CULTURE & LIFE
島全体がパワースポット!エメラルドグリーンの海に浮かぶ長崎県の離島、壱岐島
旅先でキレイな写真を撮るには「季節」「天気」「時間」のこの3つがポイント。美しい雪景色や碧い海を撮りたいとき、その時期にしか現れない動物などを見たい時は「季節」を考えなくてはいけません。「天気」でとくに注意が必要なのは、6月中旬から7月の頭の梅雨の時期と、9月の台風の時期。青い空が背景の方がやはり風景はキレイに見えます。そして、旅は常に「時間」との戦いでもあります。特に離島となると、船を1本でも逃したらスケジュールが大きくずれて大変なことに。
今回長崎県の壱岐島に行ったのは、海に沈むお地蔵さんを見たかったから。でもとても残念なことに干潮の時間と満潮の時間が旅の行程に合わず!そしてずっと曇天模様。今回の旅は「天気」と「時間」の神様は微笑んでくれませんでした。本当に自分の中のベストな写真を撮るということは、なかなか大変なこと。美しい満天の星空も、何日もその場所に滞在してベストなタイミングを伺って撮るのでしょう。それなのに私の旅はいつもどちらかというと弾丸で詰め込んだスケジュール。なかなかベストな風景を撮影することが難しいのですが、それも旅。
満潮の時はこのように海に沈むお地蔵さんを見ることができます。これが見たくて壱岐島まで来たのですが、叶わず、、。
「海女の里」として知られる八幡浦の海中に祀られている「はらほげ地蔵」。満潮になると胸まで海に浸かるお地蔵さんの姿には、どこか哀愁が漂います。6体あるお地蔵さんは六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天)における苦しみや悩みから救ってくれると言われ、地元では遭難した海女さんや鯨の供養のために祀られていると伝わります。ちなみに「はらほげ地蔵」の名前の由来は「お地蔵さんの腹が丸くえぐられているため」とされています。そのためお腹の穴にはお賽銭が。
壱岐市立一支国博物館。壱岐島にはなんと279基の古墳を含む482箇所の遺跡があります。これらの遺跡からは、壱岐をはじめ、日本を代表する遺物が出土しています。常設展示室では、島内に点在する遺跡や古墳から出土した貴重な実物資料を約2000点展示し、ダイナミックな映像で弥生時代の交易の様子を紹介したビューシアター、表情豊かな160体のフィギュアが弥生時代の原の辻の暮らしを伝える巨大ジオラマ、一支国の王、占い師、渡来人などの衣装を試着できるスポットなどを通じて、壱岐島の歴史をたのしく学ぶことができます。
博物館の設計は世界的に有名な建築家、故黒川紀章氏。緩やかな曲線を描いた屋根は全面緑化され、周辺の山並みに溶け込んでいます。
博物館の展望台からの景色。内海湾(うちめわん)をはじめ、壱岐島内を一望できます。中央少し右側には原の辻遺跡が。
通常立ち入ることができない収蔵庫の中を見せるという大胆な空間づくりを、この博物館では実現。圧感の物量と棚の美しさ。
博物館のあとには壱岐島で有名な「猿岩」に。こういった岩系の観光スポットは全国に無数に存在するけれど、ここの「猿岩」の作品性はかなりトップレベル。どう見てもリアルなお猿!
こちらは「猿岩」の近くの小高い丘にある「黒崎砲台跡」。6年の年月をかけて昭和8年に完成したもの。砲台の口径約41㎝、砲身の長さ約18m、弾丸の重さ約1トン、当時東洋一と言われた巨大な砲台です。1度だけ試射が行われたのみで、実戦で使用されることなく終戦後に解体されました。巨大な穴を覗いてみると、その大きさに驚かされます。
町を照らし、島を盛り上げる!長崎県で唯一の、魚料理のためのクラフトビールメーカー
次の日「勝本朝市」に。島の北部に位置する勝本浦は、イカ釣り船がひしめき、昔ながらのまち並みが今も残っています。「勝本朝市」は江戸時代にはじまり、海産物と農産物を物々交換し合ったことが起源とされています。朝8時頃から12時頃まで商店街の路面やアーケードで干物や海産加工品、野菜・果物などが売られています。行った時はまだ始まったばかりでおばあちゃんたちも少なかったけれど、ほのぼのとした雰囲気の中、市場は始まります。
商店街を進むと、突然むむむ!な雰囲気のお店を発見。
この出で立ち。雰囲気。新しい風のにおい。BREWERYの文字。これはもう立ち寄らずにはいられません。
青い海と豊かな自然に囲まれた壱岐島に、長崎県で唯一のクラフトビールメーカーとして誕生した「ISLAND BREWERY」。「魚に合うビールを作りたい」この想いを実現するために壱岐島発祥である麦焼酎に使われている白麹を使用したビールを作ったのだそう。白麹由来のクエン酸がもたらす、柑橘を思わせる爽やかな酸味。フルーティーなホップの香り。軽やかな飲み口と華やかな香りが、魚料理に優しく寄り添います。
ISLAND BREWERYは「島を盛り上げたい!」「生まれ育った町を活性化させたい!」という想いから立ち上がり、創業130年以上の老舗酒蔵「原田酒造」が、歴史ある酒蔵をリノベーションし、思い切ってビールタンクを入れたのだそう。美しい海と豊かな大地を有する壱岐島は、ウニやイカ、壱岐牛、地野菜といった美食の宝庫。麦焼酎発祥の地だけに焼酎蔵が7社、数十年ぶりに復活した日本酒蔵が1社と酒造業が盛んな島なのです。造りたいのは「壱岐らしさ」。それを大切にしたビール。新鮮な魚介や幻の和牛といわれる壱岐牛に合う味わいを追求したり、特産品や麦焼酎に使う材料を取り入れたり。町や島の人々に愛されるビールを目指してビール造りに取り組んでいます。
そんな熱い想いを教えてもらったら、もうお土産にするしかありません!
ゴールデンエールは「魚に合う」をコンセプトに考えられたビール。壱岐島発祥の麦焼酎に使われる白麹を使用することで、麹が生み出した自然な酸味がフワッと口の中に広がります。ほのかな柑橘の香りが加わり、お刺身にもよく合うクラフトビールです。
アイ・ピー・エーは魚に合うビールとして、苦味だけではなく香りを楽しめるビール。南国のフルーツを思わせる香りを楽しめます。お肉との相性も抜群なので、壱岐が誇る希少なブランド牛「壱岐牛」とのペアリングも最高です!
ゆず麹エールは壱岐島でとれた柚子果汁と柚子皮、そして壱岐焼酎の製造に使われる白麹をたっぷりと使用しました。グラスに注いだ瞬間から、華やかな柚子の香りが立ちのぼり、壱岐島の海が目に浮かびます。ビールが苦手な方にもオススメできるフルーツビールです。
どれも香り豊かで美味しく、夏にぴったり。壱岐の美しい海の水面のデザインも涼しげで、飲んでいる間も壱岐島の海を想像しながら味わうことができます。でも本当は壱岐島の食材と合わせて楽しみたい、、。今度はこのビールを生で飲みに、そしてお天気の良い時にもう一度壱岐島にいくしかない!と、心に誓ったのでした。
素敵なお土産教えてください。
身近な日本の軌跡と奇跡。旅するデザイナーrumiのInstagram。
@find_rumi
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