kiitos.

私たちの体内に共生している菌たちは、実際、どんな働きをしてくれている? まずは体内で種類・数ともに最も菌が多い、腸内の細菌事情にフォーカス。

教えてくれたのは…

内藤裕二 先生
京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学 生体免疫栄養学教授

京都府立医科大学卒業後、米国ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授、同学付属病院内視鏡・超音波診療部部長を経て、2021年に大学同研究科整体免疫栄養学教授に就任。腸内細菌と老化についての研究の第一人者としても知られる。

腸内フローラ(腸内細菌叢)とは?

「フローラ(Flora)」とは分類学用語で植物群衆のこと。菌は腸内で種類ごとに集団を形成しており、その様子が色とりどりの花畑に似ていることからこう呼ばれます。

人の体表面に棲みついた細菌はすべて合わせるとなんと1〜2kgにも。そのうち9割が腸内細菌。胃に近い小腸の上部は胃酸や胆汁酸の影響を受けるため菌の数は少なく、大腸にで近づくにつれて増えていくと言います。

人の数だけ存在する、唯一無二の腸内フローラ

人間の皮膚、口や胃腸などの粘膜部分などすべての体表面には、隙間もないほどの数の細菌(微生物)が棲みついています。そしてその菌の約9割が、腸内を住処とするいわゆる腸内細菌。種類は1000種以上、個数は100兆個以上とも! 腸内細菌は種類ごとに集団になっており、その総称を〈腸内フローラ〉と呼びます。

一体どうして9割もの菌が腸に集中しているのでしょうか? 『腸内細菌と老化の関係』の研究の第一人者として知られる、京都府立医科大学大学院教授・内藤裕二先生にお話を伺いました。

「腸という環境が、その菌にとってベストだからです。菌というのは環境によって生息している生物。大腸の中には基本的には酸素がほとんどないので、酸素を嫌う菌たちにはまず過ごしやすい。そのうえ、自分は何もしなくてもジーッとして待っていたら、人が食べたものがエサとしてどんどんやってくる。こんな居心地がいいことって、ないですよね」

腸内フローラを構成する腸内細菌は、病原菌など一過的に腸内を通過する細菌を除いて〈常在菌〉と呼ばれます。常在菌は、生まれ育つ地域や人種によっても違いが。

「例えばパプアニューギニアの人たちなんかは炭水化物からアミノ酸をつくる、非常に特殊な腸内細菌を持っていますが私たちは持っていませんし、逆に日本人や東アジア人は持っているビフィズス菌を、アフリカの人は持っていません。

ただし、そういう大きな特徴の違いでは分類できるとしても、常在菌は一人ひとり、それこそ指紋のように違うんです。

生まれてくるときにお母さんの産道からもらうもの、授乳を介してもらうもの、さらに例えば自然の多いところで育ったか、都会で育ったか、ペットはいるか……など周囲の環境から伝播されるなどして、だいたい生後3年程で、常在菌の多様性などその人の腸内フローラが安定化すると考えられています」

腸内細菌(常在菌)は胃腸で消化されずに残った食べ物を栄養にして増殖するが、その際につくるいろいろな代謝物が、人間の身体に影響を与えます。

「腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分類されます。善玉菌は、食べ物の消化・吸収を助けたり、免疫力を高めたりと人間にとっていい作用を及ぼすもの。ビフィズス菌や乳酸菌が有名です。悪玉菌は、腸内をアルカリ性に傾けて腐敗させたり、発がん物質など毒素をつくり出すもの。ウェルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌などが挙げられます。そしてバクテロイデスや連鎖球菌といった日和見菌は、そのときどきで優勢な方に味方をするのです」

本来は善玉2 悪玉1 日和見7の割合で存在するのが理想的ですが、腸内フローラはちょっとしたことでバランスがゆらぎがち。悪玉菌が優勢になると有毒物質などで腸内の環境が劣悪になり、その影響は腸内にとどまらないので注意が必要。

主な腸内細菌をチェック!

一般的に知られているのは、この4つの菌

ウェルシュ菌|悪玉菌

食中毒を引き起こすことでも知られる、代表的悪玉菌。酸素の少ない環境を好み、腸内のタンパク質などを腐敗させてさまざまな有害物質を発生させる。血液によってウェルシュ菌が全身に運ばれることで、肌荒れや代謝不良などの原因となることも。生存に適さない環境では〈芽胞〉という耐熱性の高い固い殻をつくって身を守る。

大腸菌|悪玉菌

〈大腸菌〉と聞くとすべて悪玉菌だと思われがちだが、実はほとんどは無害。ただし有毒株はウェルシュ菌同様に、腸内の内容物を腐敗させて硫化水素やアンモニアなどガスや悪臭のもととなる有害物質、発がん性物質などの毒素をつくり出し、腸内環境を悪化させてアルカリ性に傾ける。酸素があってもなくても存在でき、生命力が強い。

乳酸菌|善玉菌

小腸下部から大腸に生存。その名の通り糖質やアミノ酸などを分解して〈乳酸〉を生成し大腸の働きを活性化させるほか、免疫力を高めて感染症を防ぐ、食べ物の消化吸収を助ける、ビタミン類を産生するなどの作用、さらにアレルギー症状を抑える効果も。人間や動物の腸内のみならず、植物や土壌中などいたるところに存在。

ビフィズス菌|善玉菌

主に日本人や東アジア人の腸内に存在し、腸内環境を整える菌として日本で最も知られている。100兆個程いるとされる腸内細菌の約1割を占め、糖質を分解して悪玉菌の増殖を抑える〈乳酸〉、高い殺菌力を持つ〈酢酸〉を生成。酸素を嫌うため、酸素の少ない大腸を住処としている。加齢とともに減少するので食物で補う必要が。

illutration:Toshinori Yonemura(Yone) edit&text:Kei Yoshida re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.23(2022年5月13日発売)より抜粋。

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