CULTURE & LIFE
クリエイティブチーム Do it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第78回目のテーマは、「少し無茶してみるのもいいかも?夏の冒険映画」です。
Do it Theaterの阪実莉(さか みのり)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
あっという間に夏が終わろうとしていますね。今年の夏はどんな思い出を作りましたか?
今回は学生時代の夏休みならではの、青春がぎゅっと濃縮還元された感じを思い出させるような、元気が出る作品たちをご紹介します。
「少し無茶してみるのもいいかも?夏の冒険映画」というテーマで、思いがけず漂流してしまう『雨を告げる漂流団地』、車を盗んで旅をする『50年後のボクたちは』、家出をして森で家を作る『キングス・オブ・サマー』とそれぞれ違うタイプの冒険で3作品セレクトしました。
Index
友達と遊んでいたら、団地ごと知らない海へ漂流してしまう
©コロリド・ツインエンジンパートナーズ
title:『雨を告げる漂流団地』
【story】
まるで姉弟のように育った、幼なじみの航祐と夏芽。小学6年生になった二人は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクしはじめた。夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込むが、突然不思議な現象に巻き込まれる。気づくとそこは、あたり一面の大海原。航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流する……。
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2018年『ペンギン・ハイウェイ』でアカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した、アニメーションスタジオ「スタジオコロリド」から公開される新作長編アニメーション映画。9/16(金)から、Netflixでの配信スタート&全国ロードショーの予定で、公開日にNetflixでも鑑賞できてしまう、なんとも珍しい公開方法なのです。
小学6年生が主役なので、子ども向けかなと思いつつ鑑賞したのですが、全然違いました…。子ども達の心情がしっかり当事者目線で描かれながらも、ハッとする冒険映画ならではのアドベンチャー感もあり、あらゆる年代の人が観ても楽しめる作品です。どんな困難な状況でも、みんなで協力をして危機を乗り越えようとする姿に涙してしまいます。
また、スタジオコロリドならではの映像美も注目ポイント。団地ごと漂流するというストーリー故、海上にいる描写が多いのですが、その時々での波が見せる表情といい、まるで海にも感情があるかのような美しさがあります。ぜひ注目して観てみてください。
14歳の少年と風変わりな転校生が、盗んだ車で旅をする
©︎2016 Lago Film GmbH. Studiocanal Film GmbH
title:『50年後のボクたちは』
【story】
14歳のマイクは、同級生から変人扱いされている冴えない中学生。母親はアル中で、父親は若い恋人と浮気。マイクは学校だけでなく、家に帰っても息苦しい毎日を送っていた。そんなある日、チックという少し風変わりな転校生がロシアからやって来る。夏休みに入り、チックはマイクをドライブに誘う。無断借用したオンボロのディーゼル車に乗り、南へと走り出した二人は、退屈な日常を飛び出し、一生忘れられない旅に出る。
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ドイツ国内で220万部以上を売り上げ、26カ国で翻訳されているベストセラー児童文学を『ソウル・キッチン』のファティ・アキン監督が映画化した本作。少年二人が地図にない場所を目指すロードムービーで、ドローン撮影を多用した疾走感のある作品になっています。
臆病なマイクと転校生のチック。理由こそ違えど2人ともにクラスに溶け込めていない状況下で、チックは執拗にマイクにつきまとい、ついには盗んだ車で迎えに来てしまいます。チックは破天荒で桁外れに変なやつですが(笑)、危険を顧みず新たな一歩を踏み出すときは、こういう友人が不可欠ですよね。
自ら後戻りのできない状況を作り出す、その思い切りの良さに羨ましくさえなってしまいます。大人になるとついつい、仕事は?お金は?といった考えがよぎってしまうものです…。もちろん二人の旅は、トラブルだらけですがそれはそれで良いのです。
自立した生活を目指すべく家出をして、森に家を建てることに
Illustration_MARU
title:『キングス・オブ・サマー』
【story】
高校生のジョーと親友のパトリックは、ともに親への不満から家出を計画する。二人は一風変わった少年ビアジオと一緒に、森に隠れ家を作って自立した生活を始める。しかし、そこにジョーが想いを寄せるクラスメイトのケリーがやってきて、少年たちの友情に亀裂が生じはじめる……。
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『キングコング:髑髏島の巨神』などのジョーダン・ヴォート=ロバーツが監督を務めた青春ドラマ。何かとうるさい両親に反抗し、逃避行を始める少年たちのひと夏を爽やかに描く本作。家出をするまでは、あるよね〜と穏やかに観ていたものの、まさか森で!家まで建てるの!?と想像を上回るあまりの展開ぶりに思わず驚きました。男子高校生の行動力、おそるべし。
ひと夏の恋や、勢いで決めた家出。大人になるとそういった衝動はいつの間にか忘れてしまうものですが、振り返って考えると、意外とそんな出来事が今の自分を形成していたりするものですよね。若い勢いに背中を押され、自分自身も少し挑戦をしてみようかなと思える作品です。
また、映像の美しさもさることながら、作中の音楽も素敵なので要チェックです。青春映画は、サントラをダウンロードして、映画の余韻に浸りながら日々を過ごすのも最高ですよね。
今回は、「少し無茶してみるのもいいかも?夏の冒険映画」をテーマに3作品をご紹介しました。
誰もがかつて通ってきたであろう、思春期や反抗期が爽やかに描かれていますが、主人公の年齢が、小学生・中学生・高校生とそれぞれ異なるので、それぞれの年代ごとの面白さも発見するのも楽しいかもしれません。3作品ともサブスクで鑑賞できるので友人と観るのもオススメです。今年の夏の思い出にも浸りつつ、ぜひ観てみてくださいね。
©コロリド・ツインエンジンパートナーズ
長編アニメーション映画『雨を告げる漂流団地』
配給:ツインエンジン/ギグリーボックス
9/16(金) Netflix全世界独占配信&日本全国ロードショー
©︎2016 Lago Film GmbH. Studiocanal Film GmbH
『50年後のボクたちは』
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
『キングス・オブ・サマー』
text :阪実莉(さか みのり)
(Do it Theater)
学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、
現在はDo it Theaterにてアートディレクターとして奮闘中。人生のバイブル作品は『あの頃ペニー・レインと』『下妻物語』『NANA』。今年の夏はクーラーが効いた室内にこもりっぱなしでした。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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