クリエイティブチーム Do it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第87回目のテーマは、「スラムダンクとあわせて見たい、スポーツ映画」です。

Do it Theaterの郡司恵（ぐんじめぐみ）です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

みなさん、年末年始はどんなふうに過ごされましたか？私はひたすら寝て、ひたすら食べるといった最高の寝正月を送りました。そろそろ体を動かさねば…と焦っています。
そういえば先日、年末年始の映画館動員ランキングが発表されていました。『すずめの戸締まり』、『アバター２』などを抑えて国内トップに立ったのは、『THE FIRST SLAM DUNK』。バスケ経験者でなくとも見応えのある映画になっており、公開から1ヶ月以上経ちましたがまだまだ熱狂冷めやらぬようです。かく言う私も13年間バスケ部だったので、映画を観てからバスケ部時代のスポーツ魂がざわついております。
そこで、今回は「スラムダンクとあわせて見たい、スポーツ映画」をテーマに、熱い気持ちになれるスポーツ映画をご紹介します。『野球少女』、『風が強く吹いている』、『ドリームプラン』と、年の始めにピッタリな、勇気をもらえる3作品をセレクトしました。

 

私の未来は誰にもわからない

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title：『野球少女』

【story】
プロ野球選手になるために、たった1人の女子部員として練習に励んできたスイン。高校卒業を目前に控えたスインは、夢を叶える道を探るが、女子であることでトライアウトにも参加させてもらえない。母、友達、野球部の監督からも諦めた方がいいと言われるが、「私の未来は誰にもわからない。私でさえも」と、抵抗する。そんなスインの元に、プロ野球選手になる夢に破れたジンテが新コーチとして就任する。スインはチャンスを掴み、トライアウトを受けるのだが…。

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Netflixで大人気のドラマ「梨泰院クラス」でトランスジェンダーのマ・ヒョニ役を演じたイ・ジュヨンが、初めて商業映画の主演を務めた作品。日本では2021年春に公開され、今ではNetflixで視聴することができます。最初はイ・ジュヨン目当てで鑑賞したのですが、彼女の期待を超える演技力に脱帽しました。華奢な見かけからは想像できない、強靭な精神力。鋭く光る眼光は、どこまでも真っ直ぐに夢を追いかけるスインの頑固さと強さが現れています。実は、スインは韓国の高校野球史上初めて、公式戦で先発登板した女子選手がモチーフになっているそう。社会的に認められない立場でも、“周りの誰になんと言われようと、誰も私の未来はわからない。私にすらわからない未来を、他人に諦めろと言われて諦められるわけがない”と、奮闘し続けるスインの姿に、自然と勇気をもらえます。何かに挑戦しているあなたの背中を力強く押してくれる一作です。

 

振り向くな、もっと強くなれ

title：『風が強く吹いている』

【story】
ボロボロの陸上部の学生寮「竹青荘」（通称・アオタケ）には、毎朝5km走るだけで安く美味いメシが食えるという理由で居座っている落ちこぼれのメンバーたちが集まっていた。彼らの面倒を見ているのは寮長のハイジ。彼もまた、脚に致命的な怪我を負い、陸上を諦めかけていた。ある日ハイジは、とある事件を起こして走ることから遠ざかっていたカケルと出会うことで、箱根駅伝出場の夢を再び取り戻していく。

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三浦しをん原作の小説を、小出恵介、林遣都主演で2009年に映画化した作品。2006年に小説が出版されてから、2007年の漫画化、ラジオドラマ化を皮切りに、2009年1月に舞台化、同年10月に実写映画化されました。2018年にはTVアニメシリーズも公開されていて、今なお人気がある物語なんです。陸上部のボロボロな寮アオタケに住んでいるメンバーは、漫画オタクのイケメン、司法試験合格済みの秀才、ヘビースモーカーな25歳、就職活動に勤しむクイズ王などなど、とにかく個性豊かな面々。初めは素人が箱根を目指すなんて嘘くさい、と思うかもしれませんが、案外ポテンシャルがあるメンバーだったりするのもこの物語の面白いところ。でこぼこな10人、それぞれに走る理由があって、それぞれのドラマが見えてくるたびに物語にどんどん引き込まれていきます。ハイジを中心にひとつの目標に向かってチーム全員が努力している姿を見ると、不思議と力が湧いてくるんです。観終わった時にはみんなと一緒に走り切ったような気分になり、爽快感を味わえる作品です。

 

計画なくして成功なし

title：『ドリームプラン』

【story】
ビーナス＆セリーナ・ウィリアムズ姉妹をテニスの世界チャンピオンに育て上げた、父親リチャードの実話を元に作られた物語。リチャードはテニス未経験にも関わらず、娘2人をプロのテニスプレイヤーに育てると決意し、型破りな夢の計画書、「ドリームプラン」を作り上げていた。無謀ともとれる計画だったが、彼は強い意志と独学で実行し、夢を実現させようと奔走する。

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アカデミー賞6部門でノミネートされたこの作品、主演ウィル・スミスの名演は世界で絶賛され注目を集めました。周りに責められようとも娘たちのために人生を捧げるリチャードと、それに応えようとする娘2人の絆が丁寧に描かれていて、観るものの心を奪います。また、この作品のすごいところは実話が元になっている点。リチャードは実際に、娘が生まれる前、テレビで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見て、「娘を最高のテニスプレイヤーにしよう！」と決意。独学でテニスについて学び、78ページにも及ぶ計画書を作っていたのだとか。貧しい家庭環境や劣悪な治安の中でも、最後まで目標を見失わず、着実に計画を実行していけば必ず夢は叶うことを証明した一作です。1月は計画を立てるのに向いている月。映画を観てモチベーションを上げて、目標に向かって一歩、動き出してみませんか？

 

今回は、「スラムダンクとあわせて見たい、スポーツ映画」をテーマに3作品をご紹介しました。何かに熱中できるのって本当に素敵なことなんだなと改めて思わせてくれる作品たちです。情熱を注ぎ込んでいる人は輝いて見えるし、そんな姿を見ているだけでなんだか力が湧いてきますよね。大人になっても何かに打ち込む気持ちを大切にしていきたいですね。

 

『ドリームプラン』

text :郡司恵（ぐんじめぐみ）(Do it Theater)

学生時代にミニシアターでアルバイトをしていました。新卒でマネージャーとして映画館に勤めたのち、現在はDo it Theaterでシアタープロデュースに携わっています。
『あん』『人生フルーツ』『パターソン』など、日常にある幸せを思い出させてくれる作品が好き。今年の目標は今まで観られていなかったシリーズものの映画を制覇すること！

●Do it Theater（ドゥイット・シアター）
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース＆クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus（ホリデーサーカス）」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど５会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com

 

design_Koinuma Kenichi

edit_Takehara Shizuka

 

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