kiitos.
コロナ禍によって、目まぐるしく生活の様子が変わり、家の中で過ごすことが増えた昨今。私たちは、植物的に生きてしまっていないでしょうか?
急速に進んだテレワークの導入により、一日のほとんどの時間を座って過ごして終えることも増えました。
「人間も動物。動かないと身体は錆び(=酸化)、焦げ(=糖化)てしまいます。今からでも遅くないので、散歩する習慣を身につけましょう」。と話すのは長尾クリニック院長、長尾和宏先生。
「歩くということは全身運動であり筋肉の運動、骨の運動。動かすことで血流がよくなればさまざまなホルモンも分泌されて、身体によいことが起こるのです」。酸化、糖化、ホルモンの変化という三大老化も、歩行することにより遅らせることができるのだそうです。
脳科学の知見からも、散歩はよい脳トレになるといいます。脳の機能を8つに分けた独自の「脳番地」の考え方で、脳番地トレーニングを提唱する加藤プラチナクリニック院長、加藤俊徳先生はこう話します。
「赤ちゃんも、立ち上がり、歩くことで成長していきます。歩行しながら情報を得て、脳を刺激していくのです」(加藤先生)
現代人の多くが抱える寝不足や運動不足に加えて、単調になりがちな暮らしの中、新しく覚えることが減り生活がマンネリ化すると脳も老化していきますが、散歩で得られる外の世界からの情報は、脳全体をまんべんなく目覚めさせていきます。
自分自身と向き合うという側面でも、散歩が取り入れられています。歩行瞑想を取り入れた診療を行う、精神科医で禅僧の川野泰周先生は、歩行瞑想することで自分の心の中を観察することの重要性を語ってくれました。情報に翻弄されている間は自分の心の中を観察することが後回しになっていますが、〝ただ歩く〞ことに集中する時間を持つことで、自分を俯瞰して見ることができるようになるといいます。
「歩行瞑想することで、私たちの深層心理にある本当にやりたいと思っている夢や希望に気づけるようになったり、埋もれていたアイデアを引き出せるようになります」(川野先生)
気分をスイッチさせたり、ストレス解消のために、なんとなく歩いみる。気軽にはじめた近所の散歩からでも、見えてくる世界は想像以上に広いです。手軽すぎて見落としていた散歩の魅力を深堀りしてみましょう。
運動不足をチェック!
便利なものに囲まれた現代社会に生きていると、意外と自覚することが少ない運動不足。「アシックス」が提案するアシックスヘルスケアチェックで同年代と比較した持久力レベルを判定し、 健康づくりに役立てましょう。
Q1~5の質問に対して、それぞれ当て当てはまるものをチェックしてみてください。1と5についてはイメージで答えてみましょう。
Q1:いま、速いスピードで20分ほど歩き続けたとします。自分の急歩能力は、同じ年齢の平均的な体力の人にくらべてどのくらいだと思いますか?
非常に劣る(1点)/やや劣る(2点)/普通(3点)/やや優れる(4点)/非常に優れる(5点)
Q2:子供の頃、長距離を走るのが得意でしたか?
苦手(1点)/普通(2点)/得意(3点)
Q3:最近、どのくらいの頻度で運動をしているか?
まったくしていない(1点)/月に1、2回(2点)/一週間に1、2回(3点)/一週間に4、5回(4点)
Q4:電車やバスに乗り遅れないようにと、駅の通路や廊下をあわてて駆け出したとします。同じ年齢の平均的な体力の人に比べて、あなたの心臓や肺はどのような状態でしょうか?
非常に苦しくなる(1点)/やや苦しくなる(2点)/人並みである(3点)/やや余裕がある/非常に余裕がある(5点)
Q5:あなたの体脂肪率はどのくらいでしょうか?
30%~(1点)/20%~29%(2点)/~19%(3点)
回答項目にある数字を合計し、5段階評価で同年代女性と比較したときの持久力(スタミナや粘り強さ)を判定します。
①5点以下は極めて低いです。まずは短い距離から歩くクセをつけましょう。
②6~9点は低いです。ひと駅分前で下車して歩くなど、意識して歩行時間をつくりましょう。
③10〜13点は標準です。こまめに運動する機会を設け、体力を維持しましょう。
④14〜17点は高いです。このままの運動量をキープできれば理想的です。
⑤18〜20点は極めて高いです。運動量は保たれているので、無理のないよう身体を動かすように気をつけましょう。
出典:アシックスヘルスケアチェック 「質問紙によるヒトの全身持久力の簡易評価法に関する提案:成人女性を対象として」(田中喜代次、臨床スポーツ医学)
SPECIAL TEACHER
加藤プラチナクリニック」院長 加藤俊徳先生
脳内科医。株式会社「脳の学校」代表。脳番地トレーニングを提唱。独自のMRI脳画像診断法で、1万人以上の脳を診断・治療してきた実績を持つ。『1万人の脳を見てわかった!「成功脳」と「ざんねん脳」』(三笠書房)など著書多数。
「長尾クリニック」院長 長尾和宏先生
1995年にクリニックを開業。在宅医療のオピニオンリーダー的な存在として啓発活動に従事。その活動を映画化した『痛くない死に方』が全国順次公開中。『病気の9割は歩くだけで治る!PART2』(山と渓谷社)など著書多数。
「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」副院長 「臨済宗 建長寺派 林香寺」住職 川野泰周先生
3年半に渡る禅修行を行い「林香寺」の住職に。寺務のか たわら、薬物療法に並び、禅やマインドフルネスの実践を導入した心理療法で精神科診療に当たる。著書に『悩 みの9割は歩けば消える』(青春出版社)などがある。
アシックス スポーツ工学研究所
1985年に「アシックス」のシューズ、アパレルの研究部門が統合されて設立。人間の運動動 作に着目・分析し、独自に開発した素材や構造設計技術を用いることによって 、革新的な技術、製品、サービスを継続的に提供する。
photograph:Masahiro Tamura[FREAKS],hair&make-up:Takuma Suga,styling:Mina Takaue,model:Kako Takahashi,edit&text:Ai Watanabe,re-edit:Yuri Iwata[press lab]
(kiitos. vol.19より抜粋)
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