映画に出てきそうなメルヘンチックな建物が地方の田舎町に現れるのだから!

次の写真は、ルハチョヴィツェにある代表的な一軒「ユルコヴィッチの家」。
スロバキアの建築家建築家ドゥシャン・ユルコヴィッチ(1868–1947)の設計である。彼のアールヌーヴォー様式の木造建築がこの街には数軒残っている。

チェコでは、街中に美しく歴史ある建築物が残っているプラハのことを「街全体が建築の博物館」と形容するけれど、ルハチョヴィツェに並ぶ建物も他の街では見かけないタイプのものが多く、一軒一軒が個性的で国内旅行者の目にも新鮮だ。
建物の多くはホテルやレストランとして利用されているので、見て楽しむだけでなく、可愛いおうちに滞在しながら体を癒すということが可能。こんな可愛いらしい街での湯治。心身共にチャージ出来るのでは無いだろうか。
text,photo:Noriko Naniwa
Blog:https://www.howtobeczech.com
◆こだわり女子のモノコトWebマガジン「PeLuLu」より
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