CULTURE & LIFE
イタリアに着いて次の朝目覚めると、窓の外は雪でした。
20回ほどイタリアに行っていますがはじめて見た雪景色。木や葡萄畑が粉砂糖をふりかけたようにふんわりしていて新しい世界を見たような気持ちになりました。
テレビではアッシジの修道士の皆さんが雪合戦をしている姿が映し出され、楽しそう。
世界遺産の聖フランチェスコ大聖堂は普段ならたくさんの観光客がいますが、この日ばかりは貸し切り状態でした。
カフェのカウンターでエスプレッソを出す時のカチャカチャする音はパリにはなく、イタリアのカフェが恋しかったものの一つ。私も夫もパリのカフェのエスプレッソは飲まないのですが、イタリアでは1日何回もカフェに入ります。
カフェの中の黒板には、”ガソリンがワインの値段を上回った。だからここに残ってワインを飲もう!でも旅することも同じく美しい”とイタリアらしいメッセージが書かれています。
今回楽しみにしていたのは10年ぶりのフィレンツェのウフィツィ美術館。やはりルネサンスを生み出したオリジナルの美があります。
レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知。
素晴らしい作品を見すぎて圧倒され、他の美術館に行くのはやめました。
お散歩していたら中世のフィレンツェのサッカーチームのコスチュームを着て行進する人々に遭遇。当時はこんなにカラフルだったんですね。昔のサッカーは殴ったりすることもOKで、ルールは噛まないことだけだったそうです。
フィレンツェでは老舗の美しいタッセル屋さんや文房具屋さんが姿を消していてとても残念に思いました。世代交代で受け継ぐ人がいないお店はやはりなくなってしまいますね。
ペルージャでは今でも伝統を守り続けているアトリエへ伺いました。ステンドグラスのアトリエ “Studio Moretti Caselli ”。15世紀に建てられた邸宅内も一見の価値ありです。
ルネサンス以降姿を消したステンドグラスの芸術。19世紀の初めに絵画のように描いてステンドグラスにすることを発明した人がいました。その方はフランチェスコ・モレッティ。ガラスに普通の絵の具で描いて釜戸で焼くと絵の具が消えてしまう。
そこで彼は大量の科学の本を読み漁り、ガラスに絵を描いて焼くという作業を繰り返しました。
作品一つが出来上がるまで気が遠くなるような作業です。
まずガラスの粉を作り、それをピグモンとビネガーで混ぜる。それを絵の具としてガラスに絵を描く。
1000kgの木を窯で3時間焚いて600°まで熱し2時間ガラスを入れ色が溶けるまで様子をみる。
窯を冷ますまで5日間。割れたら最初からやり直しです。
現在では窯の代わりに機械を使い、焼く作業は以前より簡単になったそうです。
700本のピグモンの瓶、絵を描くためにモデルとして使ったたくさんの漆喰や等身大に描かれたデッサン、目が覚めるような鮮やかなガラスの絵画が飾られています。
サイトはこちらから。
現在は彼の家族5世代目がアトリエを引き継いでいます。この伝統が後世まで受け継がれますように。イタリア至宝の旅でした。
text:竹内 仁海
パリ在住11年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。
Instagram:@melodiesgraphiques
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