kiitos.
メイクアップアーティスト・yUKIさんの旅模様を綴る連載企画「温泉にいこうよ。」。ふたり、ときどきひとりで日本各地に点在する温泉へ。その土地でしか体験できない“あたらしい”を見つけに。

Index
日本最古の美肌の湯と出雲文化を嗜む宿へ
清少納言が『枕草子』の中で「湯はななくりの湯 有馬の湯 玉造の湯」と讃え、日本三名泉として知られる島根県・玉造温泉。「界 出雲」での堪能し出雲大社を参拝した後に、次なるお宿、緑豊かな温泉街に佇む「界 玉造」へ。多くの人々を癒し、愛されてきた古の湯と神話の歴史とともに織りなされてきた出雲文化の奥深い魅力に浸るひとときを。
[旅する人]
yUKIさん|メイクアップ・アーティスト&ビューティーイノベーター
1990年渡仏、CHRISTIAN CHAUVEAUを卒業しディプロム取得。1998年帰国。ファッション誌やショー、広告で活動、女優・モデルからの指名でメイク担当することも。2009年には独自のメイクブラシブランド「yUKI MAKEUP」を立上げ、2019年「yUKI TAKESHIMA」としてリニューアル。その人本来の美しさを引き出すクリエイションに定評がある。Instagram: yukimake
【DAY2】玉肌の湯に身をまかせ、風流に興じる
15:00 玉湯川のせせらぎに誘われてお宿へ到着
周囲に広がる木々に溶け込んだ風格のある趣の外観。温泉街には高層の旅館も多い中、2階建ての低層建築が持つ落ち着いた雰囲気も「界 玉造」の魅力。

斐伊川の天然石がオブジェのように並ぶギャラリーのような雰囲気のフロント。この世の万物を敬い、石にも神さまが宿っているものとして愛でてきた、八百万の神が集う土地ならではの演出。
15:15 日本随一の名湯にじっくり浸る「玉湯の間」
島根が発祥といわれる日本酒をモチーフに酒蔵の麹室をイメージした開放感あふれる客室。千利休も好んだ“名栗加工”の床の足触り、出雲に伝わる“親子格子”の障子を通したやさしい光など、匠の技で彩られたディテールが五感を潤してくれる。

寝室のヘッドボードを飾るのは、宍道湖でよく見られる”天使の梯子”と呼ばれる薄明光線を藍染で表現したアートワーク。それぞれのお部屋が一点ものとなる「天野紺屋」が手掛けた作品。

温泉街を流れる玉湯川をイメージしたオブジェは、玉石を研ぎ出す技術から生まれたもの。地質豊かな島根の風土が伝わってくる。

アメニティを包む風呂敷は深く艶やかな燕脂色。温泉旅館「界」の創業を記念して生まれたデザインで、豊かな歴史と伝統美が息づく玉造を映す色合い。
15:30 松江文化の粋を五感で味わう茶の湯体験
茶の湯文化が今も暮らしの中に根付いている松江。「茶の湯体験」では日本庭園を望む茶室「蛙瞑庵」で、三斎流の亭主のお手前をいただける「茶の湯体験」。茶の心や出雲の歴史などの話に耳を傾け、優雅な時の流れを感じたい。

勾玉を象った美しい上生菓子は宍道湖の畔に佇む菓子処「清松庵たちばな」のもの。亭主の想いが込められた器やお茶室の設えからも、和敬清寂の精神が窺える。

亭主との会話を愉しみながら、お抹茶で一服。
【松江の文化に触れる「茶の湯体験」】
期間:通年
開催時間:15:30〜18:30
申込み:当日現地にて受付(先着順)
16:30 美肌を導く玉造温泉を知る「温泉いろは」へ
「界 玉造」の湯守りが玉造温泉の歴史とともに泉質や効果的な入浴法を指南。紙芝居形式の和やかな雰囲気で旅人を迎えてくれる。
17:00 古より“神の湯”として愛されてきた出湯へ
“ひとたび濯(すす)げば形容端正しく、再びよくすれば万の病ことごとに除こる”と『出雲国風土記』に記されるほど、美肌の湯として尊ばれてきた玉造温泉。“化粧水の湯”“姫神の湯”とも評され、硫酸塩泉と塩化物泉の混合泉で肌をなめらかにするアルカリ性、保湿・保温効果の高いメタケイ酸を多く含むのが特徴。「湯上がり後、お肌がしっとりとすべすべに。相性の良い温泉との出逢いが旅を豊かなものにしてくれます」とご満悦のyUKIさん。

飲んでも美味しい松江の酒蔵「米田酒造」のお酒をそのままフェイスパックにして愉しめる「美酒処」。美肌成分α-EGを多く含む日本酒を温泉で割ってつくったフェイスシートで入浴中に潤いをプラス。
18:30 館内のクラフト巡りで感性を磨く
中庭を囲むような館内では、島根の若手工芸作家グループ”シマネアールプロダクト”の展示を愉しめる。出雲和紙で作られた絵本や松江城の女中さんたちの冬の手なぐさみだった松江和紙手毬などが並ぶ「トラベルライブラリー」で安らぎのひとときを。

深い趣の燭台は奥出雲で主に日本刀をつくる技術として栄えた日本古来の“たたら製鉄”の技術を200年に亘り受け継ぐ「鍛冶工房弘光」11代目小藤宗相氏が手掛けたもの。たたらの源流をどう活かすかという想いを抱き、その魅力を今に伝えている。

廊下に佇む行燈も「鍛冶工房弘光」によるもの。出雲大社、因幡の白兎、八岐大蛇と日本神話が描かれた情緒あふれる灯火が旅の宵を照らし出す。

フロントから客室へとつながる太鼓橋は天井や窓ガラスもアーチを描く、今の技術では再現できない雅な意匠。庭園文化も盛んな松江地方ならでは手の込んだ中庭も見事で、夕暮れ時には笹の揺れる庭に竹灯籠が灯り、幻想的な光景を映し出す。日常からの架け橋を渡って至福の旅時間へ。
19:00 日本酒とともに山陰の美食を味わい尽くす
白身のトロとも呼ばれる日本海の高級魚、のどぐろを炙り、生ハムと柚子大根を添えた先付け。島根県で穫れるのどぐろは脂の乗りがよく、旬を迎えるこの季節は特に身がやわらかく、口の中でとろけるような絶品。

棚田に見立てた器に稲架掛けの飾りが添えられた「宝楽盛」。奥出雲は古くから砂鉄の産地で、鉄を切り出した山の跡地を肥やすために蕎麦を育て、美しい棚が生まれた食文化の歴史がある。「循環式の営みに育まれたさまざまな恵みをとその味わいに感謝の気持ちがあふれます」

宍道湖のしじみとしまね和牛を存分に味わえる台の物「界 玉造流 しじみ牛しゃぶ」。ぷっくりとした肉厚のしじみの風味と食感は格別で、締めのお食事には、神事でもいただくひきぐるみの生蕎麦をお出汁で茹でた釜揚げでいただくのがおすすめ。
21:00 酒処、島根の美酒に酔いしれる
素戔嗚尊(すさのおのみこと)が酒を使い、八岐大蛇を退治した逸話から日本酒発祥の地といわれ、多く酒蔵のが点在する島根県。館内の「日本酒BAR」では丁寧に選び抜かれた40種類以上の地酒をいただける。酒蔵の歴史やこだわりに耳を傾けながら、奥深い日本酒体験を。

弥生時代から酒造りが行われてきた島根県は、約30の酒蔵が存在する酒処。個性的な日本酒との出逢いも旅の愉しみのひとつ。お気に入りの一杯を見つけたら、QRコードを読み込んで蔵元のこだわりに触れられる「リモート酒蔵見学」もおすすめ。

日本酒3種とおつまみのセットをオーダーしたyUKIさん。お願いしたお酒のひとつ、金鳳酒造の「特別純米 へるん」は松江に縁のある小泉八雲と妻のセツに因んだもの。ナッツや蜂蜜のような香ばしさのある複雑な香りが特徴で通も満足する美酒。だいこくさまのお猪口はパンデミックの際、地元の窯元がともに明るい未来を願って生まれたもの。

酒器は地元の窯元のもので揃え、土地の豊かな恵み同士が響き合うのを感じながらいただける。「器を選ぶ時間もそれぞれの窯元やこの土地の魅力を知る素敵な機会になりました」
21:15 伝統芸能「石見神楽」の迫力に圧巻
ユネスコ無形文化遺産でもある“佐蛇神能”が石見地方に伝わり、民衆の娯楽とされて今に伝わる「石見神楽」。「界 玉造」では「ヤマタノオロチ伝説」を題材にした演目「大蛇」を披露。鮮やかな衣装を纏ったスタッフが軽快なお囃子に合わせて舞う、ダイナミックな舞台を鑑賞したい。
【DAY3】神々を宿す植物の力にあやかる
07:00 「出雲酒造り体操」で血行促進
酒造りにちなみ、精米やもろみの攪拌など、蔵人の動きを取り入れた体操。全身の筋肉を解きほぐし、自律神経を調えて爽やかな一日のスタートを。
07:30 滋味あふれる杜氏鍋で朝を迎える
蔵人のまかないとして親しまれてきた杜氏鍋をメインにした和食膳。素朴ながら栄養豊富なお鍋で、身体に染み渡るような深みのある味わいを堪能。
09:00 客室露天風呂でゆったりお清めタイム
信楽焼の浴槽が備えられた露天風呂はプライベート感満載の空間で、滔々と湧き出る玉造温泉を想いのままに愉しめる。朝の心地良い風に吹かれながら、至福の湯浴みを叶えてくれる。

お酒のほのかな香りに包まれながら、リラックス効果をもたらしてくれる日本酒風呂。日本酒に含まれるアミノ酸やアデノシンによって血行促進、保温・保湿効果効を高めてくれるので、朝の入浴にも最適。

温泉に浸かりながら日本酒をいただける桶酒セットもお部屋の嬉しいアメニティのひとつ。

素戔嗚尊が妻をめとった喜びを詠んだ歌“八雲立つ 出雲八重垣 妻込めに 八重垣造る その八重垣を”でも知られる「八重垣神社」は、玉造温泉街から車で約15程の縁結びの聖地。「界 玉造」では期間限定で神話のふるさとならではの開運旅「八重垣神社開運プラン」を開催。古来より出雲で神々が宿る草として神事に用いられてきた「真菰」は浄化作用によって邪気を祓い、出雲大社の注連縄も使用され、珍重されてきた植物。開運プランでは、この神聖な真菰を使用したオリジナルバスセットで参拝前の湯浴みをし、神社でのお詣りや祈祷の準備を調えてくれる。
【八重垣神社開運プラン】
期間:2026年1月13日(火)〜2月28日(土)
含まれる内容:祈祷料(撤饌授与品含む)・壁画拝観料・真菰バスセット・オリジナルお守り袋
定員:1日1室3名まで
集合場所:界 玉造・八重垣神社
申込み期限:7日前まで
※プランについて詳しくはこちら。
11:30 島根旅で出会った美味をお土産に
日本海の海の幸、歴史や風土に育まれた米処ならではの逸品が並ぶショップコーナー。食材の他にも、めのう細工の繊細なアクセサリーやオブジェなど旅の素敵な想い出となる逸品を手にしたい。

島根県の十六島でしか収穫できない希少な天然岩海苔を味わえる「十六島海苔入り佃煮」。出雲を代表する海産物で今も変わらない悠久の味。

地元の酒蔵と和菓子店がコラボレーションしたお菓子「酒粕あんさんぶれ」は、日本酒の甘やかな風味が香る上品なお味。
12:00 ゆとりに満ちた笑顔でチェックアウト
チェックアウトの最終時間は12時。心もお肌も潤い、明日への活力をしっかりチャージ。
TIPS FOR TRAVEL|旅服コーディネート&メイク事情
旅もおしゃれも大好きなyUKIさんと新井さん。それぞれの1日目の旅スタイルとメイクのこだわり、愛用のトラベルアイテムをご紹介。
✔︎旅服コーディネート
「今シーズン気になるバーガンディ色のニットと同色系のパンツとシューズを合わせました。トレンドカラーのカーキのジャケットをさらりと羽織って、旬のレイヤードを愉しみます」
※すべて本人私物。現在販売を終了している商品もあります。
✔︎旅メイク
「色のエナジーを味方に未来へアプローチするようなイメージです。ベースはドライに仕上げて、ペンシルを使って艶やかに仕上げた口元、アインラインやチークもバーガンディのパレットをリンクさせています。美肌の湯でなめらかになったお肌をメイクでエンパワーメントしています」
・リップ/Hermès ローズ・モーヴ ルージュ エルメス ルージュ ア レーヴル サティネ 55 ローズ・モーヴ
・リップ/Hermès トレ ドゥ エルメス クレヨン レーヴル 85 ルージュH
・チーク/YSL メイクミーブラッシュ リキッド 54 ベリーバン
・ロールオン/nifu Hinoki Knot aroma rollon
※現在販売を終了している商品もあります。
✔︎旅の必需品
「2泊3日の旅では、ゆったりと過ごして余白をつくること、そして、これから向かってゆく未来像をイメージするような時間も大切。毎朝の瞑想に焚くお香、生き生きと“今”を愉しむことをアシストしてくれる美顔ケアグッズ、サプリメントも旅の必需品です」
(左から)
・SINN PURETE/マインドフル アンビエントインセンス / DREAM CATCHER(夢守り)
・ティーエフケイ/三寿
・FEMMUE/ドリームグロウマスクCC(ドリームグロウマスク ウィンターコンプリートセット 2025)
・STELLA BEAUTE/Beauty Face Stick Rin(SHIONパープル)
※すべて本人私物。現在販売を終了している商品もあります。
END OF THE JOURNEY|旅を終えて。
神々のふるさと、島根を巡る旅で新しい扉が開いたというyUKIさん。旅の終わりを迎えて感じたこと、未来へ向けて想い描いていることを伺った。

毎年、神在月を迎えると稲佐の浜に八百万の神々が集い、神話の物語が今も人々の営みや暮らし、食をはじめとするさまざまな文化に息づき、訪れた人にも自然と感謝の気持ちや祈りの心が湧き上がる。島根・出雲の土地が悠久の時を経て、私たちに伝えてくれるエネルギーは、とても静かで大らか。
「出雲の滞在のお詣り支度で穢れを祓う禊ぎをして、玉造温泉で潤いをプラスする。生まれた余白に自分の色を描いていく。今回の出雲・玉造温泉を巡る島根の旅は、人生にも当てはまるようなストーリーがあって、おすすめのコース。生まれ育った国の始まりや日本の神話にじっくり触れた体験によって、本質的なものの豊かさに気づかせてもらったように思います。それは根源的で大切なものと再び出逢うような、新しくも懐かしい感覚。原点回帰して、自分自身のベースに戻る導きになりました」

日本全国各地の温泉巡りをしてきた「温泉に行こうよ。」は、今回で最終回。大の旅好きでもあるyUKIさんにとって、旅がもたらしてくれるものとは?
「旅には本来人間に備わっている野生の勘を蘇らせてくれる魅力があります。島根の旅で巡った先々も土地の歴史や奥深いエネルギーに満ちあふれていて、すっかり心を掴まれました。そういった眼には映らないものまでを五感から感じ取れることが旅の醍醐味なのだと思います。日本にも訪れたことのない土地、そしてまだまだ知らないことが沢山あります。今回の旅をきっかけに、これからは日本の神話、そして、旅で出逢った地域の暮らしについて、もっと学びを深めてみたいという想いが募りました。ひとつの旅の終わりは、新しい旅のはじまり。しなやかに変化していくことを愉しみながら、これからも旅をしていきたいです」
今回のお宿は…「界 玉造」

日本最古の美肌の湯として知られる玉造温泉に佇む全室露天風呂付き客室の宿。しじみやしまね和牛、活松葉蟹などの旬の食材を活かした会席料理、毎晩開催される伝統芸能「石見神楽」など、古の名湯を満喫しながら奥深い出雲文化を学び、五感を潤す滞在を叶えてくれる。
住所:島根県松江市玉湯町玉造1237
電話:050-3134-8092(界予約センター)
アクセス:【車】名古屋・大阪方面から:松江玉造ICから国道9号線にて約10分、広島・九州方面から:三次JCTより国道54号線経由国道9号線にて約2時間【電車】JR松江駅より車で約20分、JR玉造温泉駅より車で約5分【飛行機】<出雲空港>レンタカー・タクシーの場合:約40分、空港連絡バスの場合:JR玉造温泉駅まで約30分、駅よりタクシーで約5分 <米子空港>レンタカー・タクシーの場合:約60分、空港連絡バスの場合:松江駅まで約45分、駅よりタクシーにて約20分
料金:1泊45,000円〜(2名1室利用時1名あたり、サービス料込、税込、夕朝食つき)
URL:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaitamatsukuri/
photograph:Makoto Shamura
design:Atsushi Aihara
text:Ayako Watanabe
edit:kiitos.
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