CULTURE & LIFE
クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第77回目のテーマは「真夏のサスペンス映画」です。
Do it Theaterのユーコンです。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
こう毎日暑いと外出が億劫に…。家の中で楽しめる趣味としては、やはり映画鑑賞が鉄板ですよね。映画配信サービスが無数にある現代に生まれて本当によかったです!
さて今回は「真夏のサスペンス映画」を3作品セレクトしました。
豪華ハリウッド俳優陣の体当たり演技から目が離せない『ペーパーボーイ 真夏の引力』、現実と虚構が入り乱れ、観る人を惑わす『スイミング・プール』、青春の輝きと闇が交差する『リプリー』。ジリジリと太陽が照りつけ、夏のもわっとした蒸し暑さとサスペンスの香りが漂う映画内温度が高めの作品たちです。
ストーリーが面白いのはもちろん、俳優陣も美男美女ばかりの超豪華メンツ。ストーリー重視、ビジュアル重視、どちらの方にも楽しんでいただけるものばかりです。
Index
永遠の美魔女、ニコール・キッドマンの大胆な演技から目が離せない
Illustration_MARU
title:『ペーパーボーイ 真夏の引力』
【story】
1969年のアメリカ・フロリダ。大学を中退し、新聞配達員として退屈な日々を送る青年ジャック。ある日新聞記者である兄・ウォードの元に、謎の女・シャーロットが獄中の恋人の冤罪証明を求めて調査の依頼に来る。取材の助手を務めることになったジャックは次第にシャーロットの魅力にのめり込んでいく。そしてとある一つの殺人事件を巡り、さまざまな人間関係が複雑に絡み合い始める。
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『ムーラン・ルージュ』でキャバレーの花形スターを演じ、『ステップフォード・ワイフ』では美しすぎるブロンド主婦を演じたニコール・キッドマン。そんな彼女が本作で演じているのは殺人犯に恋をする、ケバい化粧のやさぐれ女・シャーロット。自慰行為に放尿など、美しきニコールからは想像もできないような驚きの演技で観る者を釘付けにします。見事な役作りで、性に奔放な南部訛りのケバい中年女を演じ切った彼女は、数々の映画祭にて女優賞にノミネートされました。
真夏が舞台とあって、本作は全編を通じて蒸し暑い空気感に包まれています。サイコパス役が恐ろしいほどよくはまるジョン・キューザックとの沼地での緊張感溢れるやりとりは、息をするのも忘れてしまうほど。涼しい部屋で鑑賞していてもいや〜な汗をじっとりとかいてしまうサスペンス映画です。
ラストの解釈は観る人まかせ。だから映画っておもしろい。
Illustration_MARU
title:『スイミング・プール』
【story】
仕事がマンネリ化していたイギリスの女流ミステリー作家のサラ。出版社の社長・ジョンの勧めで、彼の南仏の別荘にて執筆活動を行うことに。美しく、落ち着いた別荘を気に入ったサラだったが、それは束の間の静寂だった。ジョンの娘・ジュリーが転がり込んで来て、毎夜のように男を連れ込み始めた。苛立つサラだったが、妖艶なジュリーにインスピレーションを得て、やがては彼女を題材に物語を紡ぎ始めるのだった…
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一度目の鑑賞後、すかさず二度目の鑑賞に入ってしまった作品です。ですが何度観てもわからない…。数々のレビューを読んでも解釈は人それぞれ。どうやらこの映画の解釈に正解はないようです。
『8人の女たち』を映画化したフランソワ・オゾン監督が手がける本作は、ヨーロッパならではの色彩と映像美に魅せられます。夏の南仏のさわやかな香りの中に、怪しげに漂うサスペンスの香りが至る所にちりばめられています。
この作品では主人公のサラが小説家という設定がポイント。彼女が見たもの、感じたことが現実なのか、それとも彼女の頭の中だけ(彼女が考えた小説の中だけ)で起きていることなのか、というところの線引きが巧妙にぼかされ、観る人を深い迷路へと誘います。
夏の不朽の名作を、名俳優たちを起用してリメイク!
©2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
title:『リプリー』
【story】
人真似が得意なトム・リプリー(演:マット・デイモン)はひょんなことから、御曹司でプレイボーイのディッキー(演:ジュード・ロウ)に自らの身分を偽って接近することになる。ディッキーの生き様に憧れを抱くトムは、いつしか友情以上の感情を抱くようになっていった。そんな中ディッキーが恋人と結婚することを知り、激昂したトムはとんでもない行動に出るのだった…。
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“世紀の二枚目”として名高いアラン・ドロンが主演の1960年の名作、『太陽がいっぱい』のリメイクである本作は俳優陣も超豪華。今やハリウッドの大物俳優となったマット・デイモンを主演に迎え、その親友役としてはイギリスの二枚目俳優を代表するジュード・ロウが共演。その他、アラフィフとなった現在も美しさが色褪せることのないグウィネス・パルトローやケイト・ブランシェットも名を連ね、名俳優たちの若かりし頃の美しいビジュアルに魅了されます。そして本作の一番の見どころはなんといってもマット・デイモンの名演技! 嘘に嘘を重ね、そこから逃れられない負のループにずぶずぶと入り込んでしまう青年の不安や葛藤を見事に演じています。「自分が何者かわからない。他人の人生が羨ましい」と思ったことがある人は、主人公トムの複雑な心境に共感し、胸がしめつけられる瞬間を感じるはずです。
夏にこそ観たい、夏が舞台の「真夏のサスペンス映画」を3作品ご紹介しました。まだまだ暑い日が続きそうですので、熱中症に気をつけて、涼しいお部屋で快適な映画ライフをお楽しみください。
©︎2012 PAPERBOY PRODUCTIONS, INC
『ペーパーボーイ 真夏の引力』
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
『スイミング・プール』
U-NEXT他で配信中
『リプリー』
出演:マット・デイモン、グウィネス・パルトロウ、ジュード・ロウ
1999年 アメリカ映画 139分
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
Blu-ray ¥2075 DVD ¥1572
※2022 年 8 月の情報です
text :ユーコン(Do it Theater)
前職は外資系映画会社にて映画・海外ドラマなどのコーディネート業務。最近の趣味は映画をテーマにした料理。
好きなジャンルはマンブルコア、SF、アメリカ80年代モノ。超ポップな韓国インディーズ映画『なまず』が気になり中。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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