CULTURE & LIFE
クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第49回目のテーマは、雨の日が多いシーズンにぴったりの「心もしっとりとした気分になれる映画」です。
Do it Theaterのやべさやです。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式で紹介しています。
どんよりとした曇り空が続く日が増えてきましたね。朝から雨が降っている日はちょっぴり憂鬱…という方は、映画を観ながらゆったりリラックスしてみませんか?今回は「心もしっとりとした気分になれる映画」ということで、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』『マチネの終わりに』『シェイプ・オブ・ウォーター』の3作品をピックアップしました。
Index
しっとりとした色彩の美しさに惹き込まれる。
©︎Block 2 Pictures 2006
title:『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
【story】
失恋したエリザベスは、とあるカフェに出入りするようになる。毎晩ブルーベリーパイを用意してくれるカフェのオーナー、ジェレミーと話すことで、エリザベスは徐々に慰められていく。しかし、別れた相手が新しい恋人といるところを見かけ、エリザベスは旅に出る決心をする。
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本作は、『恋する惑星』や『花様年華』などのウォン・カーウァイ監督が初めて挑んだ英語作品です。鮮やかだけどしっとりとした色使いが素敵なウォン・カーウァイ監督の作品は、湿度多めの季節がよく合う気がしています。今回ご紹介する『マイ・ブルーベリー・ナイツ』もまさに今の時期の鑑賞にピッタリ。お店の内装やネオンなどの色彩、ゆったりと流れる音楽と時間、吸い込まれるようなカメラワークや、ガラス越しのショットなど、映画全体から独特の色気が漂います。作品の細部から伝わってくる美しさを感じつつ、観終えたあとはなんだか前向きな気持ちになれる素敵な作品です。そして、中盤のドライブシーンは、梅雨明けのカラッとした夏晴れが待ち遠しくなりますよ(笑)。
“水”のシーンに注目して観たい、大人なラブストーリー。
title:『マチネの終わりに』
【story】
クラシックギタリストの蒔野聡史は公演後、パリの通信社で働くジャーナリストの小峰洋子に出会う。二人は運命のようなものを感じていたが、洋子には婚約者がいた。二人は強く惹かれ合い心を通わせていくが、思わぬ障害が生じてすれ違い、関係は途絶えてしまうのだった…。
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福山雅治さん・石田ゆり子さん主演で2019年に公開された本作は、芥川賞作家・平野啓一郎さんの小説を映画化した大人の恋愛や人生を描いた物語です。作品全体を纏うトーンが上品で美しく、パリの街並みや二人の会話、音楽や衣装、部屋やお店の美術など、思わず見入ってしまう魅力が詰まっています。また、音楽家・蒔野を演じる福山さんと、ジャーナリスト・小峰を演じる石田さんの組み合わせが本当に素晴らしく、お二人の繊細な揺れ動きやお芝居を堪能できるのも本作の魅力の一つです。そして、ぜひ鑑賞しながらチェックしていただきたいのが、土砂降りの雨、セーヌ川、噴水などの“水”が出てくるシーンたち。感情や質感など、とても効果的に使われているので、2回目観る方などはぜひ注目してみてくださいね。
水分量多め。切なくもファンタジックな物語。
title:『シェイプ・オブ・ウォーター』
【story】
1962年、米ソ冷戦時代のアメリカ。政府の極秘研究所に清掃員として勤めるイライザは、勤務中に秘密の実験を目撃してしまう。そして、人間ではない“彼”の存在に惹かれたイライザは、こっそりと会いにいくようになり、生活が一変していく。
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第74回ベネチア国際映画祭で金獅子賞、第90回アカデミー賞で作品賞、監督賞、美術賞、音楽賞を受賞した本作は、人間の女性と不思議な生き物が心を通わせていくファンタジックな物語。公開時、二人が水のなかで抱き合う美しいポスタービジュアルがすごく印象的だったことを覚えています。そして、本作には“水”のシーンがたくさん出てきます。そしてその“水”という物質が持つウェット感が、さまざまなカタチで物語の奥行きを広げていきます。また、二人が惹かれ合っていくロマンス的な要素はもちろん、サスペンス的な衝撃シーンも多めなので、このお話は一体どうなっていくのか・・・という視点でも楽しむことができますよ。(本当にラストのラストまで目が離せません…!)印象的な描写も多く、個人的に映画館でイライザが彼を見つけるシーンが大好きなので、ぜひ注目していただきたいです。
今回は「雨の日に観たい。心もしっとりとした気分になれる」というテーマで、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』『マチネの終わりに』『シェイプ・オブ・ウォーター』の3作品をご紹介いたしました。
映像から伝わる質感や、効果的に水が使われている作品など、どの作品も雨の日だからこそ楽しみ方が広がる映画たちです。梅雨の時期は早く終わってほしい!とにかく夏が恋しい…!という方も多いかと思いますが、たまには今の季節だからこその映画鑑賞も体験してみてはいかがでしょうか?
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
text :やべさや(Do it Theater)
音楽会社、映画会社などを経て、現在は編集・ライター・宣伝業。好きなジャンルはヒューマン、青春、音楽系で、90年代後半~2000年代前半の邦画が大好き。今年は久し振りに映画を作ろうと、友人の監督と動き始めました。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュースチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」では野外シアターを上映!また 累計4万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫とマリンアンドウォークヨコハマの2会場同時開催の「シーサイドシネマ」、 ロックバンドSuchmosとタッグを組んだ「DRIVE IN THEATER Suchmos」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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