kiitos.
いまやその言葉を聞かない日はない程浸透した、“サスティナブル”なモノ・コト。地球規模で捉えるとなんだか難しいことのように思えるけれど、実はとても身近なこと。一人ひとりが楽しみながら行う小さなアクションがやがて大きな波を呼んで、その先にはかならず明るい未来が待ち受けているはず。
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TIPS⑦ 小さな行動が未来につながることを知る
貧困やエネルギー問題、気候変動、地球資源など、17の項目から成る「SDGs(エス・ディ・ジーズ)」。国連サミットで採択されたことをきっかけに、日本国内でもレジ袋有料化やマイボトル推奨をはじめ、着々と〝エシカル〟な暮らしへの関心が高まっています。2030年の目標達成に向けて、私たちができることは? 日本のサスティナブルな社会づくりの第一人者でもある、「イーオクト」代表の高橋百合子さんに話を伺いました。
お話を伺ったのは… E. OCT株式会社 代表 高橋百合子さん
新聞社勤務を経て、1987年に企画制作を業務とする会社を設立。スウェーデンの環境機械との出会いをきっかけに、企業の工場や自治体をはじめとする国内のリサイクル向上に貢献。その後、北欧の取り組みや人々の暮らしを伝えることに注力し、暮らしのサスティナブルデザインプロダクツの販売を本格化させる。鈴木エドワード建築設計事務所協働代表を兼務。
誰ひとり取り残されることのないしあわせな世界をつくるために
ー国連加盟193国が、2030年までに達成することを目標にした「SDGs(エス・ディ・ジーズ)」とは、一体何でしょうか?
「簡単に言うと、貧困や健康、エネルギー問題、環境の保護、性差別に至るまで、世界が抱えるさまざまな問題の17の項目に対して、誰ひとり取り残すことなくしあわせな世界をつくろうということだと考えています。そして、それはなにも世界の裏側の話ではありません。例えば、貧困ひとつを取っても、国内でも新型コロナの影響による貧困が深刻化しています。いつ何時、何をきっかけにして自分の問題になるかはわからないですよね」
ーこのように、実はとても身近な問題であるにも関わらず、日本の危機意識は世界に大きく遅れを取っているといいます。
「政府間ではじめて環境を課題にした会議が行われたのは、約50年前。その頃にはすでに、世界は環境に対して問題視をしていたのですが、日本でそのことを知る人は私を含めほとんどいませんでした。ようやく近年、地球温暖化による自然災害や、スウェーデンの女子高生グレタさんの活動などのニュースを通じて、サスティナブルな考え方に関心をもつ方が増えた気がします。SDGs達成のためのさまざまな取り組みをする企業が増えたのも、とても喜ばしいことですね」
ーでは、日本と環境先進国との違いはどこにあるのでしょうか。
「スウェーデンやフィンランドは環境先進国と言われていますが、住む人と自然との距離がとても近いように思います。例えば、スウェーデンでは、真冬でも自然の中を歩くのが当たり前なんです。誰が所有する森だったとしても、自由に入ってきのこやベリーを穫ることができる。昔からそうした文化が生活に根づいた国だから、自然を破壊する行為は自分たちの暮らしと直結するんですよね。それと比べると、日本人は、自然との心理的な距離が遠いように思います」
ー驚くことに、世界的に見て、国土に対して森林が占める割合が高い三大森林国は、環境先進国であるスウェーデン、フィンランド、そしてなんと日本なのだそう。
「『自然が好きですか?』と聞くと日本人の多くは『好き』と答えるんですが、実際には、森林ってどこにあるんだろうっていうのが本音だと思うんです。環境先進国のように森を身近に感じて、この先もずっと自然とともにありたいという気持ちを育むことこそが、いまの日本に必要なことだと思っています」
ー世界の森林が減少の一途を辿る一方で、国内では増加し続けています。しかし、それは決して良いことではないとか……。大量に植林された木々が、人手不足やさまざまな理由で、伐採されずに放置されていることが一因なのだそう。
「日本の林業は、危機を迎えています。森林の再生を促すためにも、私たちも製品を通して活動を続けています。例えば、国産の木で使ったまな板や洗濯板、ヒノキの入浴剤などは、とても人気ですね。環境問題って、地球規模で語られることが多いのですが、あまりピンと来ないこともありますよね。自分たちの暮らしに近づけてみて、はじめて実感できたりする。だから、最初から完璧を目指さなくてもいい。まずは日常生活の手が届くところから少しずつ変えていくことが大切なんです」
+1の行動が未来につながる高橋さん注目のエシカル活動
■自然愛護の精神が育まれる森を身近に感じる活動
自然に意識が向くガイドツアーと、どこでも森林の保全と再生に協力できるアプリ。「目を向けてみると、街路樹の脇や植え込みの一角にも生命は力強く育っていて、森に還ろうとしているもの。それを知るだけで、愛おしく思えますよ」(高橋さん)
スマートフォンアプリ 「weMORI」
指先ひとつで森林の保全と再生を行うプロジェクトへの寄付ができるスマートフォンアプリ。コーヒーを買うような値段からそれぞれのプロジェクトに寄付を行うことができ て、その結果どれくらいの森林が保全・再生されたのかをデータで見ることができる。
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=org.wemori.app
iPhone:https://apps.apple.com/jp/app/wemori/id1534996337
http://wemori.org/
contact@wemori.org
森の案内人 三浦豊 「森ツアーガイドと場づくり」
渋谷・池袋といった都心や、山奥にある原生林、京都の日本庭園など、日本全国あらゆる場所を、案内人の三浦さんと一緒に散策。その地に流れる自然が織りなすストーリーを紐解きながら、わくわくするようなお話を伺う。その他、多くの人に森林に親しんでもらうためのオンラインサロンや、バーチャル森ツアーなど、さまざまな企画を行なっている。詳しい活動内容や申し込みは、ホームページから。
■リサイクルの輪はコスメ業界でも拡大中
コスメ業界でも、使い終わった容器を店頭などで回収して、リサイクルする活動に取り組む動きが広がっている。「消費者も生産者も、一歩ずつ前進していくことが大切」(高橋さん)。すでに読者におなじみの化粧品ブランドやショップでも行なっている。まずは愛用しているコスメブランドのサイトをチェック。
Melvita[メルヴィータ]
毎月21〜30日を「ECO 10 DAYS」とし、他社製品やメイクアップアイテム空き容器を含む コスメの空き容器をメルヴィータ直営店舗で回収。協力者に、100円分のポイントをプレゼントしている。(メルヴィータ ジャポン カスタマーサービス tel: 03-5210-5723)
Cosme Kitchen[コスメキッチン]
マッシュビューティーラボが展開する〈Cosme Kitchen〉〈Make↗︎Kitchen〉などの店舗で購入した商品を対象に、使い終わった容器を全国90店舗で回収するリサイクルプログラム 「リサイクル キッチン」を実施中。(コスメキッチン tel: 03-5774-5565)
NEAL’S YARD REMEDIES[ニールズヤード レメディーズ]
ブランドを象徴するブルーのボトル。使用済みの容器は直営店舗などで回収、店頭ディスプレイやオリジナル製品へと再生。ほかにも、道路をつくる際に粉砕したブルーボトルを混ぜて、交通事故防止のアスファルトにも。(ニールズヤードレメディーズ 0120-316-999)
[関連記事]
「日常使いのアイテムを見直そう」ー地球にやさしい暮らしかた PART.1
「毎日の食卓から環境を想う」ー地球にやさしい暮らしかた PART.2
「地球に還る素材や成分にこだわる」ー地球にやさしい暮らしかた PART.3
「地球コンシャスな新コスメを取り入れる」ー地球にやさしい暮らしかた PART.4
「やさしいコスメで環境とわたしをいたわる」ー地球にやさしい暮らしかた PART.5
「廃棄をなくすためのサービスを利用する」ー地球にやさしい暮らしかた PART.6
photograph: Masahiro Tamura[FREAKS] hair & make-up: Aoi Nagasawa styling: Kaho Yamaguchi edit & text: Hiroko Shirasaki re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.19(2021年3月21発売)より抜粋。
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